小虎|僕を愛して身代わりになってくれた彼が、霊能者になるなんて!!

宇美

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第15章 転校

転校(1)

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視界がぼんやりと明るくなった。
ぽうんぽうんという丸みを帯びた音が二回鳴った。

父の病院の待合室にある古い達磨型の時計の音だ。

今はお昼の二時?
夜の二時?
とつぶやくと、
大人たちがわっと私を囲んだ。

白衣を着た父に、
母、
二郎叔父に叔母までいる。

大人達がまるで法事のときみたいにいっせいに集まっている。

母の右隣では妹が眠たそうに目をこすっていた。

丸椅子に座り、
母にもたれかかるように座っている。

下を見ると真っ白なカバーの布団だ。

背中には固くひんやりしたパイプベットの背があたっていた。

母にもう!
この子は心配ばかりかけて!
と抱きつかれてキスをされた。

妹はお兄ちゃんよかったあ!
と私の頭をなでた。

そしてそのまま純白の布団につっぷすると瞬時に寝息をたてはじめた。

「小虎兄ちゃんは?」

私と小虎は石段を滑り落ちたらしく、
石段の下で気絶していたそうだ。

小虎は私を抱きかかえるようにして私の下敷きになっていた。

頭に傷があったが、
発見した二郎叔父と直人さんが声をかけると、
小虎はすぐに返事をしたという。

しばらくぼんやりとした感じだったが、
今はいつもと変わらない。

念のために、
昔溺れたときに見てもらった大学病院に検査の予約をしたらしい。

私は小虎の四肢の中で胎児のように体を丸めていたという。

体の何処にも傷はなかったがおそらくショックで気を失っていたのだろうという。

ベッドの上で食事をして、
一息ついた時だった。

父がA4サイズの総カラーのパンフレットを持ってきた。

表紙では、
四人の少年が満面の笑みをたたえて腕組みをしていた。

少年の一人はオレンジの髪で緑の目だった。

皆、
チロリアンジャケットにストライプのタイというお揃いの格好をしている。

少年達の後ろに立つ大人は、
二人とも西洋人だった。

一人は精悍な顔立ちの長身の青年だった。

もう一人は長い白い髭の持ち主でまるでサンタクロースのようだった。

詰襟のウエストから広がる黒いワンピースを着ていた。

ページをめくると鮮やかな緑の木々を背景に、
茶色いヨーロッパ風の建物が立ち並ぶ写真が載っている。

雪のかかった青い山をバックに学校の図書館、
運動場らしきところに表紙と同じ制服の少年達が写っている写真も数枚配置されていた。

写真の合間に「校長挨拶」「学校の沿革」「建学の精神」「主な進学先」などというタイトルの文章が書かれていた。

一番最後のページには所在地と記載されていた。

小学校の修学旅行で行った県だった。

三時間ほどかけて、
東京まで出て、
新幹線で二時間ほど行った所だった。

○○線○○駅という耳慣れないローカル線の駅名が書かれている。

その駅からバスに五十分ほど乗り、
さらに五分ほど歩いた所にその学校はあるらしい。

学校のすぐ隣に寮があり、
全校生徒三百十三名の内、
三百十人がその寮に入っているとのことだった。

ぱらぱらとめくった後、
顔を上げると父と目が合った。

「父さんこの前入学式に行った時にこれもらってきて
ああしまった! と思ったんだ。
スグルはこの学校に入れればよかったって」

私が表紙をもう一度見ると
「19××年、学校案内、
私立聖コロンバ学園、
御茶畑村校、
高等部、
中等部」
というタイトルが目に入った。

当時私が通っていた学校の分校で、
その存在をうっすらと知ってはいた。

「でもよかったよ。
この学校の教頭先生は偶然父さんの高校時代のクラスメートだったんだ。
それに今の学校の校長先生も父さんの中学の時の担任の先生だったから
何とかお願いして転校できるようにしてもらったよ」

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