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心の戦場
20.歓迎試合・S
しおりを挟む「どうする。なんか戦闘始まったよ」
「わかってる。今の奇襲はどこのチームなんだろうな?」
徹と智は、自分たちが挟み撃ちをする直前に別のチームが奇襲を仕掛けてきたことにより、一旦止まっていた。
「まだ、どっちもダウンが取られてないから、確証はないけど、さっきのキルログ的には神奈先輩チームじゃないかな」
「つまり、先輩たちがいま潰しあっているってわけか」
「ここは潰しあいが終わるまでまって、油断した隙に一気に倒そう」
「そうだな。もしかしたら、1位は無理でも2位にはなれるかもな」
*
「ごめん一人もダウンさせれなかった」
「ちっ。へたくそ」
「いいすぎだろ。それは」
奇襲を仕掛けた第一チームの天馬大地と空前奈央の言い争いが起こる。
「何のために神奈先輩が我慢して、アイテム合戦に行かなかったと思ってるんだよ」
「それはわかるが、何でお前に責められてるんだよ俺は」
「大地の言う通りよ。奈央。熱くなりすぎ」
そんな血の気の上がっている奈央に対し神奈が落ち着かせる。
「私のために怒ってくれたのありがたいんだけど、そんなに怒るほどガチの戦いじゃないから、大丈夫よ」
「はい、わかりました。ごめんなさい」
その言葉に奈央は気を落ち着かせて反省をした。しかし、大地と会話には入っていなかった武流の両名は若干背筋に冷や汗をかいていた。
「それじゃあ、気を取り直して、最低2キル取ってきなさい。大地」
「了解しました!」
大地は神奈に言われると意気揚々とスモークから飛び出ていく。
(相変わらずSだ)
武流は神奈の大地に対する扱いに戦々恐々していた。
(てか、今回アイテムの取り合いに行かなかったのって後輩に嫌われたくないという理由で、そんなにたいそうなことじゃないと思うのだが
神奈はどうしてゲームだと、こう性格が変わるのか)
*
一神率いる第三チームはスモークの方向に銃を向けいつでも撃てるように構えていた。
一神が全体に話しかける。
「よし、恐らく神奈なら大地だけを突っ込ませて自分は下に行くだろうから。大地は逃がすなよ」
それを聞いた茂が声を返す。
「了解。相変わらずのSっぷりですね。火野先輩は」
「ゲームさえなければ、穏やかな性格なのにな。
あいつと初めて会った時は、性格変わる人間が本当にいるんだ。って少し興奮したが今となっては面倒くさいからなあの性格」
「それ、火野先輩が聞いたらなんていうんでしょうね」
「絶対言うなよ。茂」
「言いませんよ。心配しないでください」
そんな話をしていると、煙の中が晴れていく。
「大地は渡り廊下をまっすぐ進んだ右の部屋に入ってます」
そういうと、メンバのマップに赤い点が追加される。そして
「よし、囲むぞ」
一神の言葉で第三チームは部屋を囲むため動き出した。そこに常に敵の位置を監視している茂から通信が入る。
「止まってください」
「どうした?」
突然の要請に、一神は聞き返す。
「大地が動き出しました」
「どこに?」
「上に行ってますね」
「なぜ?」
「さあ?」
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