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第1章
第216話 檻の話題
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ブローチの機能に関しては、ちょっと「やりすぎ」だって言われてしまった。
だけど、魔獣の檻の件から考えても殿下はしつこく命を狙われているみたいだし、
何か助けになればってことで、殿下達に贈っても良いってことになった。
「実際に売られていたもので魔道具になっているものもあったけれど、ここまでの機能ではなかったのよ。
でも、魔道具になっているブローチが売られていないわけじゃないわ。
行商人から買ったものってことにするのよ。
詳しく聞かれても、『買ったのは自分じゃないからわからない』って答えるのよ。
『買った時期もだいぶ前らしい』とも言っておきなさい。
良いわね?」
母様の笑顔での圧がちょっと強い。
ブローチの土台の部品を買ったのがかなり前だし、その頃にブローチのデザインが出回っていたらしいので
嘘にはならないから大丈夫だと思う。
「やあ、午後は訓練場に来なかったんだね」
夕食後、お茶の約束をしていた晩餐室で待っていると
登場した殿下がニコニコして言った。
「すみません。色々有って……」
「もしかして、魔獣の檻の不具合の件かい?」
兄上が申し訳なさそうにしていると、殿下が「魔獣の檻」の事を話題に出した。
「魔獣を入れていた檻の鍵が壊れたって聞いたわ。大丈夫だったの?」
長椅子に腰を下ろしながらシェリル嬢が心配そうに僕達を見た。
「はい。僕達は特に……」
「それなら良かったわ」
「大変な騒ぎだったと聞いたよ」
「怖かったんじゃないですか?」
ハロルド君達も口々に僕と兄上を心配した言葉をかけてくれた。
魔獣の檻が壊れた時に逃げ出した魔獣はあまり強くない魔獣だったし数も多くなかったから大丈夫だったけど
現場を見てなかったら心配になるよね。
「大丈夫でした!ちょうど騎士さんも沢山いたし!ね、兄上!」
「そうだね……。あの時はちょっと焦ったけど……」
「魔獣が逃げるところを見たのかい?」
僕の言葉に兄上が頷くと、殿下がグッと前に身を乗り出した。
「魔獣の檻」の事を話題に出したから、何が起きたか知っているのだろうと思ったけど詳しく聞きたいらしい。
「……順番待ちをしていた荷馬車の荷台に置かれていた魔獣の檻の鍵が急に開いたらしいんです。クリスが言った通り、騎士が沢山いたタイミングで良かったですよ。それに明るい時間帯だったし」
「急に檻が開いて魔獣が出てくるなんて怖いですわ」
ボソボソと兄上が大雑把に説明をするとリネリア嬢が怯えた表情を浮かべた。
「もしも、急に魔獣が目の前に出てきたらって想像すると……。私、剣は使えないですし、急に魔法を発動できるかどうか……」
「護衛の騎士がいるし大丈夫……って言いたいけど……、訓練中にそんなことが起きたらって考えると怖いわね。詠唱してたら間に合わなそうだし」
シェリル嬢もリネリア嬢と一緒に表情を曇らせた。
あの檻は、訓練で魔法を放っている最中に鍵が開くように作られていたみたいだったから、リネリア嬢やシェリル嬢が不安に思うのも当然だと思う。
そういう時にブローチに仕込んだ魔法って役立つだろうか。
だけど、魔獣の檻の件から考えても殿下はしつこく命を狙われているみたいだし、
何か助けになればってことで、殿下達に贈っても良いってことになった。
「実際に売られていたもので魔道具になっているものもあったけれど、ここまでの機能ではなかったのよ。
でも、魔道具になっているブローチが売られていないわけじゃないわ。
行商人から買ったものってことにするのよ。
詳しく聞かれても、『買ったのは自分じゃないからわからない』って答えるのよ。
『買った時期もだいぶ前らしい』とも言っておきなさい。
良いわね?」
母様の笑顔での圧がちょっと強い。
ブローチの土台の部品を買ったのがかなり前だし、その頃にブローチのデザインが出回っていたらしいので
嘘にはならないから大丈夫だと思う。
「やあ、午後は訓練場に来なかったんだね」
夕食後、お茶の約束をしていた晩餐室で待っていると
登場した殿下がニコニコして言った。
「すみません。色々有って……」
「もしかして、魔獣の檻の不具合の件かい?」
兄上が申し訳なさそうにしていると、殿下が「魔獣の檻」の事を話題に出した。
「魔獣を入れていた檻の鍵が壊れたって聞いたわ。大丈夫だったの?」
長椅子に腰を下ろしながらシェリル嬢が心配そうに僕達を見た。
「はい。僕達は特に……」
「それなら良かったわ」
「大変な騒ぎだったと聞いたよ」
「怖かったんじゃないですか?」
ハロルド君達も口々に僕と兄上を心配した言葉をかけてくれた。
魔獣の檻が壊れた時に逃げ出した魔獣はあまり強くない魔獣だったし数も多くなかったから大丈夫だったけど
現場を見てなかったら心配になるよね。
「大丈夫でした!ちょうど騎士さんも沢山いたし!ね、兄上!」
「そうだね……。あの時はちょっと焦ったけど……」
「魔獣が逃げるところを見たのかい?」
僕の言葉に兄上が頷くと、殿下がグッと前に身を乗り出した。
「魔獣の檻」の事を話題に出したから、何が起きたか知っているのだろうと思ったけど詳しく聞きたいらしい。
「……順番待ちをしていた荷馬車の荷台に置かれていた魔獣の檻の鍵が急に開いたらしいんです。クリスが言った通り、騎士が沢山いたタイミングで良かったですよ。それに明るい時間帯だったし」
「急に檻が開いて魔獣が出てくるなんて怖いですわ」
ボソボソと兄上が大雑把に説明をするとリネリア嬢が怯えた表情を浮かべた。
「もしも、急に魔獣が目の前に出てきたらって想像すると……。私、剣は使えないですし、急に魔法を発動できるかどうか……」
「護衛の騎士がいるし大丈夫……って言いたいけど……、訓練中にそんなことが起きたらって考えると怖いわね。詠唱してたら間に合わなそうだし」
シェリル嬢もリネリア嬢と一緒に表情を曇らせた。
あの檻は、訓練で魔法を放っている最中に鍵が開くように作られていたみたいだったから、リネリア嬢やシェリル嬢が不安に思うのも当然だと思う。
そういう時にブローチに仕込んだ魔法って役立つだろうか。
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