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禁忌の子
捜索
夜、チェイスが食事を持って来た。
「食べながらでいいから聞いてくれ。今から3時間後に決行する事になった」
――ムグムグ
「部屋を探すのが俺とお前の2人で、後は外で待機させておく。見つかりしだい俺が『念話』で連絡して脱出だ」
――ムグムグ……ゴクン
「作戦は分かったけど、時間が……」
「それなら大丈夫だ。これを渡しておく」
――コトッ
そう言ってチェイスが机に置いたのは砂時計だった。
「上の砂が落ちきったら30分だ」
(へぇ~この世界にも砂時計ってあるんだぁ。ちなみに時間の間隔も1週間の間隔も、前の世界と同じだから助かるよね~)
「それと、これも渡しておく。こいつはアイテム袋と言って、普通のカバンより多く入るし重さを感じないんだ。中に1週間くらいの非常食と金が少し、野営に必要な道具も入れておいたから、後は自分が持って行きたいものを入れておけ」
私はチェイスからアイテム袋を受け取りながらお礼を言った。
「ありがとう……でも、貰ってもいいの?逃げる時に必要なんじゃ……」
(私……アイテムボックスがあるしなぁ)
「気にするな、量はあるし途中で他の地を探してた仲間とも合流するから大丈夫だ……協力して貰うんだから、これくらいさせてくれ」
「……ありがとう……チェイス」
アイテムボックスの事を隠してる事に罪悪感を抱きながら再度お礼を言った。
(ごめんなさい……でも、まだ全部を信用する事は出来ないから……)
チェイスは私を見た後、上に戻る為にドアを開けながら、
「……そんな顔する必要はないぞ。ちゃんと分かってる……お前はもう少し狡くなれ……これから生き残る為にもな」
――パタン――ガチャン
「………………うん」
3時間後――
時間になりチェイスが迎えにきた。
「ほら、このマントを着てフードで顔を隠しとけ。それと靴だ」
私は渡されたマントと靴を身につけチェイスと部屋――地下室を出た。
目覚めてから初めて地下室の外に出たからか、少しドキドキしていた。
「使用人たちが準備で疲れて、早めに休んでいるといっても見張りはいるから慎重に行くぞ」
私はチェイスの言葉に少し考えてから、ある提案をした。
「……チェイス、私の魔法を使おう。そうすれば隠れなくていいから」
「は?……お前の魔法って……結界以外も使えるのか?」
「うん……本当は危ない時以外は使わないつもりだった。でも、チェイスの‘狡くなれ’って言葉で決めたの」
「決めたって……何をだ?」
「……私は今出せる力、全て使ってチェイスたちを助ける」
チェイスは私の言葉に目を見開いた。
「その変わり約束して欲しいの」
「……何だ?」
「ここからディアネス共和国への道と情報の提供、これから何を見ても詮索しない事、出来るだけ私の事を誰にも話さない事」
「………………………」
しばらく無言で見つめあった後、チェイスは答えた。
「約束する。獣人……いや、俺の誇りにかけて」
「ありがとう」
チェイスの答えに私はさっそく魔法をかけた。
「じゃあ、まず私にかけるね……『隠密』」
――スゥー
「なっ!?消えた?気配もしない……おい、いるのか?」
「フフッ……ちゃんといるよ、消えたように見えるだけ、チェイスにもかけるね『隠密』」
――スゥー
「おぉ?お前が見える……俺は消えているのか?」
「そうだよ。『隠密』をかけている者同士はお互いが見えるけど、周りからは見えてないし、気配も匂いも消えるの。でも、声を出せば聞こえるし、ぶつかれば気付かれるから気を付けてね」
「……しかし、無詠唱だとはな」
(あっ、やっぱり詠唱したほうがいいのかな?本当はイメージすれば魔法名も言わなくていいんだけど)
「まぁいい……行くぞ」
そう言うとチェイスは私に背を向けてしゃがみこんだ。
「?……どうしたの?」
「おぶされ。お前の足じゃ早く移動するのはキツいだろ」
「……分かった……お願いします」
「フッ……こちらこそ。これから念話で話すぞ……お前は受信だけになるが――」
「あっ……大丈夫だよ。私も使えるから」
「……………そうか」
チェイスに背負われながら上に移動した。
階段を登ると扉が見えて、チェイスが慎重に開いた後、私の目にうつったのは…………いかにも高そうな多種多様な置物と、やたらと金の多い装飾がされた家具という、なんとも統一感のない部屋だった。
{うわぁ~悪趣味だなぁ。貴族って皆こうなの?}
{さぁな……それぞれだろ。それより移動するぞ}
{了解……あのさ、目をつけてるとこ回る前に私のスキルで探ってみてもいい?}
{スキル?出来るのか?}
私は夕食の後の時間を使って、スキル「魔力探知」と「気配探知」を「能力合成」で新しく「探索」を作っておいたのだ。
このスキルは、私を中心にした地図が出て、生き物や魔力を持ってるものが点として表示される。さらに私が条件をつけて探索すると条件に合うものが識別されて表示される仕組みだ。
通常は頭の中にイメージが伝わるが、任意で他の人に見せる事も出来る。
今回はチェイスに見せるために見えるようにしたが、「隠密」を使ってるから私たち以外には見えない。
{うん。やってみるね}
(スキル「探索」条件は……獣人)
――ブゥーン
私がスキルを使うと目の前に画面が出てきて地図の中に点が表示され、チェイスが驚いていた。
{うおっ!?何だこれ……地図か?}
{そう、この点が獣人を表してるから、この点が集まっている所に部屋があると思うよ}
{まさかっ……いや、確かに目を付けていた場所と一致する……よし!行ってみるか}
私たちは部屋を出て点が表示されてる場所へ急いで向かった。
その場所は――
{ここって何の部屋?}
{ディエゴ・ベイリーの書斎だ……まさかとは思ったが}
{どうやら部屋の隣に隠し部屋があるみたいだね……壁に見えるけど}
{さっそく頼めるか?}
{分かった}
(スキル「心眼」……見えた!)
私が「心眼」を使うと、さっきまで見えなかった扉が見えたのでチェイスに伝えた。
{チェイス、見えたよ。魔法で隠しているみたい。扉があって鍵もされてる}
{クソッ!どうする……魔法を解除出来たとしても解除したのがバレると逃げる時間がない……}
私は目を閉じて今の状況を考えた。
(確かに解除されたのが分かれば人が来る。そうなれば逃げられない。魔法の解除はダメだ……一度でも中に入れればなぁ……)
私たちがそれぞれ対策を考えてると4つの点が近づいて来たので、チェイスに端に寄るよう促した。
時間をおかず使用人2人と兵士2人が現れ、隠し部屋の前で止まった。
{こんな時間に何だろう?}
{あれは……おそらくメシだな。ん?どうやら一度魔法を解除するみたいだ}
{!?チャンスだ!チェイスあの人たちと一緒に中に入ろう}
{は?入ってどうするんだよ!?あいつら倒しても全員は逃げられないぞ?}
{いいから!説明は後!時間ないよ、ほら!!}
私はチェイスの背から降りて扉に向かった。
{おい!?あぁ~クソッ!}
兵士が板の様なもの取りだし掲げた。
すると扉が見えるようになり、使用人2人と兵士が1人ワゴンを押して中に入った。
残った兵士はそれを確認し鍵をかけ直した。
「おい!!《餌》だ有り難く食え!」
中に入った兵士は、部屋にいた者に言い放った。
返事はなく、使用人が静かに食事を床に並べていった。
「フン!返事も出来んのか!この薄汚い《獣》風情が!!」
兵士の言葉に、1人の子どもが立ち上がり叫んだ。
「っボクたちは獣じゃない!なんでっ――」
――バシッ!……バタン
「まったく……獣が人間に逆らうとはなぁ……これは躾が必要だ」
兵士がそう言いながら倒れた子どもに近づいた時、その間に女が飛び出した。
「やめて!!この子に乱暴しないで!!」
「うっ……おかあさ……」
「ほぉ~そいつの母親かぁ……ならお前が代わりになれよ!子どもの躾は親の責任だろうがぁ!!」
――ドカッ……ドサッ
兵士が母親を蹴り倒し、さらに蹴り続けた。
「おらっ!!さっきの威勢はどうした!」
――ドカッドカッ
「ぐっ……ぐっ……」
「やめてよ!おかあさん!」
子どもが止めようとしたが周りの者が抑えていて動けなかった。
「よく見ておけ!!俺に逆らえばどうなるか!」
数分後――
母親はぐったりして動かなくなっていた。
「フゥ~まあ、これくらいでいいだろう。ガキィ母親がこうなったのはお前が逆らったからだ!お前のせいだ!!……ハッハッハッハ」
兵士が笑いながら扉に向かいノックをすると扉が開き3人は出ていった。
「うっ……ぐすっ……おかあさっ……ごめんなさっ……」
部屋には子どもの泣き声と謝る声だけが響いていた。
「食べながらでいいから聞いてくれ。今から3時間後に決行する事になった」
――ムグムグ
「部屋を探すのが俺とお前の2人で、後は外で待機させておく。見つかりしだい俺が『念話』で連絡して脱出だ」
――ムグムグ……ゴクン
「作戦は分かったけど、時間が……」
「それなら大丈夫だ。これを渡しておく」
――コトッ
そう言ってチェイスが机に置いたのは砂時計だった。
「上の砂が落ちきったら30分だ」
(へぇ~この世界にも砂時計ってあるんだぁ。ちなみに時間の間隔も1週間の間隔も、前の世界と同じだから助かるよね~)
「それと、これも渡しておく。こいつはアイテム袋と言って、普通のカバンより多く入るし重さを感じないんだ。中に1週間くらいの非常食と金が少し、野営に必要な道具も入れておいたから、後は自分が持って行きたいものを入れておけ」
私はチェイスからアイテム袋を受け取りながらお礼を言った。
「ありがとう……でも、貰ってもいいの?逃げる時に必要なんじゃ……」
(私……アイテムボックスがあるしなぁ)
「気にするな、量はあるし途中で他の地を探してた仲間とも合流するから大丈夫だ……協力して貰うんだから、これくらいさせてくれ」
「……ありがとう……チェイス」
アイテムボックスの事を隠してる事に罪悪感を抱きながら再度お礼を言った。
(ごめんなさい……でも、まだ全部を信用する事は出来ないから……)
チェイスは私を見た後、上に戻る為にドアを開けながら、
「……そんな顔する必要はないぞ。ちゃんと分かってる……お前はもう少し狡くなれ……これから生き残る為にもな」
――パタン――ガチャン
「………………うん」
3時間後――
時間になりチェイスが迎えにきた。
「ほら、このマントを着てフードで顔を隠しとけ。それと靴だ」
私は渡されたマントと靴を身につけチェイスと部屋――地下室を出た。
目覚めてから初めて地下室の外に出たからか、少しドキドキしていた。
「使用人たちが準備で疲れて、早めに休んでいるといっても見張りはいるから慎重に行くぞ」
私はチェイスの言葉に少し考えてから、ある提案をした。
「……チェイス、私の魔法を使おう。そうすれば隠れなくていいから」
「は?……お前の魔法って……結界以外も使えるのか?」
「うん……本当は危ない時以外は使わないつもりだった。でも、チェイスの‘狡くなれ’って言葉で決めたの」
「決めたって……何をだ?」
「……私は今出せる力、全て使ってチェイスたちを助ける」
チェイスは私の言葉に目を見開いた。
「その変わり約束して欲しいの」
「……何だ?」
「ここからディアネス共和国への道と情報の提供、これから何を見ても詮索しない事、出来るだけ私の事を誰にも話さない事」
「………………………」
しばらく無言で見つめあった後、チェイスは答えた。
「約束する。獣人……いや、俺の誇りにかけて」
「ありがとう」
チェイスの答えに私はさっそく魔法をかけた。
「じゃあ、まず私にかけるね……『隠密』」
――スゥー
「なっ!?消えた?気配もしない……おい、いるのか?」
「フフッ……ちゃんといるよ、消えたように見えるだけ、チェイスにもかけるね『隠密』」
――スゥー
「おぉ?お前が見える……俺は消えているのか?」
「そうだよ。『隠密』をかけている者同士はお互いが見えるけど、周りからは見えてないし、気配も匂いも消えるの。でも、声を出せば聞こえるし、ぶつかれば気付かれるから気を付けてね」
「……しかし、無詠唱だとはな」
(あっ、やっぱり詠唱したほうがいいのかな?本当はイメージすれば魔法名も言わなくていいんだけど)
「まぁいい……行くぞ」
そう言うとチェイスは私に背を向けてしゃがみこんだ。
「?……どうしたの?」
「おぶされ。お前の足じゃ早く移動するのはキツいだろ」
「……分かった……お願いします」
「フッ……こちらこそ。これから念話で話すぞ……お前は受信だけになるが――」
「あっ……大丈夫だよ。私も使えるから」
「……………そうか」
チェイスに背負われながら上に移動した。
階段を登ると扉が見えて、チェイスが慎重に開いた後、私の目にうつったのは…………いかにも高そうな多種多様な置物と、やたらと金の多い装飾がされた家具という、なんとも統一感のない部屋だった。
{うわぁ~悪趣味だなぁ。貴族って皆こうなの?}
{さぁな……それぞれだろ。それより移動するぞ}
{了解……あのさ、目をつけてるとこ回る前に私のスキルで探ってみてもいい?}
{スキル?出来るのか?}
私は夕食の後の時間を使って、スキル「魔力探知」と「気配探知」を「能力合成」で新しく「探索」を作っておいたのだ。
このスキルは、私を中心にした地図が出て、生き物や魔力を持ってるものが点として表示される。さらに私が条件をつけて探索すると条件に合うものが識別されて表示される仕組みだ。
通常は頭の中にイメージが伝わるが、任意で他の人に見せる事も出来る。
今回はチェイスに見せるために見えるようにしたが、「隠密」を使ってるから私たち以外には見えない。
{うん。やってみるね}
(スキル「探索」条件は……獣人)
――ブゥーン
私がスキルを使うと目の前に画面が出てきて地図の中に点が表示され、チェイスが驚いていた。
{うおっ!?何だこれ……地図か?}
{そう、この点が獣人を表してるから、この点が集まっている所に部屋があると思うよ}
{まさかっ……いや、確かに目を付けていた場所と一致する……よし!行ってみるか}
私たちは部屋を出て点が表示されてる場所へ急いで向かった。
その場所は――
{ここって何の部屋?}
{ディエゴ・ベイリーの書斎だ……まさかとは思ったが}
{どうやら部屋の隣に隠し部屋があるみたいだね……壁に見えるけど}
{さっそく頼めるか?}
{分かった}
(スキル「心眼」……見えた!)
私が「心眼」を使うと、さっきまで見えなかった扉が見えたのでチェイスに伝えた。
{チェイス、見えたよ。魔法で隠しているみたい。扉があって鍵もされてる}
{クソッ!どうする……魔法を解除出来たとしても解除したのがバレると逃げる時間がない……}
私は目を閉じて今の状況を考えた。
(確かに解除されたのが分かれば人が来る。そうなれば逃げられない。魔法の解除はダメだ……一度でも中に入れればなぁ……)
私たちがそれぞれ対策を考えてると4つの点が近づいて来たので、チェイスに端に寄るよう促した。
時間をおかず使用人2人と兵士2人が現れ、隠し部屋の前で止まった。
{こんな時間に何だろう?}
{あれは……おそらくメシだな。ん?どうやら一度魔法を解除するみたいだ}
{!?チャンスだ!チェイスあの人たちと一緒に中に入ろう}
{は?入ってどうするんだよ!?あいつら倒しても全員は逃げられないぞ?}
{いいから!説明は後!時間ないよ、ほら!!}
私はチェイスの背から降りて扉に向かった。
{おい!?あぁ~クソッ!}
兵士が板の様なもの取りだし掲げた。
すると扉が見えるようになり、使用人2人と兵士が1人ワゴンを押して中に入った。
残った兵士はそれを確認し鍵をかけ直した。
「おい!!《餌》だ有り難く食え!」
中に入った兵士は、部屋にいた者に言い放った。
返事はなく、使用人が静かに食事を床に並べていった。
「フン!返事も出来んのか!この薄汚い《獣》風情が!!」
兵士の言葉に、1人の子どもが立ち上がり叫んだ。
「っボクたちは獣じゃない!なんでっ――」
――バシッ!……バタン
「まったく……獣が人間に逆らうとはなぁ……これは躾が必要だ」
兵士がそう言いながら倒れた子どもに近づいた時、その間に女が飛び出した。
「やめて!!この子に乱暴しないで!!」
「うっ……おかあさ……」
「ほぉ~そいつの母親かぁ……ならお前が代わりになれよ!子どもの躾は親の責任だろうがぁ!!」
――ドカッ……ドサッ
兵士が母親を蹴り倒し、さらに蹴り続けた。
「おらっ!!さっきの威勢はどうした!」
――ドカッドカッ
「ぐっ……ぐっ……」
「やめてよ!おかあさん!」
子どもが止めようとしたが周りの者が抑えていて動けなかった。
「よく見ておけ!!俺に逆らえばどうなるか!」
数分後――
母親はぐったりして動かなくなっていた。
「フゥ~まあ、これくらいでいいだろう。ガキィ母親がこうなったのはお前が逆らったからだ!お前のせいだ!!……ハッハッハッハ」
兵士が笑いながら扉に向かいノックをすると扉が開き3人は出ていった。
「うっ……ぐすっ……おかあさっ……ごめんなさっ……」
部屋には子どもの泣き声と謝る声だけが響いていた。
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