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第1章
第222話 気になる実
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「あ!猫さん!」
猫さんの後を追おうと一歩踏み出したところを兄上に肩を掴まれた。
「やめとけ、もう夜なんだから」
「猫さん……。角兎肉食べるかな」
「しょっぱくなきゃ食べるんじゃないか?」
「じゃあ、ジャックに味付けなしで焼いてもらおうっと。
……あ!角兎が沢山あるから、お餞別で渡そうか」
猫さんにも角兎肉をあげたいけど、殿下達は角兎のソテーが食べたくてゲンティアナに来たんだってことを思い出した。
殿下が食べたいって言ったのか、辺境伯様のお薦めだったのかどうだったかどうだったっけ……。
祝賀会の時のメニューで出した時は美味しいって言ってたから、気に入ってくれてはいたと思う。
「肉を餞別に?……誰か、レベルの高い『収納』を持っているのか?」
「知らないけど、レオノールさんに凍らせてもらったら日持ちするんじゃない?」
「収納」に入れていると、普通に放置しているよりも肉とかは腐りにくいみたいなんだ。
全く変化しないってわけじゃないんだけど、「収納」のレベルが上がっていくと、中の時間が止まったみたいに長持ちしたりするんだって。
「収納」に入れなくたって、レオノールさんに凍らせて貰えば持ち運びは可能なんじゃないかと思う。
「餞別の品はかと思ったけど……。凍らせば運べるだろうけど、食べ物は毒の件があるから神経質になるんじゃないか?」
「毒かぁ……」
長い時間持ち運ぶってことは、毒を盛られる機会に晒されやすいってことになっちゃうかな。
とは言っても全く食事を取らないなんてことはないのだから、しっかり管理して貰えば良いんだろうけど。
「肉に毒を盛られるとかじゃなくても、毒は心配だね。……毒対策グッズとか渡す?」
「まだ他にも渡すのか……?」
毒対策の提案をしたのに、兄上に呆れたような顔をされた。毒の心配があるなら解毒剤か毒耐性だよね?
「毒耐性は大事じゃない?ゴーシュさんも『微毒』になってたよね」
「ゴーシュさんに微毒の酒を渡した人が、檻の手配をした人だったっけ。マホニルとかいう人……。捕まったんなら、毒の心配はないんじゃないか?」
「そうだと良いけど……」
ゴーシュさんが目がチカチカするって言っていて「微毒」になっていた件については、しっかり調べられたのかどうかよくわからない。
「共犯がいるかもしれないし……」
そう口にした時、ふと眉に傷がある冒険者のことを思い出した。あの人まだ捕まってないよね。
「……あの『微毒』のお酒に使われてたのって、『呪いの毒』になった木の実だよね……」
「……そう言ってたな……」
離れの玄関の手前で立ち止まって兄上が眉を潜めた。
「……あの木の実って、珍しいものなんだよな。薬師のばあちゃんのところに調査依頼が来るくらいだし」
「それがお酒にも使われてたって……」
「偶然……、とは考えにくいなぁ」
兄上がはぁーと溜息をついた。
「……移動途中に何か仕掛けてくる計画があって、他にも共犯がいたとしたら
やばいよな……。」
「怖いよねぇ……。やっぱり何か毒の対策グッズを渡したいよ」
兄上は少し考えている様子だったけど、毒対策グッズを考えることに了承してくれるようだ。
「もしも『呪いの毒』だった場合は光水をいくつか渡しておけば良いけど
『微毒』とか他の毒とかだったら、飲み水用の水瓶に毒耐性の魔石を埋め込んで奥のはどうかな」
「予防で飲んでおくってことだな」
「うん。作ってみようか?」
どのくらいの大きさの水瓶で作れば良いかな、とか考えながら兄上に言ったら、兄上は首に振った。
「薬師のばあちゃんのところで作れるだろう?依頼して貰えば良いと思う。
薬師のばあちゃんのところを紹介して必要な数を注文して貰えば良いだろ」
薬師のおばあちゃんのところには、魔道具師のルドおじさんがいるから、
水瓶に毒耐性の魔石を埋め込んだ商品とかサクサク作ってくれそうだ。
「……薬師のおばあちゃんに伝えなきゃ。……今から行く?」
「もう夜だから、明日の朝に伝言を届けてもらうのが良いんじゃないか」
「毒耐性魔石を渡しに行かないと」
「じゃあ、朝イチで魔石を届けに行って、すぐ戻ってくるか」
「うん!」
明日は朝イチで薬師のおばあちゃんのところに行った後、トンボ帰りしてブローチの実演だ。
ジャックに頼んで角兎肉をハーブ漬けにしたものを用意してもらおう。あ!味付けなしのも忘れず頼まなくっちゃ。
猫さんの後を追おうと一歩踏み出したところを兄上に肩を掴まれた。
「やめとけ、もう夜なんだから」
「猫さん……。角兎肉食べるかな」
「しょっぱくなきゃ食べるんじゃないか?」
「じゃあ、ジャックに味付けなしで焼いてもらおうっと。
……あ!角兎が沢山あるから、お餞別で渡そうか」
猫さんにも角兎肉をあげたいけど、殿下達は角兎のソテーが食べたくてゲンティアナに来たんだってことを思い出した。
殿下が食べたいって言ったのか、辺境伯様のお薦めだったのかどうだったかどうだったっけ……。
祝賀会の時のメニューで出した時は美味しいって言ってたから、気に入ってくれてはいたと思う。
「肉を餞別に?……誰か、レベルの高い『収納』を持っているのか?」
「知らないけど、レオノールさんに凍らせてもらったら日持ちするんじゃない?」
「収納」に入れていると、普通に放置しているよりも肉とかは腐りにくいみたいなんだ。
全く変化しないってわけじゃないんだけど、「収納」のレベルが上がっていくと、中の時間が止まったみたいに長持ちしたりするんだって。
「収納」に入れなくたって、レオノールさんに凍らせて貰えば持ち運びは可能なんじゃないかと思う。
「餞別の品はかと思ったけど……。凍らせば運べるだろうけど、食べ物は毒の件があるから神経質になるんじゃないか?」
「毒かぁ……」
長い時間持ち運ぶってことは、毒を盛られる機会に晒されやすいってことになっちゃうかな。
とは言っても全く食事を取らないなんてことはないのだから、しっかり管理して貰えば良いんだろうけど。
「肉に毒を盛られるとかじゃなくても、毒は心配だね。……毒対策グッズとか渡す?」
「まだ他にも渡すのか……?」
毒対策の提案をしたのに、兄上に呆れたような顔をされた。毒の心配があるなら解毒剤か毒耐性だよね?
「毒耐性は大事じゃない?ゴーシュさんも『微毒』になってたよね」
「ゴーシュさんに微毒の酒を渡した人が、檻の手配をした人だったっけ。マホニルとかいう人……。捕まったんなら、毒の心配はないんじゃないか?」
「そうだと良いけど……」
ゴーシュさんが目がチカチカするって言っていて「微毒」になっていた件については、しっかり調べられたのかどうかよくわからない。
「共犯がいるかもしれないし……」
そう口にした時、ふと眉に傷がある冒険者のことを思い出した。あの人まだ捕まってないよね。
「……あの『微毒』のお酒に使われてたのって、『呪いの毒』になった木の実だよね……」
「……そう言ってたな……」
離れの玄関の手前で立ち止まって兄上が眉を潜めた。
「……あの木の実って、珍しいものなんだよな。薬師のばあちゃんのところに調査依頼が来るくらいだし」
「それがお酒にも使われてたって……」
「偶然……、とは考えにくいなぁ」
兄上がはぁーと溜息をついた。
「……移動途中に何か仕掛けてくる計画があって、他にも共犯がいたとしたら
やばいよな……。」
「怖いよねぇ……。やっぱり何か毒の対策グッズを渡したいよ」
兄上は少し考えている様子だったけど、毒対策グッズを考えることに了承してくれるようだ。
「もしも『呪いの毒』だった場合は光水をいくつか渡しておけば良いけど
『微毒』とか他の毒とかだったら、飲み水用の水瓶に毒耐性の魔石を埋め込んで奥のはどうかな」
「予防で飲んでおくってことだな」
「うん。作ってみようか?」
どのくらいの大きさの水瓶で作れば良いかな、とか考えながら兄上に言ったら、兄上は首に振った。
「薬師のばあちゃんのところで作れるだろう?依頼して貰えば良いと思う。
薬師のばあちゃんのところを紹介して必要な数を注文して貰えば良いだろ」
薬師のおばあちゃんのところには、魔道具師のルドおじさんがいるから、
水瓶に毒耐性の魔石を埋め込んだ商品とかサクサク作ってくれそうだ。
「……薬師のおばあちゃんに伝えなきゃ。……今から行く?」
「もう夜だから、明日の朝に伝言を届けてもらうのが良いんじゃないか」
「毒耐性魔石を渡しに行かないと」
「じゃあ、朝イチで魔石を届けに行って、すぐ戻ってくるか」
「うん!」
明日は朝イチで薬師のおばあちゃんのところに行った後、トンボ帰りしてブローチの実演だ。
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