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滅
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山岸家がある武井村は十五世帯ほどある。
佐一郎は、その十五世帯の家全てを周り寝ていた家人達を次々と懐刀で刺していった。寝込みを襲われた村人達は、抵抗することなく全員が佐一郎により殺されてしまった。
次に、武井村を全滅状態にした佐一郎は疲れを見せず風のように山を抜けると、自分の生家がある狭山村へと向かった。
この狭山村は五世帯しかない。ここの村人達も、自分を育ててくれた親も例外なく全て佐一郎の手で殺されてしまった。
次に向かったのが富木村。
ここは七世帯ほどの村。
二つの村を壊滅状態へと葬ってきた佐一郎は、今や自分が天下を取ったような気分だった。
そんな常軌を逸した佐一郎はこの時すでに狂っていたのかもしれない。
次々と、家に入り手にした一本の懐剣で村人を刺し殺していく。夜も遅く皆寝込みを襲われたせいか。佐一郎が入った家からは悲鳴一つ聞こえてこない。
そしてついに、おいちの家の前に来た。
肩で息をしながら家に近づき、勢いよく戸を開ける。
「うぉ~!」
と獣のような叫び声をあげながら家の者を探すが、不思議な事にこの家はもぬけの殻だった。
「ちっ」
と舌打ちをした佐一郎は、家から飛び出るとそのまま武井村の山岸家へと走り戻って行った。
その様子を暗闇の中から見ていたのは、おいちの家族だった。
その日いつものように過ごしていた家族が、夜も更け皆が床について暫くしてからだった。突然あめが
「大変!みんな起きて!」
と騒ぎ出したのだ。
驚いた家族は、何事かとあめに聞くが
「この家から出て!早く」
と騒ぐだけのあめ。仕方なく家族はあめの言う通りに家から出ると、農作業で使っている筵を被り庭の棲みに隠れたのだ。
訳も分からず筵の下に隠れた家族は、あめに
「あめ。いったいどうしたの言うの?」
「本当だよ。突然家にいちゃ駄目なんて何かが来るのかい?」
母親と利一が小声であめに聞く。父親は、白い布に包まれた何かを持ちながら黙っている。恐らく、子供と見立てた物を持っていたのだろう。おいちの子供を梅二に渡した後、母親には「これまで面倒みてこなかったから自分がみる」と苦し紛れの説明をして誤魔化してきた。いずれは本当の事を言わなくてはいけないのだが、甲斐甲斐しく世話をしている母親にすぐは言えなかったのだ。
「大変な事になる」
あめはそう言うだけで具体的な事は言わず後は黙っていた。
その時だ。暗闇の中誰かが自分の家の方に走ってくる足音が聞こえてきた。隠れている家族は息をひそめ、その何者かの動きを筵の下からジッと見ていた。
僅かな月明かりで見えたその男は、躊躇なく家の戸を開け中に入り物凄い叫び声をあげている。
「何だ?今の奴」
利一の声が震えている。
「シッ!喋るな」
父親が緊張した声で利一をたしなめる。もう、夏も終わりを迎えようとしていたが筵を頭まで被った状態は流石に暑い。家族は、何が起きているのか分からない状況での冷や汗と、筵の暑さから流れ出る汗を拭くこともなくじっと耐えていた。
その後、家の中に入った男は外に飛び出して来るとどこかへ行ってしまった。
家族は暫く様子を見ていたが
「ふぅ~」
という利一のため息が合図となり筵から這い出た。
「今のは誰だ?何でうちに来たんだろう?」
「分からないわ。でもあの人の姿・・真っ黒だったわよね」
利一と母親は喋り出す。
「・・・あめ。何でお前はアイツが来ることが分かったんだ?」
父親はあめに聞いた。
あめは、男が行ってしまった方を見ながら
「匂いがしたの。血の匂いが」
「血の匂い?」
家族はさっぱりわからなかったが、あめのお陰で佐一郎の難から逃れた結果となった。
佐一郎は、その十五世帯の家全てを周り寝ていた家人達を次々と懐刀で刺していった。寝込みを襲われた村人達は、抵抗することなく全員が佐一郎により殺されてしまった。
次に、武井村を全滅状態にした佐一郎は疲れを見せず風のように山を抜けると、自分の生家がある狭山村へと向かった。
この狭山村は五世帯しかない。ここの村人達も、自分を育ててくれた親も例外なく全て佐一郎の手で殺されてしまった。
次に向かったのが富木村。
ここは七世帯ほどの村。
二つの村を壊滅状態へと葬ってきた佐一郎は、今や自分が天下を取ったような気分だった。
そんな常軌を逸した佐一郎はこの時すでに狂っていたのかもしれない。
次々と、家に入り手にした一本の懐剣で村人を刺し殺していく。夜も遅く皆寝込みを襲われたせいか。佐一郎が入った家からは悲鳴一つ聞こえてこない。
そしてついに、おいちの家の前に来た。
肩で息をしながら家に近づき、勢いよく戸を開ける。
「うぉ~!」
と獣のような叫び声をあげながら家の者を探すが、不思議な事にこの家はもぬけの殻だった。
「ちっ」
と舌打ちをした佐一郎は、家から飛び出るとそのまま武井村の山岸家へと走り戻って行った。
その様子を暗闇の中から見ていたのは、おいちの家族だった。
その日いつものように過ごしていた家族が、夜も更け皆が床について暫くしてからだった。突然あめが
「大変!みんな起きて!」
と騒ぎ出したのだ。
驚いた家族は、何事かとあめに聞くが
「この家から出て!早く」
と騒ぐだけのあめ。仕方なく家族はあめの言う通りに家から出ると、農作業で使っている筵を被り庭の棲みに隠れたのだ。
訳も分からず筵の下に隠れた家族は、あめに
「あめ。いったいどうしたの言うの?」
「本当だよ。突然家にいちゃ駄目なんて何かが来るのかい?」
母親と利一が小声であめに聞く。父親は、白い布に包まれた何かを持ちながら黙っている。恐らく、子供と見立てた物を持っていたのだろう。おいちの子供を梅二に渡した後、母親には「これまで面倒みてこなかったから自分がみる」と苦し紛れの説明をして誤魔化してきた。いずれは本当の事を言わなくてはいけないのだが、甲斐甲斐しく世話をしている母親にすぐは言えなかったのだ。
「大変な事になる」
あめはそう言うだけで具体的な事は言わず後は黙っていた。
その時だ。暗闇の中誰かが自分の家の方に走ってくる足音が聞こえてきた。隠れている家族は息をひそめ、その何者かの動きを筵の下からジッと見ていた。
僅かな月明かりで見えたその男は、躊躇なく家の戸を開け中に入り物凄い叫び声をあげている。
「何だ?今の奴」
利一の声が震えている。
「シッ!喋るな」
父親が緊張した声で利一をたしなめる。もう、夏も終わりを迎えようとしていたが筵を頭まで被った状態は流石に暑い。家族は、何が起きているのか分からない状況での冷や汗と、筵の暑さから流れ出る汗を拭くこともなくじっと耐えていた。
その後、家の中に入った男は外に飛び出して来るとどこかへ行ってしまった。
家族は暫く様子を見ていたが
「ふぅ~」
という利一のため息が合図となり筵から這い出た。
「今のは誰だ?何でうちに来たんだろう?」
「分からないわ。でもあの人の姿・・真っ黒だったわよね」
利一と母親は喋り出す。
「・・・あめ。何でお前はアイツが来ることが分かったんだ?」
父親はあめに聞いた。
あめは、男が行ってしまった方を見ながら
「匂いがしたの。血の匂いが」
「血の匂い?」
家族はさっぱりわからなかったが、あめのお陰で佐一郎の難から逃れた結果となった。
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