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第1章
第173話 訓練に来た意味とは
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ニコニコしながら「さあ、戻ろうか」と言って、ヒラヒラと僕達に手を振って立ち去っていった。
殿下の後ろを歩いていたハロルド君が、申し訳なさそうな顔をして僕達に会釈をして行った。
「殿下は訓練がつまらなかったのかな」
訓練場での殿下達の訓練を見届けた後、兄上と一緒に離れに戻って泉から持ち帰ってきたものの整理をする。
泉の水と毒耐性の魔石は早めに薬師のおばあちゃんのところに持っていって、光水を作ってもらいたい。毒で爛れてはいない魔獣は解体して、肉はジャックのところに持って行きたい。
あまり時間がなかったから、狩った魔獣は解体しないで収納に放り込んじゃってたんだよね。
「収納」から取り出さなくても一応何が入っているかはわかるので、リストに書き出しているところだ。
「殿下が俺たちにあんな質問したからか?」
兄上は狩った魔獣のリストを早々に書き上げて、今はナイフを磨きながら僕の作業待ちだ。
急がないと!
「うん。ハロルド君が手を抜いたのに気が付いたんなら、わざわざ僕達に確認する必要ないよね。そもそも、狩りに行った時はそんな話はしてなかったし楽しそうだったのに、どうしたんだろうと思って」
「まあ、狩りだと魔獣の方に集中していたからかもしれないけど、……今日のは、試験形式でやっていたからだと思うよ」
「試験だと殿下より良い成績取らないようにしてるってこと?」
「そうだと思う」
「……面倒くさいねぇ」
訓練でも試験形式だと手加減するってことは、実際の学園の試験でも手加減するんだろうなぁ。
殿下に話しかけられた時の、周りの騎士の人達からの圧迫感のある気配を考えると、
ハロルド君も周囲から圧を受けていたのかな。
最初は殿下に気を遣っているのかなと思ったけど、殿下より良い成績を取ったら何か言われたりとかするのかもしれない。
「せっかくの訓練なんだから本気でやった方が上達するよね。せっかく試験の為の
訓練をしているのにもったいない気がするよ」
「まあなぁ……」
そもそも試験対策として大丈夫なのかな。的の位置を越えたら合格とは聞いたけど、的に掠ってもいないのって本当に合格ラインなの?
「ねえ、わざわざゲンティアナまで訓練に来た意味ってなくない?」
「魔獣狩り体験がメインだろ。後は角兎ソテー?」
「角兎かぁ」
殿下も角兎を狩ったから、目的は達したって言ってたね。料理としてだけでなく、狩りの対象としても目的は角兎だったわけだし。ゲンティアナに来た意味はあるってことか。訓練場でやっているような訓練は王宮だとか自領とかで出来ることだね。
ハロルド君も色々気を遣いながら訓練をするより、自領に帰ってから訓練をした方が良いのかもしれない。スライム狩りも背びれイタチ狩りも楽しそうに見えたし、訓練は無駄じゃなかったって思いたいけど。
「収納」に入れておいた魔獣のリストを書き上げたので、兄上に見せた。
兄上は少しだけ首を伸ばして僕の書いたリストを覗き込むと、口の端を上げた。
「鳥魔獣が良いかな。唐揚げか……」
「唐揚げ、良いね!」
狩った魔獣のうち、どれを優先的に解体するかを決める。
鳥系の魔獣だけ先に解体してジャックに届けて、夕食の食材として使ってもらうんだ。
残りは、魔石と内臓だけ取って氷漬けにしておいたら良い。
泉の向こう側に居た派手な色の鳥系魔獣以外にも、往復の移動途中で狩ったのもある。
それぞれ味付けを変えるか、鳥魔獣の肉として混ぜるかはジャックにお任せだ。
殿下の後ろを歩いていたハロルド君が、申し訳なさそうな顔をして僕達に会釈をして行った。
「殿下は訓練がつまらなかったのかな」
訓練場での殿下達の訓練を見届けた後、兄上と一緒に離れに戻って泉から持ち帰ってきたものの整理をする。
泉の水と毒耐性の魔石は早めに薬師のおばあちゃんのところに持っていって、光水を作ってもらいたい。毒で爛れてはいない魔獣は解体して、肉はジャックのところに持って行きたい。
あまり時間がなかったから、狩った魔獣は解体しないで収納に放り込んじゃってたんだよね。
「収納」から取り出さなくても一応何が入っているかはわかるので、リストに書き出しているところだ。
「殿下が俺たちにあんな質問したからか?」
兄上は狩った魔獣のリストを早々に書き上げて、今はナイフを磨きながら僕の作業待ちだ。
急がないと!
「うん。ハロルド君が手を抜いたのに気が付いたんなら、わざわざ僕達に確認する必要ないよね。そもそも、狩りに行った時はそんな話はしてなかったし楽しそうだったのに、どうしたんだろうと思って」
「まあ、狩りだと魔獣の方に集中していたからかもしれないけど、……今日のは、試験形式でやっていたからだと思うよ」
「試験だと殿下より良い成績取らないようにしてるってこと?」
「そうだと思う」
「……面倒くさいねぇ」
訓練でも試験形式だと手加減するってことは、実際の学園の試験でも手加減するんだろうなぁ。
殿下に話しかけられた時の、周りの騎士の人達からの圧迫感のある気配を考えると、
ハロルド君も周囲から圧を受けていたのかな。
最初は殿下に気を遣っているのかなと思ったけど、殿下より良い成績を取ったら何か言われたりとかするのかもしれない。
「せっかくの訓練なんだから本気でやった方が上達するよね。せっかく試験の為の
訓練をしているのにもったいない気がするよ」
「まあなぁ……」
そもそも試験対策として大丈夫なのかな。的の位置を越えたら合格とは聞いたけど、的に掠ってもいないのって本当に合格ラインなの?
「ねえ、わざわざゲンティアナまで訓練に来た意味ってなくない?」
「魔獣狩り体験がメインだろ。後は角兎ソテー?」
「角兎かぁ」
殿下も角兎を狩ったから、目的は達したって言ってたね。料理としてだけでなく、狩りの対象としても目的は角兎だったわけだし。ゲンティアナに来た意味はあるってことか。訓練場でやっているような訓練は王宮だとか自領とかで出来ることだね。
ハロルド君も色々気を遣いながら訓練をするより、自領に帰ってから訓練をした方が良いのかもしれない。スライム狩りも背びれイタチ狩りも楽しそうに見えたし、訓練は無駄じゃなかったって思いたいけど。
「収納」に入れておいた魔獣のリストを書き上げたので、兄上に見せた。
兄上は少しだけ首を伸ばして僕の書いたリストを覗き込むと、口の端を上げた。
「鳥魔獣が良いかな。唐揚げか……」
「唐揚げ、良いね!」
狩った魔獣のうち、どれを優先的に解体するかを決める。
鳥系の魔獣だけ先に解体してジャックに届けて、夕食の食材として使ってもらうんだ。
残りは、魔石と内臓だけ取って氷漬けにしておいたら良い。
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それぞれ味付けを変えるか、鳥魔獣の肉として混ぜるかはジャックにお任せだ。
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