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第1章
第230話 保護者が来た
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「おはようございます」
「やあ。おはよう!魔道具のお披露目、楽しみにしてたんだよ!」
ニコニコして挨拶を返してくれるネイサン殿下。
早朝の微風のように爽やかな笑顔だ。状況が良く分からないんだけど訊いても良いのかな?。どうして辺境伯様やオーキッド伯爵まで来ているのか。すっごく気になるんだけど。
無表情の辺境伯様からは静かな圧みたいなのを感じるし、オーキッド伯爵は物珍しそうに訓練場の中を見回している。母様は微笑みを浮かべているけど、あまり機嫌が良くなさそうな気配。父上は無表情。
兄上が少しだけ僕より前に進み出た。
「今回は魔道具を少しだけ実際に使ってみる、というだけの認識でしたが、想定より見物の方が多いようです。他に何か予定をされているのでしょうか」
兄様が僕が気になっていたことを聞いてくれた!流石兄上!
ネイサン殿下は微笑みながら首を横に振った。
「特に他の予定は入っていないよ。昨夜辺境伯殿と話す機会があって、ゲンティアナ家からいただいた魔道具のお披露目会があるって言ったら、辺境伯殿も興味があるようだったんだ。
せっかくだからオーキッド伯爵にも声をかけたらどうかって言われたのでお呼びしたんだよ」
「え……」
ネイサン殿下が誘っちゃったの?お披露目会なんて立派なものじゃないのになぁ。
「もう~。お父様が使うところを見てみたいなんて言うから……。ローレン君達びっくりしているじゃない」
「娘に魔道具が贈られたと聞いたのだ。どのような物なのか確認したいのは親として当然ではないか」
シェリル嬢がちょっと気まずげに苦笑しながら辺境伯様に文句を言った。
辺境伯様は平然とした様子で応えて、オーキッド伯爵に同意を求めた。
オーキッド伯爵が頷く。
「のお、オーキッド殿」
「左様。もし危険なものであれば、持たせるわけにはいかないですからな」
フハハハと辺境伯様とオーキッド伯爵が笑い合う。お二人は保護者だから仕方がないのか。
でも、娘さんを心配してって感じでもない気がする。
父上と母様は目が笑ってない。警戒しているみたいな気配がする。
コホンと小さく咳払いをしてハロルド君が口を開いた。
「早速始める?」
「そうだね。朝食までの限られた時間しかないのだから、始めよう」
ハロルド君の言葉にネイサン殿下が頷いて、僕達の方を見てニコリとした。
このまま大人数の中、説明をするのかぁ。でも朝食の時間に遅れても困るからさっさとしないといけないね。
「クリス、どうする?」
兄上が僕の顔を覗き込んだ。ちょっと心配そうな顔をしている。
「うん。始めよ」
「大丈夫か?僕が説明をしようか?」
「大丈夫!」
兄上が説明の役を変わってくれようとしたけど、断って的場の方に向かって歩き出した。
「やあ。おはよう!魔道具のお披露目、楽しみにしてたんだよ!」
ニコニコして挨拶を返してくれるネイサン殿下。
早朝の微風のように爽やかな笑顔だ。状況が良く分からないんだけど訊いても良いのかな?。どうして辺境伯様やオーキッド伯爵まで来ているのか。すっごく気になるんだけど。
無表情の辺境伯様からは静かな圧みたいなのを感じるし、オーキッド伯爵は物珍しそうに訓練場の中を見回している。母様は微笑みを浮かべているけど、あまり機嫌が良くなさそうな気配。父上は無表情。
兄上が少しだけ僕より前に進み出た。
「今回は魔道具を少しだけ実際に使ってみる、というだけの認識でしたが、想定より見物の方が多いようです。他に何か予定をされているのでしょうか」
兄様が僕が気になっていたことを聞いてくれた!流石兄上!
ネイサン殿下は微笑みながら首を横に振った。
「特に他の予定は入っていないよ。昨夜辺境伯殿と話す機会があって、ゲンティアナ家からいただいた魔道具のお披露目会があるって言ったら、辺境伯殿も興味があるようだったんだ。
せっかくだからオーキッド伯爵にも声をかけたらどうかって言われたのでお呼びしたんだよ」
「え……」
ネイサン殿下が誘っちゃったの?お披露目会なんて立派なものじゃないのになぁ。
「もう~。お父様が使うところを見てみたいなんて言うから……。ローレン君達びっくりしているじゃない」
「娘に魔道具が贈られたと聞いたのだ。どのような物なのか確認したいのは親として当然ではないか」
シェリル嬢がちょっと気まずげに苦笑しながら辺境伯様に文句を言った。
辺境伯様は平然とした様子で応えて、オーキッド伯爵に同意を求めた。
オーキッド伯爵が頷く。
「のお、オーキッド殿」
「左様。もし危険なものであれば、持たせるわけにはいかないですからな」
フハハハと辺境伯様とオーキッド伯爵が笑い合う。お二人は保護者だから仕方がないのか。
でも、娘さんを心配してって感じでもない気がする。
父上と母様は目が笑ってない。警戒しているみたいな気配がする。
コホンと小さく咳払いをしてハロルド君が口を開いた。
「早速始める?」
「そうだね。朝食までの限られた時間しかないのだから、始めよう」
ハロルド君の言葉にネイサン殿下が頷いて、僕達の方を見てニコリとした。
このまま大人数の中、説明をするのかぁ。でも朝食の時間に遅れても困るからさっさとしないといけないね。
「クリス、どうする?」
兄上が僕の顔を覗き込んだ。ちょっと心配そうな顔をしている。
「うん。始めよ」
「大丈夫か?僕が説明をしようか?」
「大丈夫!」
兄上が説明の役を変わってくれようとしたけど、断って的場の方に向かって歩き出した。
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