転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹

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第1章

第174話 解体系のスキル

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屋敷の外に出てみると少し日が傾きかけていた。でも外はまだ十分に明るい。雲がオレンジ色に染まっていて綺麗だ。絵に描きたいけど、良い色の絵の具があると良いなぁ。
今日の殿下達の訓練は結構早く終わった気がするんだけど、移動時間がほぼなかったからそう感じるのかな。訓練の後は何をやっているんだろう。試験勉強かな。試験は色々大変そうだなぁ。

兄上とボブと一緒に屋敷の裏手の林の前まで行って、鳥魔獣の解体を始めた。
テキパキと思った以上にスムーズに解体作業が進む。
派手派手しい鳥魔獣の胸元付近にナイフを差し込んだ途端、ふわっと小さい魔法陣が浮かび上がった。数秒して魔法陣は空中に消えた。
驚いて、思わずナイフを引き抜くとコロンコロンと魔石が転がり落ちてきた。

「あれ?」
「どうした?」

僕の驚いた声を聞いて、兄上が振り返った。手には切り落としたての鳥魔獣の頭を掴んでいて怪訝そうにこっちをみている。

「何か、スキルっぽいのが出た」

僕がいうと兄上が興味深げに目を見開いた。

「へえ!もしかして解体関連か?」
「うん」

僕は、並べておいた鳥魔獣のうち一つに試しにナイフを突き刺した。ふわりとまた魔法陣が浮かび上がって消えていく。そして予想通りコロリと魔石が転がり落ちてきた。

「おお!もしかして魔石取りスキル?」
「良くわからないけど、そんな感じのスキルみたいだよ。刺す位置がなんとなくわかるんだけど、すんなり魔石が出てくるのは不思議だよね」
「ほぉ~。魔石取る時、手ぇ汚れんの便利でさぁ」
「解体を続けたら結局手は汚れるよ」

兄上もボブも僕がスキルを得たことを喜んでくれた。兄上も僕と同じくらい解体をしているからすぐにスキルを得るんじゃないかと思う。そう思ってチラチラと兄上の様子を気にしていたら最後の鳥魔獣の解体をし始めた時に兄上の手元から魔法陣が浮かび上がった。

「おお!?」

パラリ、と鳥魔獣が解体された状態でバラバラになる。手羽とかモモとかちゃんと部位に分かれていた。
僕は魔石取りを優先していたから、魔石を取り出すスキルを得て、兄上は部位を切り出す、解体作業のメインのスキルを得たってことかな。便利!

鳥魔獣の解体は完了したんだけど、スキルが気になってしまったので、少しだけ他の魔獣で試すことにして鹿魔獣を取り出した。

結果は、「魔石取り」スキルはそのまま鹿魔獣にもすぐに発動したけど、
「部位切り出し」スキルは、皮を剥いで内臓を取り出さないと発動しないと言うことがわかった。

流れ作業なら解体が凄く早く出来そうなんだけど、僕だって「部位切り出し」のスキルは欲しい。
次に解体をするときは、ちょっとスキルを意識しながらやってみることにした。

スキルを得たいから「収納」に入っている他の魔獣もドンドン解体をしたいけど、他にも色々やることがある。
ジャックに解体をした肉を届けて、薬師のおばあちゃんの所に向かった。
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