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第1章
第162話 毒耐性魔獣の出処
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「あの毒耐性を持った魔獣はもしかしてこの木の実を食べたのかな。丸呑みで……」
「その可能性もあるし、木の実を食べて毒状態になった魔獣と戦ったのかもしれない。それか毒状態の魔獣を食べたとか」
魔獣なら、木の実を食べるときにいちいち殻を外さないことの方が多いだろう。リス系の魔獣とかだったら殻を割ったりするかな。
噛み砕いてたべるとしても、口いっぱいに含んで、一部は実を丸ごと飲み込んでしまうこともあるかもしれない。
食べた魔獣の属性が水属性か土属性が強かったら……。
食べた木の実がお腹の中で「呪いの毒」に変化して、その魔獣と戦ったり、食べたりしたら「呪いの毒」がどんどん広がってしまうんじゃないか?
やばいんじゃない?
実験を終えて、光水で解毒した木の実を壺にいれて厳重に密封している様子を眺めながら僕は泉の向こう側の事を考えていた。
「森の奥の泉の向こう側にはこの木の実があるかもしれないよね。……これは、誰かが泉の向こう側に行って採取してきたのかな」
「どうだろう。他所の土地の冒険者が持ち込んだらしいからね」
「他所からきた冒険者?」
「ギルドははっきり言わなかったけど、そんな感じがした」
「冒険者って……」
ふと、手袋が汚れた騎士や眉に傷がある冒険者の事を思い浮かべた。脳裏に浮かんだ光景野中では手袋が汚れていた騎士も冒険者の格好をしていたんだよね。他所からきた冒険者って、もしかして彼らの事だったりする?
ルドおじさんが書いた実験レポートの写しと薬師のおばあちゃんが書いてくれた父上への報告書を預かった。
通常は依頼を受けたら、依頼者以外には結果や情報は漏らさないものだけど、
必要があれば領主への報告はすることになっているのだそうだ。僕と兄上は領主の子からというのもあるけど薬師のおばあちゃんの弟子扱いだから、結果も教えてもらえるし実験もさせてもらえているらしい。
薬師のおばあちゃんの店を出た後、裏手にある冒険者ギルドの前を通った。
遠巻きに見るだけで中には入らないけどね。
何人かギルドに出入りしている人の様子を眺めた。ゲンティアナの騎士をしているのを見た事がある人がいる。
この町の冒険者は元々は騎士だった人が多いのだそうだ。
父上が騎士をしていたときに一緒に仕事をしたり戦ったりしていた人達が、父上が男爵となって領地を得たときに一緒にゲンティアナの地に移り住んできたのだそうだ。
魔獣が多い地で領地を守る騎士は必要だけど、沢山の給金は払えないから冒険者をしながら騎士をしてもらっているらしい。
だからか、この町の冒険者はおじさんが多いイメージだ。とは言っても、冒険者の格好のときにはあまりちゃんと見ていない気がするけど。
「クリス、もう行こう」
冒険者ギルドの前で立ち止まったら、兄上に背中をトンと叩かれた。
眉に傷がある冒険者とか現れないかな、と思っていたのが顔に出ていたのか、ぽんと肩に手を置かれて耳元で小声でささやかれた。
「気になるかもしれないけど、今は報告書を持ち帰るのが先だろう?」
「うん……」
兄上に促されて冒険者ギルドの前から立ち去った。
確かに、もしも眉に傷がある冒険者が現れたとして、捕まえるわけにもいかない。
僕が脳裏の光景で見ただけだから、騎士達と一緒に沼地を荒らした証拠もないし、
毒事件に関わっている証拠もないんだよね。
「……もしも、怪しい人を見つけたら、尾行して父上に知らせるのがよいのかな」
冒険者ギルドからだいぶ離れた位置まで来てから、僕は後ろを振り返ってギルドがある方向をみやった。でも兄上は反対の様子。
「……怪しい人物の尾行は、俺たちじゃなくてもよいだろう。尾行が得意な人にやってもらう方が良い」
尾行なんて危険なんだぞ。追いかけて路地裏に入ったら、待ち伏せされているなんてこともあるかもしれないぞ」
「ええ!怖!」
そもそも、子供が尾行していたら目立つ、と兄上に駄目出しされてしまった。
確かにそれはそうだね。
そうなると、すぐに連絡ができる道具があったほうがよいだろうか。
何か作れないかなぁ。
「その可能性もあるし、木の実を食べて毒状態になった魔獣と戦ったのかもしれない。それか毒状態の魔獣を食べたとか」
魔獣なら、木の実を食べるときにいちいち殻を外さないことの方が多いだろう。リス系の魔獣とかだったら殻を割ったりするかな。
噛み砕いてたべるとしても、口いっぱいに含んで、一部は実を丸ごと飲み込んでしまうこともあるかもしれない。
食べた魔獣の属性が水属性か土属性が強かったら……。
食べた木の実がお腹の中で「呪いの毒」に変化して、その魔獣と戦ったり、食べたりしたら「呪いの毒」がどんどん広がってしまうんじゃないか?
やばいんじゃない?
実験を終えて、光水で解毒した木の実を壺にいれて厳重に密封している様子を眺めながら僕は泉の向こう側の事を考えていた。
「森の奥の泉の向こう側にはこの木の実があるかもしれないよね。……これは、誰かが泉の向こう側に行って採取してきたのかな」
「どうだろう。他所の土地の冒険者が持ち込んだらしいからね」
「他所からきた冒険者?」
「ギルドははっきり言わなかったけど、そんな感じがした」
「冒険者って……」
ふと、手袋が汚れた騎士や眉に傷がある冒険者の事を思い浮かべた。脳裏に浮かんだ光景野中では手袋が汚れていた騎士も冒険者の格好をしていたんだよね。他所からきた冒険者って、もしかして彼らの事だったりする?
ルドおじさんが書いた実験レポートの写しと薬師のおばあちゃんが書いてくれた父上への報告書を預かった。
通常は依頼を受けたら、依頼者以外には結果や情報は漏らさないものだけど、
必要があれば領主への報告はすることになっているのだそうだ。僕と兄上は領主の子からというのもあるけど薬師のおばあちゃんの弟子扱いだから、結果も教えてもらえるし実験もさせてもらえているらしい。
薬師のおばあちゃんの店を出た後、裏手にある冒険者ギルドの前を通った。
遠巻きに見るだけで中には入らないけどね。
何人かギルドに出入りしている人の様子を眺めた。ゲンティアナの騎士をしているのを見た事がある人がいる。
この町の冒険者は元々は騎士だった人が多いのだそうだ。
父上が騎士をしていたときに一緒に仕事をしたり戦ったりしていた人達が、父上が男爵となって領地を得たときに一緒にゲンティアナの地に移り住んできたのだそうだ。
魔獣が多い地で領地を守る騎士は必要だけど、沢山の給金は払えないから冒険者をしながら騎士をしてもらっているらしい。
だからか、この町の冒険者はおじさんが多いイメージだ。とは言っても、冒険者の格好のときにはあまりちゃんと見ていない気がするけど。
「クリス、もう行こう」
冒険者ギルドの前で立ち止まったら、兄上に背中をトンと叩かれた。
眉に傷がある冒険者とか現れないかな、と思っていたのが顔に出ていたのか、ぽんと肩に手を置かれて耳元で小声でささやかれた。
「気になるかもしれないけど、今は報告書を持ち帰るのが先だろう?」
「うん……」
兄上に促されて冒険者ギルドの前から立ち去った。
確かに、もしも眉に傷がある冒険者が現れたとして、捕まえるわけにもいかない。
僕が脳裏の光景で見ただけだから、騎士達と一緒に沼地を荒らした証拠もないし、
毒事件に関わっている証拠もないんだよね。
「……もしも、怪しい人を見つけたら、尾行して父上に知らせるのがよいのかな」
冒険者ギルドからだいぶ離れた位置まで来てから、僕は後ろを振り返ってギルドがある方向をみやった。でも兄上は反対の様子。
「……怪しい人物の尾行は、俺たちじゃなくてもよいだろう。尾行が得意な人にやってもらう方が良い」
尾行なんて危険なんだぞ。追いかけて路地裏に入ったら、待ち伏せされているなんてこともあるかもしれないぞ」
「ええ!怖!」
そもそも、子供が尾行していたら目立つ、と兄上に駄目出しされてしまった。
確かにそれはそうだね。
そうなると、すぐに連絡ができる道具があったほうがよいだろうか。
何か作れないかなぁ。
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