憧れの悪役令嬢にTS転生した俺は殿下の求婚を回避して気ままな魔法学園ライフを送ります ~女神に貰った最強ボディで好き勝手やらしてもらう~

ゆきなっしゅ

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第39話 プライドと空腹

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「はぁ……はぁ……ようやく着きましたわ……」

幾多の困難(主に変人たち)を乗り越え、俺たちはようやく学食へと辿り着いた。
しかし――。

「うわぁ、人だらけですねぇ♪」

たくさんの生徒たちで埋まるテーブル。
サフィアや気持ち悪い殿下から逃げたり、ヘカーティと話したりしていたせいで、完全に昼食のピークタイムとかち合ってしまったようだ。

「リリィ……どこにいますの……?」

俺は背伸びをして周囲を見渡すが、この人混みでは小柄なリリィを見つけるのは至難の業だ。
スマホがあれば一発なのに、この世界にはそんな便利なものはない。魔法やマジックアイテムを使って連絡を取る手段もあるのかもしれないが、俺はまだ習っていない。

「本当はリリィと優雅にランチを楽しみたかったですのに……」

見つからないものは仕方がない。
諦めて、この性格の悪い女神と食事をするか。
俺がため息をついていると、エリスがニヤニヤしながら顔を覗き込んできた。

「残念でしたね、セレスティアさん♪」
「うるさい! あなたの『女神パワー』でリリィの居場所くらい分かりませんの?」
「えぇ~?人探しくらいできなくもないですけどぉ~。ただでやるのもなぁ~」

くそっ、こいつ足元を見てきやがって!
性格の悪さが顔に出ているぞ。

「そんなことよりセレスティアさん♪大事なことを忘れていませんか?」
「大事なこと?」
「お金ですよ、お金♪まだ手元に残ってるんですか?」
「あっ」

言われて気づく。
財布の中身を確認するまでもない。
クエストの報酬で得た大金は、ほとんど借金返済のために没収されてしまった。
さらに昨日も昼にガッツリ肉を食べたせいで、残金は雀の涙ほどしかない。

「貸してあげましょうかぁ~?」

エリスがここぞとばかりに悪い笑顔で囁いてくる。

「嫌ですわ!あなたに借りを作るとろくなことがありませんもの!」

変な利子をつけられたり、厄介ごとに巻き込まれたりするのは御免だ。
俺は毅然とした態度で拒否しようとした。

ぐぅ~~~~……。

その時、俺の腹の虫が盛大に鳴いた。
周囲の生徒が振り返るほどの音量で。

「……」
「ふふっ♪あなたの『身体』はそう思ってないみたいですけど?」
「ぐっ……!」

顔から火が出そうだ。
だが、恥ずかしさ以上に空腹感が強烈だった。
さっき『時間停止(オーバークロック)』と『治癒(ヒール)』を連続使用したせいで魔力を大量に消費したからかもしれない。
転生してから前世よりも明らかに食欲が増している。
やはり、強大な魔力を維持・回復するには、それ相応のエネルギーが必要なのだろうか。
このまま昼飯抜きで午後の授業なんて受けたら、空腹で倒れてしまうかもしれない。
目の前のプライドか、明日の命か。
答えは決まっているッ!
背に腹は代えられないッ!

「……します」
「んぅ~? なんですか~? よく聞こえませんねぇ♪」

こいつ、分かってて言わせようとしてるな!

「お願いします……奢ってください……女神様……」
「はい、よく言えました♪ じゃあお昼ご飯にしましょうね~♪」

なんて情けない姿だ。
とても高貴な悪役令嬢とは思えない。
エリスはそれが面白くて仕方がないようで、ケラケラと笑いながらテーブルを確保する。

「くそぉ~……今日もクエストで荒稼ぎして借金返さないと……」

俺は今日も肉を頬張りながら、固く誓う。
そのためには、クレアだ。
前回一緒にクエストに行ってくれた、火属性の同級生。
俺がハチャメチャな魔法を使って怒られた上に、マジックアイテム代まで弁償させられたが……最後には「またパーティー組んであげてもいいわよ」と約束してくれた、数少ないまともな友人(?)だ。
まあ、めちゃくちゃなことしないという条件付きだが……
彼女がいないと討伐クエストには行けないし、薬草採取や猫探しみたいなしょぼいクエストをちまちまやる羽目になってしまう。
そんなのは嫌だ!
クレアを見つけ出して、絶対に一緒に行く約束を取り付けなくては!

「ごちそうさまでした。さあ、午後の授業に行きますわよ」
「はいはい♪ 元気になりましたねぇ♪」

再び女神に借金を作ってしまったが、腹は満たされた。
俺たちは食器を返却し、午後の教室へと向かう。
午後の授業は――確か『実技魔法』だったはずだ。
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