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第2章
第252話 不安な光景
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夕暮れの河原。苔むした岩の間から勢い水が流れ、水飛沫が飛んでいる。
遠くに見える山は鋭く尖り、頂上近くでは夕暮れの空に星が一つ瞬いている。
木々の影から人影が現れた。黒いフードを被った人物はが岩の上に立った。
キョロキョロと周囲の様子を伺うように顔を動かした後、黒っぽい手袋を嵌めてから小瓶を取り出した。
小瓶の中は良く見えない。小瓶の蓋が開けられて中の液体が糸を垂らすように川に注がれて行った。
最後の一滴が落ちた後、小瓶と手袋を川の中に投げ入れた。
その瞬間、被っていたフードがずれ、チラリと覗かせた顔には眉の傷が目立った。
さっと再びフードを被った人物は、夕闇が迫る中、薄暗い木々の中に消えていった。
脳裏に浮かんできた光景に僕はとてつもなく不安な気持ちになった。
眉に傷の男!あの小瓶ってもしかして毒!?
脳裏の光景には毒鑑定できなかったけど!
場所、何処?
これは未来のことなの?それとも過去のことなの?本当のことなの?
あれが毒だったら大変なんじゃない?
どうしよう!
川に毒!
いや、毒とは限らないけど!
場所は、場所は……!
見たことない場所だった。ゲンティアナの中なのかどうかも分からない。
とりあえず、覚えている光景を絵に書いておこう。
尖った山と木々と大きな岩がある河原が場所の特徴かな。
描き終わっても心臓がドキドキしていた。
描き上がった絵をじっと見返してたけど、不安な気持ちが消えなくて「お話」の魔道具を手に取った。
「……なるほどな。この人物が何処かの川に毒を撒いたかもしれないってことなのか」
「うん……。場所も分からないけど……。落ち着かなくて……」
「お話」の魔道具で兄上に連絡をしたら部屋まで来てくれた。
描いた絵を見せながら、脳裏で見た光景のことを説明をする。兄上は僕が描いた絵をじっと見つめて難しそうな顔をした。
「……この尖った山が場所を特定する手がかりかと思うけど、こんな山見たことないから、この辺じゃない気がするよ」
「そうなの?でも、何処かで毒を撒いているかもしれないんだよね」
「……とりあえず、この絵の場所に心当たりがないか、明日母上に聞いてみよう。父上が戻られたら父上にも聞いてみるのが良いんじゃないか。
だけど、この絵のことは実際に起きるかどうかも分からないだろ。
考え過ぎても仕方ないよ。慌てなくても良いと思うよ」
兄上はそういうと僕の頭にポンと手を乗せた。
「でも……、何か起きるからこの光景を見たんじゃないのかな……」
「対処が必要だから『夢』を見たのだとしたら、対処は可能ってことだ」
兄上は落ち着いた表情でそう言ってから視線を文机の方にチラリと動かした。
「……また、何か新たに作ったのか?」
「新しくないよ。『手紙』の魔道具。メイリが軽くして欲しいって言ってたから。ほら、送る方と受け取る方を分けたんだ。こっちは文字が出るだけ」
僕はそう言って、文机から「メッセージ」の魔道具を取って、カードサイズになった魔道具を見せた。
あ、「手紙」の魔道具と区別した名前をつけたから、新たに作ったってことになるのかな。
「それポケべ……」
「え?」
「いや……。随分コンパクトサイズになったな……」
「でしょでしょ?」
はあ、と兄上は大きく息を吐いた後、「メッセージ」の魔道具を操作し始めて家族分作った「メッセージ」の魔道具の動作テストにも付き合ってくれた。
遠くに見える山は鋭く尖り、頂上近くでは夕暮れの空に星が一つ瞬いている。
木々の影から人影が現れた。黒いフードを被った人物はが岩の上に立った。
キョロキョロと周囲の様子を伺うように顔を動かした後、黒っぽい手袋を嵌めてから小瓶を取り出した。
小瓶の中は良く見えない。小瓶の蓋が開けられて中の液体が糸を垂らすように川に注がれて行った。
最後の一滴が落ちた後、小瓶と手袋を川の中に投げ入れた。
その瞬間、被っていたフードがずれ、チラリと覗かせた顔には眉の傷が目立った。
さっと再びフードを被った人物は、夕闇が迫る中、薄暗い木々の中に消えていった。
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脳裏の光景には毒鑑定できなかったけど!
場所、何処?
これは未来のことなの?それとも過去のことなの?本当のことなの?
あれが毒だったら大変なんじゃない?
どうしよう!
川に毒!
いや、毒とは限らないけど!
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見たことない場所だった。ゲンティアナの中なのかどうかも分からない。
とりあえず、覚えている光景を絵に書いておこう。
尖った山と木々と大きな岩がある河原が場所の特徴かな。
描き終わっても心臓がドキドキしていた。
描き上がった絵をじっと見返してたけど、不安な気持ちが消えなくて「お話」の魔道具を手に取った。
「……なるほどな。この人物が何処かの川に毒を撒いたかもしれないってことなのか」
「うん……。場所も分からないけど……。落ち着かなくて……」
「お話」の魔道具で兄上に連絡をしたら部屋まで来てくれた。
描いた絵を見せながら、脳裏で見た光景のことを説明をする。兄上は僕が描いた絵をじっと見つめて難しそうな顔をした。
「……この尖った山が場所を特定する手がかりかと思うけど、こんな山見たことないから、この辺じゃない気がするよ」
「そうなの?でも、何処かで毒を撒いているかもしれないんだよね」
「……とりあえず、この絵の場所に心当たりがないか、明日母上に聞いてみよう。父上が戻られたら父上にも聞いてみるのが良いんじゃないか。
だけど、この絵のことは実際に起きるかどうかも分からないだろ。
考え過ぎても仕方ないよ。慌てなくても良いと思うよ」
兄上はそういうと僕の頭にポンと手を乗せた。
「でも……、何か起きるからこの光景を見たんじゃないのかな……」
「対処が必要だから『夢』を見たのだとしたら、対処は可能ってことだ」
兄上は落ち着いた表情でそう言ってから視線を文机の方にチラリと動かした。
「……また、何か新たに作ったのか?」
「新しくないよ。『手紙』の魔道具。メイリが軽くして欲しいって言ってたから。ほら、送る方と受け取る方を分けたんだ。こっちは文字が出るだけ」
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あ、「手紙」の魔道具と区別した名前をつけたから、新たに作ったってことになるのかな。
「それポケべ……」
「え?」
「いや……。随分コンパクトサイズになったな……」
「でしょでしょ?」
はあ、と兄上は大きく息を吐いた後、「メッセージ」の魔道具を操作し始めて家族分作った「メッセージ」の魔道具の動作テストにも付き合ってくれた。
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