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ことの裏側(番外編)
番外編:IF ~真実の愛……
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※前話は14歳のフライングした婚約破棄のIFでした。今回は、16歳の、シナリオ通りの断罪&婚約破棄が壊れていく話です。
※act.9 王子の断罪・前のIF。しかも長いし…
明日から学園は冬の休暇に入る。
終業式の為に、講堂には学園の全生徒が集められていた。
「ここでの茶番が終わったら、午後からのパーティーは君と共にいると約束するよ」
「嬉しい!」
では行くとしよう、私は側近三人とピュリナを連れ、学園長と入れ替わるように壇上に立った。
何事か戸惑う生徒たちを睥睨し、
「私たちの通うこの学び舎は、身分差別を禁じ、互いを理解し、尊重することを掲げている。諸君らは均しく王国の貴重な人材だからだ。故に、私は生徒会長であり、この学園を創立した王家の人間として、この学園を穢した人物を断罪する。──ラナエラ・サラ・マリオン公爵令嬢ここへ!」
婚約者のラナエラの名を呼んだ。
「はい、ロイド殿下」
進み出てきたラナエラの完璧な淑女の礼に、忌々しさが湧き起こる。この淑女の仮面の裏で、私の愛する少女に行った所業は万死に価する。私は胸中で昏い嗤いを噛み殺す。視線を講堂内で一巡させ、
「ピュリナ嬢の出自を蔑み、クラスの女子生徒に無視をされ、物を隠され、わざとドレスに飲み物を零されたりといった虐めにあっているという。卑劣な首謀者であるラナエラ・サラ・マリオン公爵令嬢、君との婚約破棄を宣言する!」
ざわり、と動揺が満ちていく。
「ピュリナ嬢、嘘偽りはないだろうか?」
「もちろん。わたしが平民あがりだから馬鹿にしてるんです。ッ…ラナエラ様のお取り巻きの……クラリス様、カタリナ様、あとナンシー様らが授業の後何回も、わたしすごくつらかったんです……うぅ」
可憐でか弱いピュリナの腰を抱き、私は冷たい目でこちらを見るラナエラを睨んだ。
「ラナエラ・サラ・マリオン公爵令嬢、さて、今名前の挙がった三人のご令嬢はなんの権利があってピュリナを責めたのかな」
お前の指図だろう──そう続けるはずが、
「その件ですが、クラリス嬢、カタリナ嬢、ナンシー嬢はあまりにマナーを識らなさすぎるアンジェ子爵令嬢のために、学園長直々に彼女たちに協力を仰いだそうですよ。それはアンジェ子爵令嬢もご存知なのですが、まさか学園長の説明を聞いていなかったのでしょうか?」
控えていたリアムが突然口を挟んできた。
「──えっ?」
そんな話は私は聞いていない。
「あ、あんな、みんなに囲まれて緊張しちゃたんですぅ……ぐすん」
そ、そうだな。純粋なピュリナのことだ、怯えるあまりうっかり聞きもらしたんだろう。そう思って庇おうとするが、
「交流を持たない上位の者へ下位の者から私的に話しかけない、初めての名乗りは必ず姓名と爵位及び立場を告げる、名はもちろん愛称は許可なく呼んではならない、そして異性、特に婚約者がいる者には理由無く触れてはならない--これらは何も意地悪でも蔑んでもいない。常識です」
淡々とリアムは続けてきた。
「た、確かにそうだが、彼女は貴族となって間もなく、きつい物言いをするとは!」
優しさが足りないから傷つけたんじやないか、と反論する私を見るリアムの目は軽蔑に満ちていた。なんでだ!
どうもおかしい。私がラナエラを断罪することに彼らは何も言わなかったのに。この場で突然ピュリナを批判され、しかも何故か私まで断罪されているように感じる。
「ロイさまぁ……あたし…、こわい」
ぎゅっと腕にすがられ、温もりに我に返った私は別件を指摘することにした。これなら反論できないだろう!
「ぐっ、な、ならば、虐めはどうだ! 無視をし、物を隠したり、処分したりするのが貴族のマナーとでもいうのか!」
「虐めに関してはどれも証拠も目撃者も有りませんよ。濡れたドレスは見ても、誰がどのようにやったか目撃者はいませんし。ラナエラ嬢はその事件のあった茶会へは出席されてませんので。なので、自作自演が濃厚だと思いますが?」
クリストフ、お前も裏切るのか! だが、証拠は確かにない。無いが、ピュリナが嘘をつくはずはない!
「酷い! 私のこと嫌いだからってクリストフ様までいじめるの? うう…ひっく」
「一つも証拠品が出てこないからだ。証言だけでは証拠にはならん」
泣きじゃくるピュリナを一刀両断するとクリストフもまた、私を憐れむように見た。
「で、では無視は!」
「アンジェ子爵令嬢のクラスメイトの女生徒たちは話題が無いため話しかけなかったそうですが、これは罪ですかね? また、編入初日以来、彼女も男子生徒としか話したことはないそうですよ。会話をしたければ自分から話しかけろ、何様ですかね、殿下」
なんだと? 話しかけても無視をされたのではなかったのか? 男子生徒としか話さない? 話が聞かされたことと違っている。どういうことなんだ……。
「な、何よ、こんなの知らないっロイドさまぁ」
またピュリナに縋りつかれるが、さっきとは異なり何故か不快感があった。どうしてだ、私は真実の愛を貫くと決めたのではないか?
いや、まだ、シオンがいる。きっとリアムとクリストフは真実の愛を得た私を妬んでいるのだ──。
だが、シオンは思いっきり嫌そうに、
「ロイド様って趣味悪すぎて恥ずかしい」
ラナエラの傍らへと立ち位置を変えた。
「「同感だ」」
さらにはリアムとクリストフまでもが同じようにラナエラを選んだ。信じがたく、講堂を見回し、私は固まった。
ラナエラに向けられるはずの裁きの眼差しが、私とピュリナを射貫いていた。
「……殿下、よろしいですか?」
「な、なんだ、言ってみろ」
「──わたくしが指図したとして、その理由はなんでしょうか?」
ラナエラは不思議そうにしていた。
「それは……」
「わたしがロイ様と仲良くしてるからです! 嫉妬されてるんです!」
そうだ。婚約者よりも親しいピュリナを嫉妬で虐めたのだ……と言いかけ、言葉には出来なかった。ピュリナから聞かされたことだからだ。ここまで食い違って鵜呑みにすることは私にも出来ない。
「わたくしはそのようなことはいたしませんし、する必要はございません」
ラナエラの静な凛とした応えに、心臓がまるで鷲づかみされたように痛みを覚えた。
「嘘よ! 嫉妬してるんでしょ、だってわたしと違ってラナエラはマリオン公爵家が発言権を高める目的で王様に政略で押しつけた婚約者だもん!」
そうピュリナが叫んだが、私にはもう何も言うことは出来なかった。ラナエラは私のことなど愛してなどいないはずだ。そんな私のために嫉妬するなどとは……そこまで考え、私は自分の愚かさを悟った。
恋に目がくらみ、都合の良い言葉しか聞こえなくなっていた自分を。その証拠が三人の側近に見捨てられ、大勢の生徒らに見下された。
ああ、父上は私を切り捨てられたのか。
近衛騎士たちが険しい表情で講堂に入ってくるのを目にし、私は彼らに声をかけた。
「…………面倒をかけてすまない」
「何故こんな………残念です、ロイド様。王命により貴方からは王位継承権及び王族の身分は剥奪されます。これより王宮へご同行願います。──その娘も連れていけ」
「隊長様、少しだけ……」
ラナエラが私を引き連れて去ろうとする近衛騎士の隊長を呼び止める。
拘束された私とピュリナへと近寄ってくる。彼女は何を言うつもりなのだろうか。
断罪した恨み言でも、婚約者を捨てたと罵られてもいい。彼女にはその権利がある。
だが、ラナエラの唇から紡がれたのはそのどちらでもなかった。
「………政略結婚、その通りですわ。あなたも仰るとおり、これは王命です。一貴族の娘であっても、わたくしであっても、殿下でも、王命に否と申すことは許されない」
「な、何よ……」
「たとえ愛されずとも。愛せずとも。殿下とわたくしは支え合って生きねばならないのです」
「だからなんなのっ、それがなによ! 偉そうに! あんた今、ロイド様を馬鹿にしたわね。王様にちゃんとお話すれば、あんたなんて貴族位を剥奪されて追放なのよ! アタシはロイド様と愛しあってるんだから!」
激昂するピュリナとは裏腹に、ラナエラ彼女自身が罪を負っているかのように苦しげに私を見た。
「…………あなたのその愛が殿下を、殿下の未来を壊してしまったことに気がつかないのですね。……可哀想なひと」
瞳から涙がこぼれていった。
私の信じたものは、真実の愛とは……なんと愚かな幻想だったのだろうか。
◇◇
※その後※
第一王子ロイドは、廃嫡の上、敵国との戦の前線に平民ルイとして送られ、数週間後に戦死。遺体を引き取るものはおらず協同墓地へ埋葬された。死ぬまでの短い間、彼は元婚約者から最後に手渡された手紙を毎日読み返しては幸せそうに笑っていたという……
ピュリナは、貴族位の剥奪及び数々の不敬罪に問われて、ある貴族が運営している労働者向けの娼館で生涯を送る。性病に罹患して容姿がみるかげもなくなった後は、どこぞの変態趣味の男に身請けされたともいうが、場末の娼婦のことなので定かではない。ただ、アタシは王妃になるのよ、と妄想が激しかったそうだ。
ラナエラ嬢は、その後、隣国の皇太子に望まれ国のためと嫁いでいった。子にも恵まれ、夫婦仲もよく、幸せな晩年を過ごしたという。彼女の三番目の息子の名はロイと名づけられたそうだ。
国王は自らの後継に五公爵家から希望するが、五公爵家内で後継を押しつけ合うため中々決まらず、ラナエラの兄であるマリオン公爵嫡男エリオットに毎日圧力をかけ続け、切れた彼により内乱が起きそうになったとか……まことしやかに伝えられる。
───────+++++
ラナエラなりに愛ではないが自分を思ってくれたことを最後に悟った…というオチです。すいません、猫丸には普通の断罪劇が書けませんでした!だって…ロイドお馬鹿だけど本当の馬鹿者じゃないから…です。
※act.9 王子の断罪・前のIF。しかも長いし…
明日から学園は冬の休暇に入る。
終業式の為に、講堂には学園の全生徒が集められていた。
「ここでの茶番が終わったら、午後からのパーティーは君と共にいると約束するよ」
「嬉しい!」
では行くとしよう、私は側近三人とピュリナを連れ、学園長と入れ替わるように壇上に立った。
何事か戸惑う生徒たちを睥睨し、
「私たちの通うこの学び舎は、身分差別を禁じ、互いを理解し、尊重することを掲げている。諸君らは均しく王国の貴重な人材だからだ。故に、私は生徒会長であり、この学園を創立した王家の人間として、この学園を穢した人物を断罪する。──ラナエラ・サラ・マリオン公爵令嬢ここへ!」
婚約者のラナエラの名を呼んだ。
「はい、ロイド殿下」
進み出てきたラナエラの完璧な淑女の礼に、忌々しさが湧き起こる。この淑女の仮面の裏で、私の愛する少女に行った所業は万死に価する。私は胸中で昏い嗤いを噛み殺す。視線を講堂内で一巡させ、
「ピュリナ嬢の出自を蔑み、クラスの女子生徒に無視をされ、物を隠され、わざとドレスに飲み物を零されたりといった虐めにあっているという。卑劣な首謀者であるラナエラ・サラ・マリオン公爵令嬢、君との婚約破棄を宣言する!」
ざわり、と動揺が満ちていく。
「ピュリナ嬢、嘘偽りはないだろうか?」
「もちろん。わたしが平民あがりだから馬鹿にしてるんです。ッ…ラナエラ様のお取り巻きの……クラリス様、カタリナ様、あとナンシー様らが授業の後何回も、わたしすごくつらかったんです……うぅ」
可憐でか弱いピュリナの腰を抱き、私は冷たい目でこちらを見るラナエラを睨んだ。
「ラナエラ・サラ・マリオン公爵令嬢、さて、今名前の挙がった三人のご令嬢はなんの権利があってピュリナを責めたのかな」
お前の指図だろう──そう続けるはずが、
「その件ですが、クラリス嬢、カタリナ嬢、ナンシー嬢はあまりにマナーを識らなさすぎるアンジェ子爵令嬢のために、学園長直々に彼女たちに協力を仰いだそうですよ。それはアンジェ子爵令嬢もご存知なのですが、まさか学園長の説明を聞いていなかったのでしょうか?」
控えていたリアムが突然口を挟んできた。
「──えっ?」
そんな話は私は聞いていない。
「あ、あんな、みんなに囲まれて緊張しちゃたんですぅ……ぐすん」
そ、そうだな。純粋なピュリナのことだ、怯えるあまりうっかり聞きもらしたんだろう。そう思って庇おうとするが、
「交流を持たない上位の者へ下位の者から私的に話しかけない、初めての名乗りは必ず姓名と爵位及び立場を告げる、名はもちろん愛称は許可なく呼んではならない、そして異性、特に婚約者がいる者には理由無く触れてはならない--これらは何も意地悪でも蔑んでもいない。常識です」
淡々とリアムは続けてきた。
「た、確かにそうだが、彼女は貴族となって間もなく、きつい物言いをするとは!」
優しさが足りないから傷つけたんじやないか、と反論する私を見るリアムの目は軽蔑に満ちていた。なんでだ!
どうもおかしい。私がラナエラを断罪することに彼らは何も言わなかったのに。この場で突然ピュリナを批判され、しかも何故か私まで断罪されているように感じる。
「ロイさまぁ……あたし…、こわい」
ぎゅっと腕にすがられ、温もりに我に返った私は別件を指摘することにした。これなら反論できないだろう!
「ぐっ、な、ならば、虐めはどうだ! 無視をし、物を隠したり、処分したりするのが貴族のマナーとでもいうのか!」
「虐めに関してはどれも証拠も目撃者も有りませんよ。濡れたドレスは見ても、誰がどのようにやったか目撃者はいませんし。ラナエラ嬢はその事件のあった茶会へは出席されてませんので。なので、自作自演が濃厚だと思いますが?」
クリストフ、お前も裏切るのか! だが、証拠は確かにない。無いが、ピュリナが嘘をつくはずはない!
「酷い! 私のこと嫌いだからってクリストフ様までいじめるの? うう…ひっく」
「一つも証拠品が出てこないからだ。証言だけでは証拠にはならん」
泣きじゃくるピュリナを一刀両断するとクリストフもまた、私を憐れむように見た。
「で、では無視は!」
「アンジェ子爵令嬢のクラスメイトの女生徒たちは話題が無いため話しかけなかったそうですが、これは罪ですかね? また、編入初日以来、彼女も男子生徒としか話したことはないそうですよ。会話をしたければ自分から話しかけろ、何様ですかね、殿下」
なんだと? 話しかけても無視をされたのではなかったのか? 男子生徒としか話さない? 話が聞かされたことと違っている。どういうことなんだ……。
「な、何よ、こんなの知らないっロイドさまぁ」
またピュリナに縋りつかれるが、さっきとは異なり何故か不快感があった。どうしてだ、私は真実の愛を貫くと決めたのではないか?
いや、まだ、シオンがいる。きっとリアムとクリストフは真実の愛を得た私を妬んでいるのだ──。
だが、シオンは思いっきり嫌そうに、
「ロイド様って趣味悪すぎて恥ずかしい」
ラナエラの傍らへと立ち位置を変えた。
「「同感だ」」
さらにはリアムとクリストフまでもが同じようにラナエラを選んだ。信じがたく、講堂を見回し、私は固まった。
ラナエラに向けられるはずの裁きの眼差しが、私とピュリナを射貫いていた。
「……殿下、よろしいですか?」
「な、なんだ、言ってみろ」
「──わたくしが指図したとして、その理由はなんでしょうか?」
ラナエラは不思議そうにしていた。
「それは……」
「わたしがロイ様と仲良くしてるからです! 嫉妬されてるんです!」
そうだ。婚約者よりも親しいピュリナを嫉妬で虐めたのだ……と言いかけ、言葉には出来なかった。ピュリナから聞かされたことだからだ。ここまで食い違って鵜呑みにすることは私にも出来ない。
「わたくしはそのようなことはいたしませんし、する必要はございません」
ラナエラの静な凛とした応えに、心臓がまるで鷲づかみされたように痛みを覚えた。
「嘘よ! 嫉妬してるんでしょ、だってわたしと違ってラナエラはマリオン公爵家が発言権を高める目的で王様に政略で押しつけた婚約者だもん!」
そうピュリナが叫んだが、私にはもう何も言うことは出来なかった。ラナエラは私のことなど愛してなどいないはずだ。そんな私のために嫉妬するなどとは……そこまで考え、私は自分の愚かさを悟った。
恋に目がくらみ、都合の良い言葉しか聞こえなくなっていた自分を。その証拠が三人の側近に見捨てられ、大勢の生徒らに見下された。
ああ、父上は私を切り捨てられたのか。
近衛騎士たちが険しい表情で講堂に入ってくるのを目にし、私は彼らに声をかけた。
「…………面倒をかけてすまない」
「何故こんな………残念です、ロイド様。王命により貴方からは王位継承権及び王族の身分は剥奪されます。これより王宮へご同行願います。──その娘も連れていけ」
「隊長様、少しだけ……」
ラナエラが私を引き連れて去ろうとする近衛騎士の隊長を呼び止める。
拘束された私とピュリナへと近寄ってくる。彼女は何を言うつもりなのだろうか。
断罪した恨み言でも、婚約者を捨てたと罵られてもいい。彼女にはその権利がある。
だが、ラナエラの唇から紡がれたのはそのどちらでもなかった。
「………政略結婚、その通りですわ。あなたも仰るとおり、これは王命です。一貴族の娘であっても、わたくしであっても、殿下でも、王命に否と申すことは許されない」
「な、何よ……」
「たとえ愛されずとも。愛せずとも。殿下とわたくしは支え合って生きねばならないのです」
「だからなんなのっ、それがなによ! 偉そうに! あんた今、ロイド様を馬鹿にしたわね。王様にちゃんとお話すれば、あんたなんて貴族位を剥奪されて追放なのよ! アタシはロイド様と愛しあってるんだから!」
激昂するピュリナとは裏腹に、ラナエラ彼女自身が罪を負っているかのように苦しげに私を見た。
「…………あなたのその愛が殿下を、殿下の未来を壊してしまったことに気がつかないのですね。……可哀想なひと」
瞳から涙がこぼれていった。
私の信じたものは、真実の愛とは……なんと愚かな幻想だったのだろうか。
◇◇
※その後※
第一王子ロイドは、廃嫡の上、敵国との戦の前線に平民ルイとして送られ、数週間後に戦死。遺体を引き取るものはおらず協同墓地へ埋葬された。死ぬまでの短い間、彼は元婚約者から最後に手渡された手紙を毎日読み返しては幸せそうに笑っていたという……
ピュリナは、貴族位の剥奪及び数々の不敬罪に問われて、ある貴族が運営している労働者向けの娼館で生涯を送る。性病に罹患して容姿がみるかげもなくなった後は、どこぞの変態趣味の男に身請けされたともいうが、場末の娼婦のことなので定かではない。ただ、アタシは王妃になるのよ、と妄想が激しかったそうだ。
ラナエラ嬢は、その後、隣国の皇太子に望まれ国のためと嫁いでいった。子にも恵まれ、夫婦仲もよく、幸せな晩年を過ごしたという。彼女の三番目の息子の名はロイと名づけられたそうだ。
国王は自らの後継に五公爵家から希望するが、五公爵家内で後継を押しつけ合うため中々決まらず、ラナエラの兄であるマリオン公爵嫡男エリオットに毎日圧力をかけ続け、切れた彼により内乱が起きそうになったとか……まことしやかに伝えられる。
───────+++++
ラナエラなりに愛ではないが自分を思ってくれたことを最後に悟った…というオチです。すいません、猫丸には普通の断罪劇が書けませんでした!だって…ロイドお馬鹿だけど本当の馬鹿者じゃないから…です。
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