転移先では望みのままに〜神族を助け異世界へ 従魔と歩む異世界生活〜 

荘助

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第31話 汚い人間。甘い人間

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「よーし貴様ら整列しろ!」

 大声が大空洞に響き渡る。
 どうやら衛兵を率いているのは、先の取り調べをした兵長のようだ。

 兵長の整列の声とともに、10人ずつ3列に並び、計30名が直立で待機した。

「其奴らが、フェイド盗賊団だな。おい!すぐに死体を回収。こいつらの得物も回収しろ!溜め込んでいた物も全て回収だ!」

 すぐに部下に指示を出しこちらに近づいてくる。

「ご苦労、まさか同士討ちの末、全滅とはな。まあよくぞアジトを発見してくれた。礼をいうぞ冒険者」

 は?何を言っているんだろうこいつは。
全く理解できない。それに部下に盗賊団の盗品も回収しろと指示出してなかったか?

「何を言っている!ここのアジトを殲滅したのは、このタカヤだぞ!このアジト内にある全ての物の権利は今タカヤにある」

 ギランがさんが、声を張り上げ権利を主張する。

 確かに衛兵たちの行動は、盗賊団を壊滅させたものの総取り。というルールから見れば略奪にも受け取れる行為だ。

「ふん。たった一人で盗賊団を壊滅だ?そんな子供の戯言なんぞ、一々信じてられるか」

 にやにやといやらしい笑いを浮かべ、全く聞く耳を持たない。
 どうやらこちらが殲滅してようが、していまいがどちらでも良いらしい。
 最初から僕が一人で向かったと聞いて、すべてを奪うつもりできたんだろう。

「汚いな」

 あぁ本当に汚い。
 これは僕がいけないんだろうか。僕が弱いから隙を与えるんだろうか。僕がギランさんだったらこいつらは同じことをしたのだろうか。

 30分

 体に力が戻ってくる。
 限界突破の影響が消え、力がみなぎってくる。

「あーそうか。あれだけ倒せばLvも上がるか」

 いつものインフォメーションは聞き逃した。
 だから直接確認する。

【Name】 タカヤ
【age】 18歳
【職業】 (1.魔術師(転移者) 2.自由人 )3.魔物使い
【Lv】 8→17
【HP】 180/180→340/340
【MP】 280/1820→3260
【力】       70→125
【体力】    60→100
【器用】    85→125
【知力】 80→110
【素早さ】95→200
【魔力】   190→290

【スキル】
 ノーマルスキル
 魔力操作<Lv2>→<Lv3>
 魔力感知<Lv1>→<Lv2>
 全属性魔法<Lv2>→<Lv3>
 モンスターテイム<Lv2>→<Lv3>

 収納BOXの制限一部解除
 ※収納力はLv依存 現在170種類 各170個まで収納可能 時間の停止と1倍速の時間経過を選択可能。現在停止中 収納できる大きさもLv依存(現在は17㎥まで)

 だいぶ上がったな。
 さすがにモンスター10体と人間約20人は良い経験値だ。

 スキルは魔力系スキルが上がったか。
 魔力だけならLV50にも、引けをとならいんじゃないだろうか。

 収納BOXはまぁいいや。それよりも今は。

 空中に【焔弾】を20個浮かべる。
 超高熱を発する高熱球を前に、衛兵たちが手を止め慌て始める。

「なんだ貴様!何をしているんだ!その火はお前が作ってるのか!」

 名も知らぬ兵長が、顔を真っ赤にし汗を飛ばしながらヒステリックに怒鳴り散らす。

「うるさいよ。一人で制圧できるか信じられないんだろ?僕が弱いと決めつけて、僕から僕の物を奪うんだろう?」

 《威圧》を使い衛兵達の足を、完全に止める。

「じゃあお前らも盗賊と同じだ」

「なあ略奪者さん達?」

 冷たい笑顔を兵長に向ける。
 その脇には、宿から僕を連れ出したゲーゼの姿もある。

 兵長とゲーゼの間の地面に、焔弾を1つ撃ち込む。

『チュドッ』
  【焔弾】が命中した地面が、一瞬にして溶け鉱質化する。

「ひぃ~。隊長。もう無理だフェイド盗賊団もなくなった。これ以上は欲張るもんじゃない!」

 あーそういう事か、皆んなが皆んな仲良しこよしか。

 救えないなこいつらは、全員救えない。

「な な なにを なにをするんだ。わた 私たちは略奪者なんかではない」

 腰を抜かし、ズリズリと地面を擦るように後ろへ下がる兵長に、焔弾を近づける。

「待ってくれ!」

 焔弾を放とうとしたタイミングで、ギランさんが前に出る。高熱で上着の背中側が焼け、皮膚も焼け始める。

「ぐっ。今まで接点がなくお前らをスキルで見ることもなかったが、お前らフェイド盗賊団と連んでやがったな。悪意で真っ黒じゃねえか」

 チリチリと背中の皮膚が焼け、ギランさんも苦悶の表情を浮かべる。

「タカヤ!すまんこれ以上は…魔法を抑えてくれ、どうやらこいつらはフェイド盗賊団とグルだったようだ。頼む!悪いようにはしない。怒りを抑えてくれ」

 これ以上はギランさんへの影響が大きい。
 すぐさま魔法を全て解除する。

 ギランさんの背中は、真っ赤になり少し皮膚がただれていた。

「ポシル。ギランさんに一番効果の高い回復薬をかけてあげて」

 了承の意思が伝わり、ポシルの触腕の先から液体がギランの背中に浴びせられる。

 今ポシルが合成出来る中で、最大限の回復効果になるように調整された回復薬が、みるみる傷を回復させ元通りの皮膚に戻っていく。

「すまんなタカヤ。保管してあった最上級の回復薬を使わせちまったみたいだな。後できっちり返す」

 背中の痛みで苦しそうな表情を浮かべていたが、ようやく普段の顔に戻り、厳しい顔を兵長に向ける。

「貴様らの取り調べは街に帰ってからだ。幸いな事に黒いのはお前ら2人、後の奴らは知らなかったようだな」

 辺りを見渡すと、部下達は驚愕の表情を浮かべこちらに注目していた。
 そして、次の瞬間には、涙目になりながら全速で頷き始めた。
 全員燃やさなくて良かった……。

 どうやら汚いのは2人だけだったようだ。
 もしギランさんが止めなかったら、全員今頃蒸発していただろう。

「おい。そういう事だ、こいつらはこの盗賊団と組んでいた。2人を縛って連行しろ!」

 すぐさま衛兵の1人が2人に縄をかけ、立たせる。
 そしてそのまま衛兵6人を街へ送検のために送り出し、残りの23人を捕らえられていた人達の護衛を兼ねて、街へ行くように指示をだした。

 捕らえられていた人は、普人種の女性が6人に商人の男が2人、獣人の男性が1人 女性が2人の11人であった。
 皆怯えた表情を浮かべていたが、衛兵が来て助かった事を伝えると安堵の表情を浮かべ、喜んでいた。

「ありがとな。タカヤのおかげだ」

「いえ。僕は彼らにはなにも…でも良かった」

 しかしそんな中、1人の商人は安堵の表情を浮かべ、あの兵長と同じような表情を一瞬見せ、囚われた人達の輪に加わった。

「ギランさん。もしあの人達が僕から感謝もせず当然のように物を返せと言っていた場合。わかりますか?」

「ん?ああ分かるぞ。こいつならいいんじゃないか。こいつは騙せるといった感情も悪意として察知できるからな」

 どうやらギランさんの《悪意感知》は意外と融通がきくようだ。
 なんとか覚えられないだろうか……。

「そうですか。ならばもしそういう機会があれば立会いをお願いします。全員の心根がわかったら返却を善意で断った人に、無償でお返しします」

「いいのかい?結構な量だし。タカヤの手柄なんだぞ」

「いや。いいです。捕まった事で心に負担を追って、さらに悪い状況にする事はないですよ」

 軽く笑みを浮かべながら、自分の気持ちを伝える。

「あまいな」

「ええ。あまいですね」

 一言。
 ギランさんの笑いながら言われたこの一言は、僕の心の緊張をゆっくりと解きほぐした。

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