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第3話
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マリアがソフィアの両親を呼びに行って、数分後、現在ソフィアとビクター、ブリジットがいる庭園に彼らはやって来た。
ソフィアの両親はマリアから既にソフィアとビクターの間にどういう会話の流れがあったのか報告を受けており、把握している。
「ソフィア。私達に確認したいことがあると聞いてここまで来たのだが……」
「お父様。ビクターがそこのブリジットさんとお付き合いしていて、彼女と結婚なさるそうで先程婚約破棄を突き付けられました。それを私は承諾しました。そこまでは別に問題はなかったのですが、ビクターが私にリシャール侯爵家から出て行けと発言して。その話の流れでビクターが自分はリシャール侯爵家の息子だなんて主張し始めて、私がビクターはリシャール侯爵家の籍にビクターは入っていないと教えて差し上げたら、”嘘だ! 確認しろ!”だなんて言うものですから止む無くお呼びしました」
「なんだ。そんなことか。ビクター君は我が家の籍には入れてないよ」
「お、おじさん!? どうして僕の籍がこの家にないの!?」
「籍はビクター君がちゃんとリシャール侯爵家の娘婿にふさわしく行動し、ソフィアと結婚した時にはじめて娘婿として我が家の籍に入れることにしていたんだよ。私と養子縁組して、実子のソフィアと養子の君の結婚という形にしても良かったんだけど、そうすると君はますます増長するだろうと思って」
「増長……? 僕は間違ったことなんてしていない!」
「ビクター君。一年間でいくらあなたの服飾代を使ったと思っているの?」
ソフィアの母がビクターに静かに問いかける。
「たかだか金貨1000枚でしょう? 僕は着飾る価値のある人間だから、おじさんとおばさんは僕にそのくらい使って当たり前だよ」
ビクターのふざけた発言を聞いて、ソフィアの両親とソフィアは密かに激怒した。
当然のことながらお金は何もしなくても湧いてくるものではない。
それ相応の仕事をしているのだ。
働いて金銭を得ている訳でもなく、ソフィアの婚約者としての義理を果たしている訳でもない単なる居候にたかだか金貨1000枚自分に使って当たり前だなんて言われる筋合いはどこにもない。
「あなたの服飾代は金貨1000枚どころか1500枚よ。私達は三人合わせて金貨700枚。娘の婚約者だからと大目に見てあげたけれど、その待遇を感謝もなく当たり前だなんて厚かましいにも程がありますわ」
「そうだね。それでも娘婿としてきちんと勉強の課題をこなしたり、社交の技術を磨いたりといった今のビクター君がやるべきことを真面目にこなしてくれるならば、別に私達もこの件について君に何も言うつもりはなかった。けれど……どうだい? 今の状況は?」
そこで一旦区切って、まっすぐにビクターを見据え、冷酷に告げる。
「勉強はさぼり、街で放蕩。婚約者がいながら恋人を作り、ソフィアに婚約破棄を突き付ける。そしてあまつさえソフィアにリシャール侯爵家から出て行けという。ましてや君は保護すべき子供でもなく成人済みだ。やるべきことをやらない者に私達はいつまでも援助はしない」
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