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第1章
第215話 ブローチの安全点検
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「あの治癒玉は母と弟のところに送ったのよ。ありがとう」
解毒治癒玉がレオノールさんの家族のところに届いたら
レオノールさんのお母さんが「呪いの毒」で倒れるっていう未来が
本当に起きる可能性が減ったということになるかな。
「……このままじゃダメなのよね……」
ボソリとレオノールさんが呟いた。
詳しい事情は聞けなかったけど、脳裏で見た光景の通りにレオノールさんはお母さんを守る為にわざと侮られるようにしていたようだ。
でも、何もかも脳裏の光景の通りだったらレオノールさんもレオノールさんのお母さんも「呪いの毒」で倒れてしまう。
何か行動をしたら、脳裏の光景の未来が変わる可能性があるって考えて良いのかな。
そうだと良いなぁ。
夕食の時間になったので訓練場を後にした。
尚、レオノールさんの魔法でできた氷漬けの的はちゃんと元の状態に戻されていた。
解除の魔法陣も見ることができて良かった。魔法陣魔石を作る時の参考になる。
「ゲンティアナ家の諜報組織?そんな部隊はないわよ」
ゲンティアナ家ならレオノールさんの家の事情を知っていても
不思議じゃないみたいな感じの事を言われたから、実はゲンティアナ家には何か特殊部隊とかいるんだろうかと思って母様に聞いてみたら、笑われた。
「辺境の田舎の弱小男爵家ですからね」
ワインの入ったゴブレットを持って、母様がフフッと笑った。
「……多少の情報は商会から流れてくるけど」
「シャル叔父上は色々知ってそうだね」
シャル叔父上は父上の弟で、商会を経営している。
騎士爵を持っているらしいのだけど、見た目はマッチョじゃなくてヒョロリとしている。
あちこちに支店を持っているし外国にも行くことも多いみたいで
会う機会は少ないんだけど、ゲンティアナに来た時は色々なお話を聞かせてくれるし
綺麗な色の絵の具とかをお土産に持ってきてくれたりする人だ。
目が悪いわけじゃないのに黒い眼帯をつけていたり、来るたびに変装していたりする面白いおじさんなんだよね。
「……クリス、このブローチは触っただけで魔法を発したりとかしないかしら。
火属性の魔石もあるし、危険はない?」
食後に母様に魔道具のブローチを見てもらった。試しに使った時の状況を兄上から聞いて、ランプの灯りの近くでじっくり観察した後に顔をあげて僕に訊いてきた。
「触っただけだったら平気だよ。人が纏っている魔力に触れても魔石の魔力として補充はするけど、発動はしないよ。意図的に魔力を流し込まないと……」
「持つ人が魔力制御が上手じゃなくて、上手く魔力が流し込めない場合はどうかしら」
「魔法が発動しないだけだけど……」
「そう。こういう魔道具は誤作動しないような配慮が大事なのよ」
「誤作動っていうか、知らないうちに発動しないようにするなら、
真ん中の金具を前に押し出しておけばよいよ」
魔法の発動はブローチの真ん中の金属のところからだから、金属に刻まれた魔法陣が魔石の魔法陣と繋がらないと魔法は発動しない作りになっている。
魔法を使わない時はブローチの裏から中央の金属をちょっと前に押し出しておけば
魔法陣が繋がらなくなる。逆に使う時には、表面からカチンって金属を押し込めば良い。
説明をしたら、母様が小さく溜息をついた。
「……クリス、そういう説明は先にしておいて欲しいわ」
「今考えたんだよ。そんな風にも使えるなって」
ブローチの中央の金属は、魔法陣が上手く連動しなかった時の為に
かっちり固定はしなかったんだよね。
意図しなかったけど、誤作動防止のボタンみたいになった。
解毒治癒玉がレオノールさんの家族のところに届いたら
レオノールさんのお母さんが「呪いの毒」で倒れるっていう未来が
本当に起きる可能性が減ったということになるかな。
「……このままじゃダメなのよね……」
ボソリとレオノールさんが呟いた。
詳しい事情は聞けなかったけど、脳裏で見た光景の通りにレオノールさんはお母さんを守る為にわざと侮られるようにしていたようだ。
でも、何もかも脳裏の光景の通りだったらレオノールさんもレオノールさんのお母さんも「呪いの毒」で倒れてしまう。
何か行動をしたら、脳裏の光景の未来が変わる可能性があるって考えて良いのかな。
そうだと良いなぁ。
夕食の時間になったので訓練場を後にした。
尚、レオノールさんの魔法でできた氷漬けの的はちゃんと元の状態に戻されていた。
解除の魔法陣も見ることができて良かった。魔法陣魔石を作る時の参考になる。
「ゲンティアナ家の諜報組織?そんな部隊はないわよ」
ゲンティアナ家ならレオノールさんの家の事情を知っていても
不思議じゃないみたいな感じの事を言われたから、実はゲンティアナ家には何か特殊部隊とかいるんだろうかと思って母様に聞いてみたら、笑われた。
「辺境の田舎の弱小男爵家ですからね」
ワインの入ったゴブレットを持って、母様がフフッと笑った。
「……多少の情報は商会から流れてくるけど」
「シャル叔父上は色々知ってそうだね」
シャル叔父上は父上の弟で、商会を経営している。
騎士爵を持っているらしいのだけど、見た目はマッチョじゃなくてヒョロリとしている。
あちこちに支店を持っているし外国にも行くことも多いみたいで
会う機会は少ないんだけど、ゲンティアナに来た時は色々なお話を聞かせてくれるし
綺麗な色の絵の具とかをお土産に持ってきてくれたりする人だ。
目が悪いわけじゃないのに黒い眼帯をつけていたり、来るたびに変装していたりする面白いおじさんなんだよね。
「……クリス、このブローチは触っただけで魔法を発したりとかしないかしら。
火属性の魔石もあるし、危険はない?」
食後に母様に魔道具のブローチを見てもらった。試しに使った時の状況を兄上から聞いて、ランプの灯りの近くでじっくり観察した後に顔をあげて僕に訊いてきた。
「触っただけだったら平気だよ。人が纏っている魔力に触れても魔石の魔力として補充はするけど、発動はしないよ。意図的に魔力を流し込まないと……」
「持つ人が魔力制御が上手じゃなくて、上手く魔力が流し込めない場合はどうかしら」
「魔法が発動しないだけだけど……」
「そう。こういう魔道具は誤作動しないような配慮が大事なのよ」
「誤作動っていうか、知らないうちに発動しないようにするなら、
真ん中の金具を前に押し出しておけばよいよ」
魔法の発動はブローチの真ん中の金属のところからだから、金属に刻まれた魔法陣が魔石の魔法陣と繋がらないと魔法は発動しない作りになっている。
魔法を使わない時はブローチの裏から中央の金属をちょっと前に押し出しておけば
魔法陣が繋がらなくなる。逆に使う時には、表面からカチンって金属を押し込めば良い。
説明をしたら、母様が小さく溜息をついた。
「……クリス、そういう説明は先にしておいて欲しいわ」
「今考えたんだよ。そんな風にも使えるなって」
ブローチの中央の金属は、魔法陣が上手く連動しなかった時の為に
かっちり固定はしなかったんだよね。
意図しなかったけど、誤作動防止のボタンみたいになった。
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