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第7話
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シリルとエイダがエヴァンス侯爵邸にやって来た日から二週間ほど過ぎた。
アイリーンの父であるエヴァンス侯爵とシリルの父であるマイソン伯爵の間では、婚約解消についてもう話し合いは終わって、伯爵家側が慰謝料を払い円満に解消となった。
エイダの実家であるバーク家への慰謝料請求は近々行う予定である。
二週間前のあの出来事は、思ったよりもアイリーンを精神的に参らせていた。
シリルへの気持ち的な部分ではなく、17歳なのに婚約者がいない状態になり、さらにアイリーンに非がないとは言え、社交界ではどのように噂されてしまうのか、新たな婚約者は見つかるのだろうかという不安である。
少し屋敷に引きこもり気味になっているアイリーンを見かねて、ウィリアムが気晴らしの為に街へ遊びに連れて行ってくれることになった。
ウィリアムはエヴァンス侯爵家が治める領地の隣の領地を治めているグレニスター子爵家の二男で、親戚ではないが、家ぐるみで今も何かと付き合いがある。
彼は今、14歳でアイリーンより3歳年下だが、知り合った当初からアイリーンは弟分として優しくしていたし、ウィリアムは姉のようにアイリーンを慕っていた。
ウィリアムは太陽の光を集めたかのような巻き毛の金髪にサファイアのような深い蒼色の瞳の美少年である。
街へ遊びに行く当日、エヴァンス侯爵邸までウィリアムはアイリーンを迎えに来た。
「アイリーン様、お迎えに来ました。さぁ行きましょう」
「お迎えありがとう、ウィリアム。ええ。行きましょう」
二人は馬車に乗って街へと赴いた。
エヴァンス侯爵邸から1時間程度で街に到着する。
気心の知れた仲とは言え、婚約者同士ではない未婚の男女が二人きりで一緒に馬車に乗ったり、街を歩くのはいらぬ誤解を呼ぶことになるので、アイリーンの付き添いにメイドが一人、ウィリアムの付き添いに従者が一人同行している。
今日はお忍びで街に遊びに行くのでアイリーンもウィリアムも裕福な商人の娘や息子に見えるような装いだ。
アイリーンが街に行くのは久々で、別に何か特別なものを買わなくても、お店のショーウィンドウに並べられているものを見たり、街の風景を見るだけでも楽しい。
今日はウィリアムが人気のカフェを予約しているとのことなので、今はカフェに向かっている。
カフェに到着し、店員の案内により席に着き、メニュー表を見る。
付き添いのメイドと従者は「自分達も一緒の席に座るなんて……」と遠慮していたが、アイリーン達のそばで立たせると変に目立ってしまう為、4人で一つのテーブルを囲んでいる。
「どれにしようかしら?」
「このお店のケーキはどれも美味しいって聞いたから、ケーキと紅茶のセットがいいと思います」
「でしたら私は白桃のタルトにしようかしら。ウィリアムはどれにするか決めた?」
「僕はアップルパイにします」
それぞれ注文し、頼んだものがテーブルに運ばれてくる。
アイリーンが頼んだ白桃のタルトもウィリアムが頼んだアップルパイもどちらも美味しそうな香りや見た目だ。
アイリーンの父であるエヴァンス侯爵とシリルの父であるマイソン伯爵の間では、婚約解消についてもう話し合いは終わって、伯爵家側が慰謝料を払い円満に解消となった。
エイダの実家であるバーク家への慰謝料請求は近々行う予定である。
二週間前のあの出来事は、思ったよりもアイリーンを精神的に参らせていた。
シリルへの気持ち的な部分ではなく、17歳なのに婚約者がいない状態になり、さらにアイリーンに非がないとは言え、社交界ではどのように噂されてしまうのか、新たな婚約者は見つかるのだろうかという不安である。
少し屋敷に引きこもり気味になっているアイリーンを見かねて、ウィリアムが気晴らしの為に街へ遊びに連れて行ってくれることになった。
ウィリアムはエヴァンス侯爵家が治める領地の隣の領地を治めているグレニスター子爵家の二男で、親戚ではないが、家ぐるみで今も何かと付き合いがある。
彼は今、14歳でアイリーンより3歳年下だが、知り合った当初からアイリーンは弟分として優しくしていたし、ウィリアムは姉のようにアイリーンを慕っていた。
ウィリアムは太陽の光を集めたかのような巻き毛の金髪にサファイアのような深い蒼色の瞳の美少年である。
街へ遊びに行く当日、エヴァンス侯爵邸までウィリアムはアイリーンを迎えに来た。
「アイリーン様、お迎えに来ました。さぁ行きましょう」
「お迎えありがとう、ウィリアム。ええ。行きましょう」
二人は馬車に乗って街へと赴いた。
エヴァンス侯爵邸から1時間程度で街に到着する。
気心の知れた仲とは言え、婚約者同士ではない未婚の男女が二人きりで一緒に馬車に乗ったり、街を歩くのはいらぬ誤解を呼ぶことになるので、アイリーンの付き添いにメイドが一人、ウィリアムの付き添いに従者が一人同行している。
今日はお忍びで街に遊びに行くのでアイリーンもウィリアムも裕福な商人の娘や息子に見えるような装いだ。
アイリーンが街に行くのは久々で、別に何か特別なものを買わなくても、お店のショーウィンドウに並べられているものを見たり、街の風景を見るだけでも楽しい。
今日はウィリアムが人気のカフェを予約しているとのことなので、今はカフェに向かっている。
カフェに到着し、店員の案内により席に着き、メニュー表を見る。
付き添いのメイドと従者は「自分達も一緒の席に座るなんて……」と遠慮していたが、アイリーン達のそばで立たせると変に目立ってしまう為、4人で一つのテーブルを囲んでいる。
「どれにしようかしら?」
「このお店のケーキはどれも美味しいって聞いたから、ケーキと紅茶のセットがいいと思います」
「でしたら私は白桃のタルトにしようかしら。ウィリアムはどれにするか決めた?」
「僕はアップルパイにします」
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