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第1章
第234話 希少らしい治癒魔石
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リネリア嬢が顔を上げて、ニコリと微笑んだ。
「多分ですけど、水属性の方だから水の魔石の効果が気になるんだと思いますわ」
「そうなんですか?」
「ええ。私もそうだもの。しかも治癒。水魔法の使い手でも治癒を使える人は限られているんですって。
『治癒玉』っていう治癒魔法が使える水の魔石があるのだけど、かなり希少で高価だって聞いたことがあるわ。
それが、このブローチには治癒が使える水魔石がついているっていうんですもの。
小さい魔石だし効果は少ないのでしょうけれど、どのくらいの怪我を治癒できるのか気になるっているんだと思うわ」
「へえ……」
治癒玉ってそんなに高価なの?ちょっと切り傷とかできちゃった時とかに使ってたけど。でも怪我したまま帰ると母様が心配するから仕方ないよね。最近は自分で治癒玉を作れるようになったけど、確かに治癒玉の魔法陣は複雑で作るのは時間がかかるんだよね。買ったら高いのは仕方ないのかも。
ブローチにつけている水魔石はかなり小さい魔石だから、リネリア嬢の予想通り、治癒玉に比べれば治癒できる範囲はかなり少ない。治癒玉が全身の傷を治癒できるとしたら、ブローチの水魔石は、肘から指先くらいまでとかかな?
治癒の機能については一旦置いておいて、リネリア嬢にブローチを試してもらう。
「最初は一番危なくなさそうな土魔法を使ってみるわ」
「それなら、土の山を出したい場所に、ブローチを向けてください。
正確な位置になっているかハッキリさせるためには、わかりやすい場所が良いですよ。あの土魔法の跡とか」
先ほど、ネイサン殿下とハロルド君がブローチの魔法で作った土の山は、もう崩してあったけど跡が残っていた。
山ができていた部分の色が微妙に違うのだ。
「……じゃあ、それを狙ってみるわ」
リネリア嬢はちょっとキリッとした表情になって、ブローチの向きを調整した。
緊張した顔でブローチの魔石に指を触れる。
「あ!」
ズズっと小さい土の壁が出てきたところは、目標の位置よりちょっと奥だった。
「あー、狙いが外れたわ!」
リネリア嬢はちょっと残念そうな声を上げたけど、顔は笑顔だ。
「でも、私にも土魔法が使えたわ!」
「方向は合っていたので、何度かやったら当たるようになりますよ」
「火魔法でも同じところを狙ってみるわ!」
リネリア嬢は楽しそうに盛り上がった土の壁に狙いを定めて、ブローチから火魔法を放った。
リネリア嬢のブローチからの火魔法は、土の壁の上部を掠めた。
「ちょっと当たったわ!」
「はい!お見事でした!」
リネリア嬢が笑顔で振り向いた。
僕が作った魔道具を楽しんでくれて嬉しい。パチパチと拍手をすると、見物客……じゃなかった、周囲で見ている騎士の人達の一部が拍手をし始めた。
リネリア嬢の家の騎士の人達だと思う。
後は、的の整備の為に待機しているゲンティアナの騎士と、兄上かな。
後方では、まだシェリル嬢が辺境伯様と話をしていて、そちらに注目している人が多い。
「えい!」
ブローチから風魔法を放って立ててあった板を見事に吹き飛ばした後、リネリア嬢はシェリル嬢がいる方をチラリと見た。
「次は治癒よ!えい!」
リネリア嬢が治癒魔石を使う宣言をした。でも、何も起きなかった。
近くに怪我人がいないからじゃなくて、治癒魔法の魔法陣が浮かび上がらなかった。
発動に失敗した?
「多分ですけど、水属性の方だから水の魔石の効果が気になるんだと思いますわ」
「そうなんですか?」
「ええ。私もそうだもの。しかも治癒。水魔法の使い手でも治癒を使える人は限られているんですって。
『治癒玉』っていう治癒魔法が使える水の魔石があるのだけど、かなり希少で高価だって聞いたことがあるわ。
それが、このブローチには治癒が使える水魔石がついているっていうんですもの。
小さい魔石だし効果は少ないのでしょうけれど、どのくらいの怪我を治癒できるのか気になるっているんだと思うわ」
「へえ……」
治癒玉ってそんなに高価なの?ちょっと切り傷とかできちゃった時とかに使ってたけど。でも怪我したまま帰ると母様が心配するから仕方ないよね。最近は自分で治癒玉を作れるようになったけど、確かに治癒玉の魔法陣は複雑で作るのは時間がかかるんだよね。買ったら高いのは仕方ないのかも。
ブローチにつけている水魔石はかなり小さい魔石だから、リネリア嬢の予想通り、治癒玉に比べれば治癒できる範囲はかなり少ない。治癒玉が全身の傷を治癒できるとしたら、ブローチの水魔石は、肘から指先くらいまでとかかな?
治癒の機能については一旦置いておいて、リネリア嬢にブローチを試してもらう。
「最初は一番危なくなさそうな土魔法を使ってみるわ」
「それなら、土の山を出したい場所に、ブローチを向けてください。
正確な位置になっているかハッキリさせるためには、わかりやすい場所が良いですよ。あの土魔法の跡とか」
先ほど、ネイサン殿下とハロルド君がブローチの魔法で作った土の山は、もう崩してあったけど跡が残っていた。
山ができていた部分の色が微妙に違うのだ。
「……じゃあ、それを狙ってみるわ」
リネリア嬢はちょっとキリッとした表情になって、ブローチの向きを調整した。
緊張した顔でブローチの魔石に指を触れる。
「あ!」
ズズっと小さい土の壁が出てきたところは、目標の位置よりちょっと奥だった。
「あー、狙いが外れたわ!」
リネリア嬢はちょっと残念そうな声を上げたけど、顔は笑顔だ。
「でも、私にも土魔法が使えたわ!」
「方向は合っていたので、何度かやったら当たるようになりますよ」
「火魔法でも同じところを狙ってみるわ!」
リネリア嬢は楽しそうに盛り上がった土の壁に狙いを定めて、ブローチから火魔法を放った。
リネリア嬢のブローチからの火魔法は、土の壁の上部を掠めた。
「ちょっと当たったわ!」
「はい!お見事でした!」
リネリア嬢が笑顔で振り向いた。
僕が作った魔道具を楽しんでくれて嬉しい。パチパチと拍手をすると、見物客……じゃなかった、周囲で見ている騎士の人達の一部が拍手をし始めた。
リネリア嬢の家の騎士の人達だと思う。
後は、的の整備の為に待機しているゲンティアナの騎士と、兄上かな。
後方では、まだシェリル嬢が辺境伯様と話をしていて、そちらに注目している人が多い。
「えい!」
ブローチから風魔法を放って立ててあった板を見事に吹き飛ばした後、リネリア嬢はシェリル嬢がいる方をチラリと見た。
「次は治癒よ!えい!」
リネリア嬢が治癒魔石を使う宣言をした。でも、何も起きなかった。
近くに怪我人がいないからじゃなくて、治癒魔法の魔法陣が浮かび上がらなかった。
発動に失敗した?
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