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第2章
第253話 「メッセージ」の魔道具実験
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「……もしもあの黒いローブの人を見かけた時とか、これがあればすぐに父上や母様に連絡できるね」
「……そんな状況になったら直ぐに逃げるんだぞ。連絡をするならその後だ。危険なんだからな?」
「分かってる。怖いよねぇ。夜眠れなくなっちゃう」
「僕は別の意味で眠れない気がする……」
兄上はブツブツ言いながら、片手を上げて「同時に送信」の合図をする。
一人の相手に、二人が同時にメッセージを送ったらどうなるかの実験だ。
メイリ用の「メッセージ」の魔道具に、僕と兄上で同時にメッセージを送るんだ。
僕が書いたのは「メイリ大好き」だ。
メイリ用の魔道具がわずかに振動した。兄上と二人で結果を見ると兄上が送ったらしい「メイリ可愛い」が先に表示されていた。
僕が送ったのは次のメッセージとして下に表示されている。どちらが送ったかは、メッセージの先頭に番号が表示されているからわかる。
「兄上の方が早かった!」
「同時に送信」の結果は両方のメッセージが表示されていて一応成功なんだけど、微妙に悔しい。
「そこは勝ち負けじゃないだろ」
「だってさぁ……。あー、メイリにこの魔道具をあげた時に『可愛い』と『大好き』って既に書いてあったらメイリは喜ぶかなぁ」
メイリが喜ぶ顔を想像したら、嬉しくなって口元がニヤけてしまう。
兄上はじーっと僕を見た後、はぁと息を吐いてから口を開いた。
「……それなら母上にも送った方が良いと思うぞ」
「あ!そうだね!」
母様にも同じように「同時に送信」でメッセージを送った。今度も兄上のメッセージが先に入っていた。
兄上、「送る」の魔石に魔力を通すのと僕に合図をするのがほぼ同時なんじゃなのかもしれない。
翌朝、目を覚ますと普段より空気がシーンと静まり返っているような気がした。
考えてみると、屋敷に大勢で滞在していたお客様が帰られたから、人の気配が減ったんだな。
ちょっと不思議な感じがする。殿下達は元気かなぁ。
あの黒いローブの人物のことを考えると眠れないと思ってたけど、いつの間にか眠ってしまったようだ。
兄上が言っていた通り、考え過ぎても仕方ないことなんだよね。
朝食の時間にでも母様に黒ローブの人物がいる絵を見てもらおうと、絵を「収納」に仕舞った。
着替えて外に出て、意識を周囲に向けてみる。
ピーンと張り詰めたような空気の中に、何ヶ所かに気配を感じる。訓練場の方からこちらに近づいてくる気配があったので
振り向いた。
「おはよう!クリス!」
「兄上、おはよう!」
兄上は既に何周か走っていたみたいだ。立ち止まらずに速度だけ緩めたと思ったら、また速度を上げたので、追いかけて走る。
離れと本館の周りを何周か走ったり、訓練場で弓や魔法の練習をするとまた静かさを実感した。
よく分からないけど気楽な感じがする。
お客様がいても嫌ではなかったんだけどね。
「今日は魔魚釣りに行くか?ちょっと川の上流まで」
額の汗を拭いながら兄上が今日の予定の提案をしてくれた。
「川の上流!」
僕は昨晩、脳裏で見た光景のことを思い出した。
もしかして、僕が見た黒ローブの人物の事を考えて、提案してくれたのかな?
じっと兄上を見つめると、兄上が小さく頷いた。
「……そんな状況になったら直ぐに逃げるんだぞ。連絡をするならその後だ。危険なんだからな?」
「分かってる。怖いよねぇ。夜眠れなくなっちゃう」
「僕は別の意味で眠れない気がする……」
兄上はブツブツ言いながら、片手を上げて「同時に送信」の合図をする。
一人の相手に、二人が同時にメッセージを送ったらどうなるかの実験だ。
メイリ用の「メッセージ」の魔道具に、僕と兄上で同時にメッセージを送るんだ。
僕が書いたのは「メイリ大好き」だ。
メイリ用の魔道具がわずかに振動した。兄上と二人で結果を見ると兄上が送ったらしい「メイリ可愛い」が先に表示されていた。
僕が送ったのは次のメッセージとして下に表示されている。どちらが送ったかは、メッセージの先頭に番号が表示されているからわかる。
「兄上の方が早かった!」
「同時に送信」の結果は両方のメッセージが表示されていて一応成功なんだけど、微妙に悔しい。
「そこは勝ち負けじゃないだろ」
「だってさぁ……。あー、メイリにこの魔道具をあげた時に『可愛い』と『大好き』って既に書いてあったらメイリは喜ぶかなぁ」
メイリが喜ぶ顔を想像したら、嬉しくなって口元がニヤけてしまう。
兄上はじーっと僕を見た後、はぁと息を吐いてから口を開いた。
「……それなら母上にも送った方が良いと思うぞ」
「あ!そうだね!」
母様にも同じように「同時に送信」でメッセージを送った。今度も兄上のメッセージが先に入っていた。
兄上、「送る」の魔石に魔力を通すのと僕に合図をするのがほぼ同時なんじゃなのかもしれない。
翌朝、目を覚ますと普段より空気がシーンと静まり返っているような気がした。
考えてみると、屋敷に大勢で滞在していたお客様が帰られたから、人の気配が減ったんだな。
ちょっと不思議な感じがする。殿下達は元気かなぁ。
あの黒いローブの人物のことを考えると眠れないと思ってたけど、いつの間にか眠ってしまったようだ。
兄上が言っていた通り、考え過ぎても仕方ないことなんだよね。
朝食の時間にでも母様に黒ローブの人物がいる絵を見てもらおうと、絵を「収納」に仕舞った。
着替えて外に出て、意識を周囲に向けてみる。
ピーンと張り詰めたような空気の中に、何ヶ所かに気配を感じる。訓練場の方からこちらに近づいてくる気配があったので
振り向いた。
「おはよう!クリス!」
「兄上、おはよう!」
兄上は既に何周か走っていたみたいだ。立ち止まらずに速度だけ緩めたと思ったら、また速度を上げたので、追いかけて走る。
離れと本館の周りを何周か走ったり、訓練場で弓や魔法の練習をするとまた静かさを実感した。
よく分からないけど気楽な感じがする。
お客様がいても嫌ではなかったんだけどね。
「今日は魔魚釣りに行くか?ちょっと川の上流まで」
額の汗を拭いながら兄上が今日の予定の提案をしてくれた。
「川の上流!」
僕は昨晩、脳裏で見た光景のことを思い出した。
もしかして、僕が見た黒ローブの人物の事を考えて、提案してくれたのかな?
じっと兄上を見つめると、兄上が小さく頷いた。
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