俺がいる世界は現実離れしすぎている

酸漿栗鼠

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平穏と現実

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朝が来る。
耳元で一定のリズムを刻む音が聞こえる。その音は次第に大きくなっていき、四回鳴ると回数が増え、また四回鳴ると一つ増える。やがてその音は時限爆弾が爆発する寸前のようなうるささを放った。
苛立ちも含め、音のなる場所めがけて手を振り下ろす。……音は止まったが、強く叩いたのか手のひらがしびれるように痛い。そんな痛さもしばらくするとどこかへ飛んでいったかのように消える。
特に何も考えてないままベッドを出て部屋のドアを開け、階段へと進む。

紹介が遅れてしまった。彼は酸漿ほおずき。彼はめんどくさいからと学校に行っていない。それどころか家から出ることすら滅多にしない。だが、彼には特殊な体質がある。いや、言い換えよう。彼は[殺されない]。別に守られているわけでも、不老不死フロウフシでもない。ただ[傷をつけることが不可能]なだけだ。毒や病気、老化でなら普通に苦しんでしまう。
ただ外からの攻撃に異常なほど強い。ただそれだけ。

話を戻そう。酸漿ほおずきは階段を降りるために首を下へと向けた。突然、何にも例えられないくらいの痛みが高速で駆け抜けた後、その痛みはきりのようにもやもやと浮いては酸漿ほおずきの首を狂わせる。直後、酸漿ほおずきは全てを理解した。
これは寝違いだ、と。
首の痛みがスッキリしないまま一階のキッチンへと移動する。
さっそくキッチンのイスに見慣れない人が座っていた。
青いパーカーに黄緑色をしたショートカットの女はこちらに気づくと慌てて口の中のものを飲み込み、やがて何事も無かったかの様に振る舞った。
女『お、いたのか。すまんな、気にせず過ごしてくれ!』
酸漿ほおずき『いや……誰ですか。』
まさか今日の一言がこれになるとは思いもしなかった。
それより今はこの人物だ。俺は異様イヨウな程に落ち着いていた。
酸漿ほおずき『これ、完全な不法侵入ですよ。』
女『ああ、自分でも分かっている。だが…お前のこの家はバリア結界も無いのにどうやってあの開かないドアから外に出るんだ?』
こいつ、本気で言っているのか?そう思いはしたものの、酸漿ほおずきは女の言っている事がなんとなく理解できそうだった。
恐らく、女は別の世界から来て、この家の中に現れた。彼女の世界では鍵はなく、そのバリア結界とやらを使ってドアを閉めるのだろう。
酸漿ほおずき『ノブの上のツマミをひねれば出れる。』
女『野武?摘み…?お前は何を言っているんだ…?』
だめだ、こちらの常識は通用しない。そう思った酸漿ほおずきは頭をフル回転させる。社会的常識はぎりぎり分かる程度だが、謎解き等を解く時はまるで別人のようになる。彼にとってこの世界の脱出ゲームは素材の倉庫だ。
酸漿『…やっぱり外には出ないでほしい。仮にここから出たとしても、この世界を知らないまま出歩くのは危険じゃないか?まずはこの家で下調べをするのが最優先だと俺は思うが。』
時間を置く間もなく女もこの意見に賛成した。
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