女官は推しの妄想をして腐っていたい~という訳で、お付きのお嬢様が立てるフラグはすべて私が折らせていただきます~

さくらぱん

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四つ目のフラグ

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「こ、これは言いたくはなかったのだが……」

 右手で顔を覆った皇太子様が震える声で続けます。

「ふ、不義密通をしていた疑いもあるのだ……信じたくはない。信じたくはないのだが……」

 不義密通って、このお嬢様がですか?
 私を含めた全員がアリス様を見つめます。

 お嬢様は困ったように微笑むだけです。
 こういうところでなにも言えない方なんですよねえ。
 そこがいいんですけど!

「あの、どなたとでしょうか……」

 それを聞かなければ始まらない。

 皇太子様が一人の人物を指さした。

 そこにたたずむのは青く長い髪をした王子様でした。
 彼ははるか遠い国から、半ば人質という形でやってきたのです。

 美形揃いの『ロイニィ』においても白眉のキャラと言えばこの方を置いて他にはありません。
 当然のようにゲームではサブヒーローでした。
 公式はやることが憎いんですよ。
 こういうおいしいキャラの出番を減らして焦らすんですから。

 遠方の新参国なのでなにかと立場が弱く、陰謀に巻き込まれては死亡フラグが立ってしまうその不幸っぷりに、ゲームでは涙を禁じ得ませんでした。
 そういうキャラを仲人プレイでハッピーエンドに導くのが最高に楽しいんですけど!

 ちなみにこの王子様。純粋な人間ではありません。
 設定では竜神と妖精のハーフになってます。
 この美貌も納得の設定ですよね。

「そこの王子が泣いていた。そして彼女が抱きしめているところを……私が、見たのだ」

 苦悩する皇太子様もいいわー。
 唇を噛み締めるところなんて惚れ惚れしちゃいますよ。

「わた、しの……俺の婚約者であれば、他の男と触れ合うなど言語道断であろう! 違うか!」

 これまでとは明らかにテンションが違います。
 なにしろご自分が目撃してしまったのですから信用度はこれまでとは段違い。

 信じたくない、でも目にしてしまった。
 その苦しみが痛いほど伝わってきます。

 とはいえ、ここでお嬢様のフラグを折らなければ私も一緒に退場なのですから心を鬼にするしかないのです。
 泣いてもいいんですよ、皇太子様。
 私は一匹の鬼なんですから。

「お恥ずかしながら――」

 私の機先を制したのは当の王子様でした。
 鬼ではなく竜が相手をするようです。

「初めてのことで自分も混乱をしていたのです。申し訳ありません」

「なな、なんと……やはりあれは……私の見間違いでは、なかった、のか……」

 膝から皇太子様が崩れ落ちました。
 今、結構、鈍い音がしましたけど大丈夫ですか?
 聖女様を呼んできましょうか?
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