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第1章
第225話 魔道具が好評
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「あとね!もう一つ魔道具を作ったんだよ」
僕がカップを「収納」に閉まったら、兄上が外に向かおうとしたので慌てて呼び止めた。もう一つの方も早く見せたい!
振り向いた兄上に指輪と腕輪のセットを差し出す。指輪は、首にもぶら下げられるように革紐を通しておいた。
作ってみてから、実際に試してみたら、指輪がブカブカだったんだよね……。ゴツい指輪を格好良く身につけたかったのに。
僕でもブカブカなら、メイリが使っても多分ブカブカだろうと思う。
父上には逆に指輪が小さすぎたりするのかな。
指に嵌めて身につけられなかったから、指輪の穴に革紐を通したんだけど、それなら指輪の形じゃなくても良かったのかもと思う。
「これはどういう魔道具何だ?」
僕の手の上にある指輪と腕輪のセットを兄上が不思議そうな顔をして覗き込んだ。
「指輪が音を聞く方で、腕輪が話す方なんだ」
「まさか……」
使い方と機能を説明したら、兄上の表情がハッとした様子に変わった。
「……ついに作っちゃった……?」
ボソリと何か呟いている。兄上はこの魔道具のことを知っているのかな。もう既に同じような魔道具が出回っているのか。あったら便利だもんね。
「使えそう?」
「試そう!」
「え?今?でも……、時間が……」
「少し試すくらいの時間はあるよ。今、ちょっと試して、後でじっくり試そう!」
殿下達との早朝の待ち合わせの時間までには、薬師のおばあちゃんのところに行って戻ってこないといけないからあまり時間はない。ちょっと心配になったけど、兄上が僕の作った魔道具をすぐ試したいって思ってくれたのは嬉しいなぁ!
「指輪に短い間隔で魔力を通した回数で相手が選べるんだよ。父上は一回で母上が二回。兄上は三回。僕が四回でメイリは五回、ボブは六回だよ。
そうすると相手の方の腕輪がちょっと振動するんだ」
「マナーモードか……」
「マナー……?」
「いや……。腕輪が振動したら、もう話しが出来るのか?」
「腕輪に魔力を通したら、相手の声が聞こえるようになるよ。お話しを終わる時も、腕輪に魔力を通すんだけど触れる魔石はこれだよ」
説明をしながら、指輪に三回魔力を通してみた。兄上は腕輪をつけた手をビクッと持ち上げた。
「聞こえますかー?」
「聞こえるけど、目の前にいるからな……。ちょっと離れてみるぞ」
腕輪を口の前に持ってきて、話しかけたら兄上は頷きながら微妙な顔をした。
離れると言って早歩きで食堂に向かった。急いでいたのか扉の閉め方がちょっと乱暴だ。バターンって大きい音がした。早朝なのに。
兄上の姿が扉の向こうに消えてから、指輪から声が聞こえてきた。
『もしもし?』
「聞こえるよー!」
『よーし!』
兄上の大きな声が扉の向こう側と指輪からと両方から聞こえてきた。離れた意味あった?
すぐに戻ってきた兄上は嬉しそうな顔をしてポンポンと僕の両方を叩き、頭をぐりぐりとした。
「凄い!やったじゃないか!後はどのくらい距離が離れていて使えるかとか試した方が良いよ。……あ、でも、これは家族以外には見せたりしちゃダメだぞ」
「ボブも?」
「ボブは……、大丈夫だと思うけど、一応母上が良いって言ってからだ」
「わかった!」
後で、距離が離れた時の実験にも付き合ってくれそうだ。
それはそれとして、兄上が僕の作った魔道具のことを凄く喜んでくれたので嬉しい!
僕がカップを「収納」に閉まったら、兄上が外に向かおうとしたので慌てて呼び止めた。もう一つの方も早く見せたい!
振り向いた兄上に指輪と腕輪のセットを差し出す。指輪は、首にもぶら下げられるように革紐を通しておいた。
作ってみてから、実際に試してみたら、指輪がブカブカだったんだよね……。ゴツい指輪を格好良く身につけたかったのに。
僕でもブカブカなら、メイリが使っても多分ブカブカだろうと思う。
父上には逆に指輪が小さすぎたりするのかな。
指に嵌めて身につけられなかったから、指輪の穴に革紐を通したんだけど、それなら指輪の形じゃなくても良かったのかもと思う。
「これはどういう魔道具何だ?」
僕の手の上にある指輪と腕輪のセットを兄上が不思議そうな顔をして覗き込んだ。
「指輪が音を聞く方で、腕輪が話す方なんだ」
「まさか……」
使い方と機能を説明したら、兄上の表情がハッとした様子に変わった。
「……ついに作っちゃった……?」
ボソリと何か呟いている。兄上はこの魔道具のことを知っているのかな。もう既に同じような魔道具が出回っているのか。あったら便利だもんね。
「使えそう?」
「試そう!」
「え?今?でも……、時間が……」
「少し試すくらいの時間はあるよ。今、ちょっと試して、後でじっくり試そう!」
殿下達との早朝の待ち合わせの時間までには、薬師のおばあちゃんのところに行って戻ってこないといけないからあまり時間はない。ちょっと心配になったけど、兄上が僕の作った魔道具をすぐ試したいって思ってくれたのは嬉しいなぁ!
「指輪に短い間隔で魔力を通した回数で相手が選べるんだよ。父上は一回で母上が二回。兄上は三回。僕が四回でメイリは五回、ボブは六回だよ。
そうすると相手の方の腕輪がちょっと振動するんだ」
「マナーモードか……」
「マナー……?」
「いや……。腕輪が振動したら、もう話しが出来るのか?」
「腕輪に魔力を通したら、相手の声が聞こえるようになるよ。お話しを終わる時も、腕輪に魔力を通すんだけど触れる魔石はこれだよ」
説明をしながら、指輪に三回魔力を通してみた。兄上は腕輪をつけた手をビクッと持ち上げた。
「聞こえますかー?」
「聞こえるけど、目の前にいるからな……。ちょっと離れてみるぞ」
腕輪を口の前に持ってきて、話しかけたら兄上は頷きながら微妙な顔をした。
離れると言って早歩きで食堂に向かった。急いでいたのか扉の閉め方がちょっと乱暴だ。バターンって大きい音がした。早朝なのに。
兄上の姿が扉の向こうに消えてから、指輪から声が聞こえてきた。
『もしもし?』
「聞こえるよー!」
『よーし!』
兄上の大きな声が扉の向こう側と指輪からと両方から聞こえてきた。離れた意味あった?
すぐに戻ってきた兄上は嬉しそうな顔をしてポンポンと僕の両方を叩き、頭をぐりぐりとした。
「凄い!やったじゃないか!後はどのくらい距離が離れていて使えるかとか試した方が良いよ。……あ、でも、これは家族以外には見せたりしちゃダメだぞ」
「ボブも?」
「ボブは……、大丈夫だと思うけど、一応母上が良いって言ってからだ」
「わかった!」
後で、距離が離れた時の実験にも付き合ってくれそうだ。
それはそれとして、兄上が僕の作った魔道具のことを凄く喜んでくれたので嬉しい!
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