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第1章
第229話 思ったより仰々しい
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急いで訓練場に向かいながら、兄上に話しかけた。
「ねえ。さっき、ブローチの魔道具を使う時をイメージしてたんだけど、良さそうな使い方を思いついたよ」
「良さそうな使い方?」
「砂を用意しておいてさ、風の魔石を使う時に砂をばら撒いたら、相手へのダメージが強くなるんじゃない?」
「確かに威力が増しそうだけど、王族や令嬢がやるようなことではなさそうだな……」
兄上が苦笑した。リネリア嬢が魔道具を使うことを想像してみたら、そもそも砂を持ち歩くって言うことをしなさそうに思った。
「まあ、身を守るための魔道具だからな。もしもの時にはそんな方法もあるってことは言っても良いかもな」
「うん。……火魔法で威力増すようなものって何かないかな?」
「火魔法は、一歩間違うと大怪我になるから、威力増しするのはやめておこう……」
「じゃあ、土魔法は……」
「応用する方法は自分で考えて貰えば良いんじゃないか?細かく教えると、その方法が効かなかったり怪我したりしたときに責任を問われるぞ。
そもそも、敵を倒すほどのパワーがあるものではないし、魔石が小さいから、すぐに魔力切れになるだろ。当てにされすぎるとかえって危険になる」
「そうだね……」
僕はスゥッと深く呼吸をしてみた。「披露会」とか言われてちょっとドキドキしちゃってた。
凄いものを見せないとガッカリされちゃうんじゃないかって、心配になってしまったけど魔道具を当てにされすぎちゃって殿下達が危険な状況になったら大変だよね。
凄い魔道具を期待されてたらごめんなさいってだけだ。
お揃いのデザインになっているってだけの「どこにでもある」魔道具だからね。
訓練場に近づくとちょっと仰々しい雰囲気になっていた。入り口の両脇に騎士が立っているし訓練場の中には、王宮騎士だけじゃなくて、他の家の騎士の人の姿も見えた。人数も多い。
訓練場の壁沿いに王宮騎士が一定間隔で立っている。
他の家の騎士、辺境伯家とテッセン伯爵家とオーキッド伯爵家の騎士が剣技エリアで八人位ずつ整列をしている。
弓技エリアの所では、ゴーシュさんが他の家の騎士達と話をしている。
何これ?
何か凄い重要なことが始まるみたいになってる。
戸惑って隣に立っていた兄上を見上げたら、兄上が僕の背中に手を当てた。少し身を屈めて小声で言う。
「クリス、魔道具の使い方の説明、だ。使い方の説明と、試しに使ってみせること以外はしなくて良いからね。心配なら俺が説明するから」
「僕が説明するよ!ご説明したい!」
上手に説明できるかわからないけど、自分で作ったものだし自分で説明したいって思っている。
行商人から買ったからどこで誰が作ったかは不明って言ってあるけどね。
「そうか」
ポンと僕の背中を叩いてから、兄上は右腕につけていた腕輪に触った。
小さい魔法陣がふわっと浮かび上がる。母様にお話?
「いやぁ、びっくりしたなぁ。魔道具の使い方の説明をするだけの予定だったのに、
訓練場では何かの大会でも始まるんじゃないかってくらいの雰囲気だ。
これ、何を期待されてるのかなぁ」
『……っ……』
兄様の指輪から微かに母様の声が聞こえた気がした。その後すぐに「お話」を終了する魔法陣が浮かび上がった。
母様がなんて言っていたのか聞こえなかったので、じっと兄上を見つめたら兄上はニッと口の端を上げて、僕の方をポンポンと叩いた。
少ししてから殿下達が訓練場に到着したのだけど、先導しているのは父上だった。父上の少し後ろには母様の姿もある。
それだけじゃなくて、辺境伯様やオーキッド伯爵様も一緒なんだけど、どうなっているの?
「ねえ。さっき、ブローチの魔道具を使う時をイメージしてたんだけど、良さそうな使い方を思いついたよ」
「良さそうな使い方?」
「砂を用意しておいてさ、風の魔石を使う時に砂をばら撒いたら、相手へのダメージが強くなるんじゃない?」
「確かに威力が増しそうだけど、王族や令嬢がやるようなことではなさそうだな……」
兄上が苦笑した。リネリア嬢が魔道具を使うことを想像してみたら、そもそも砂を持ち歩くって言うことをしなさそうに思った。
「まあ、身を守るための魔道具だからな。もしもの時にはそんな方法もあるってことは言っても良いかもな」
「うん。……火魔法で威力増すようなものって何かないかな?」
「火魔法は、一歩間違うと大怪我になるから、威力増しするのはやめておこう……」
「じゃあ、土魔法は……」
「応用する方法は自分で考えて貰えば良いんじゃないか?細かく教えると、その方法が効かなかったり怪我したりしたときに責任を問われるぞ。
そもそも、敵を倒すほどのパワーがあるものではないし、魔石が小さいから、すぐに魔力切れになるだろ。当てにされすぎるとかえって危険になる」
「そうだね……」
僕はスゥッと深く呼吸をしてみた。「披露会」とか言われてちょっとドキドキしちゃってた。
凄いものを見せないとガッカリされちゃうんじゃないかって、心配になってしまったけど魔道具を当てにされすぎちゃって殿下達が危険な状況になったら大変だよね。
凄い魔道具を期待されてたらごめんなさいってだけだ。
お揃いのデザインになっているってだけの「どこにでもある」魔道具だからね。
訓練場に近づくとちょっと仰々しい雰囲気になっていた。入り口の両脇に騎士が立っているし訓練場の中には、王宮騎士だけじゃなくて、他の家の騎士の人の姿も見えた。人数も多い。
訓練場の壁沿いに王宮騎士が一定間隔で立っている。
他の家の騎士、辺境伯家とテッセン伯爵家とオーキッド伯爵家の騎士が剣技エリアで八人位ずつ整列をしている。
弓技エリアの所では、ゴーシュさんが他の家の騎士達と話をしている。
何これ?
何か凄い重要なことが始まるみたいになってる。
戸惑って隣に立っていた兄上を見上げたら、兄上が僕の背中に手を当てた。少し身を屈めて小声で言う。
「クリス、魔道具の使い方の説明、だ。使い方の説明と、試しに使ってみせること以外はしなくて良いからね。心配なら俺が説明するから」
「僕が説明するよ!ご説明したい!」
上手に説明できるかわからないけど、自分で作ったものだし自分で説明したいって思っている。
行商人から買ったからどこで誰が作ったかは不明って言ってあるけどね。
「そうか」
ポンと僕の背中を叩いてから、兄上は右腕につけていた腕輪に触った。
小さい魔法陣がふわっと浮かび上がる。母様にお話?
「いやぁ、びっくりしたなぁ。魔道具の使い方の説明をするだけの予定だったのに、
訓練場では何かの大会でも始まるんじゃないかってくらいの雰囲気だ。
これ、何を期待されてるのかなぁ」
『……っ……』
兄様の指輪から微かに母様の声が聞こえた気がした。その後すぐに「お話」を終了する魔法陣が浮かび上がった。
母様がなんて言っていたのか聞こえなかったので、じっと兄上を見つめたら兄上はニッと口の端を上げて、僕の方をポンポンと叩いた。
少ししてから殿下達が訓練場に到着したのだけど、先導しているのは父上だった。父上の少し後ろには母様の姿もある。
それだけじゃなくて、辺境伯様やオーキッド伯爵様も一緒なんだけど、どうなっているの?
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