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黒紙 創

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心の戦場

22.歓迎試合・誤算

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 大地はまず始めに、武流が見つけたと言う吹き抜け側の窓側の部屋を目指し移動する。

 その移動の様子は奇襲を全く警戒していないのか非常に軽快なものである。

 そして、大地は窓側の部屋のなかに入る。これも中にいるかもしれない敵の待ち伏せなど気にせずに勢い良く入り、部屋全体を素早く確認する。


「先輩。部屋にはもういないみたいです」

「そうか」


 大地は武流に部屋には敵がいなかったことを報告した。


「ても、そろそろこの階でやろうと思います。
 逃げてるみたいで性にあわないんで」

「頑張れよ」

「ははっ。二キルしたら速攻逃げますけどね」


 大地はそう言うと、手にはフラッシュバンを持ち、階段に近寄っていく。

 今度は今までの軽快な足取りとは違い、壁づたいに警戒しながら移動を始める。





 一神達、第三グループは現在二手に別れて敵を追っていた。


「階段分けて登ってきたが、この階にいるんだな」

「はい、かなり警戒して動いてるんで、戦うつもりっぽいです」


 一神は茂に敵の状況を確認していた。

 現在第三チームは、階段上からの待ち伏せを警戒して、最も近道の階段ではなく、別にある少し遠い二つの階段を登り、敵を挟むように移動していた。

 別れ方は、一神と陸による突撃兵と狙撃兵ペアと、茂と海による索敵兵と突撃兵のペアであった。

 互いに敵のいるフロアには到着しており、一神ペアは階段を出ると3手に分かれている廊下を真っすぐ進み、部屋にははいらずに廊下の左側の壁に張り付き、左方向にいると思われる敵に警戒している。

 茂ペアは一神たちとはちょうど反対の階段を出てすぐ右に曲がり、敵が上がったと思われる階段が見える位置のサーバー室のような場所にいた。


「でも、気をつけてください。
 さっき、ほんの少しでしたけど、もう一つマーカー付いたんで、誰かと合流してるかも」

「可能性としては神奈だな」

「ですね」


 一神達は先程の奇襲の際マップに映った赤い点で敵が3人は来たことはわかっているが、果たして映らなかったもう一人が、狙撃兵だったからなのか、その場にいなかっただけなのかは知るよしもなかった。


「先輩。大地はそっちに近づいてるみたいです。
 今の場所はここです」


 茂が一神に警戒を促すと一神のマップに敵の位置がわかる赤い点が追加される。位置は現在一神たちがいる場所から左に三部屋分進んだ先にある部屋の中である。


「陸。頼んだ」

「了解です。先行します」


 一神の指示で陸が先行に壁のような役目をする。そして、そのすぐ後ろを一神が追う。

 その移動のさなかであった。


「タタタタッ」


 突如、小さな銃声が聞こえ一神たちは進行を停止する。


「茂か?」

「違いますよ。まだ敵にあってません」

「じゃあ、今のは何だ?」

「タタタタタッ」

「また銃声だ」

「今のはでかいですね」


 一神たちが混乱していると銃声が再びなる。そして、一神達の前に突撃兵が走って会らわれた。






 
「こっちの位置はバレてるんだもんな。運だよな。茂の方行ったら完全に待ち伏せられるし。どっちに行こうかな」


 大地は廊下で右に行くか左に行くか悩んでいた。


「大地まだ何もしてないの?」


 そんな時、神奈からの冷たい声が届く。


「すみません。ちょうど今から始めるところです」

「死んでもいいから、二人は道連れね」

「はい」


 大地は直感で廊下を右に曲がる。


(そろそろ、いてもおかしくないはずだよな)


 大地は心の中でいつ合うかわからない敵の存在を警戒しながら部屋の中の確認もしている。そして、大地は広いオフィス部屋に入り、敵がいないか入り口のところから見渡す。


(いないか...ゴミ箱が転がってる?)


 このゲームではゴミ箱や書類といった小さなオブジェクトも当たったり戦闘があると所定の位置から移動したり壊れたりする。


(いるかも)


 大地がそう思ったときだった。



「タタタタッ」


 大地はオフィスに隠れていた狙撃兵から発砲を受ける。すぐさま廊下に戻り壁に張り付く。


「あぶねえ、どっからだ?」


 大地の残りHPは半分ほどにまで減っている。狙撃兵は威力が減退する代わりにサブマシンガンの音を消すサプレッサーを付けていたため、非常に音が小さくどこからの発泡か確定できなかった。

 大地は少しだけリーンしながら顔を出し、いそうな場所に発泡する。


「タタタタッ」


 しかし、敵は反撃を使用とはせずに姿を見せない。


「どこだ?」


 そして、大地が次の行動に移る前に、大地の入った入り口の真逆の場所からグレネードが投げられる。


「まじか!」


 大地はすぐさま廊下を走って、別の部屋に避難しようする。しかし、そこには運の悪いことは更に2人の敵が待ち構えていた。


「まじか!!」



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