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5. 喧嘩する人たち
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王城に着けばルェインの国王陛下は私との邂逅を喜んでくれました。
まあそれは私ではありませんが……
私に成り代わりレアンドロ様と並び陛下に挨拶しているのは、妹のサリーシェ。
二人……いえ、リーバ子爵家に、もしかしたらウォッズ侯爵家もグルなのかもしれませんね。きっと誰もが私よりサリーシェの方が良かったのと思ったのでしょうから……
「君がアリアか! 会えて嬉しいよ! 私は子供の頃君の母上と仲が良くて、逃がされて国外へ出たと知ってずっと心配してたんだ……姉上の事は残念だったが、君が無事で本当に良かった」
ルェイン国王陛下はまだ若い男性で、金髪に碧眼と、絵に描いた王子様のような素敵な方です。こんな方が私の身内だったんですね……私に会えたととても喜んでおりますし、良い方なのでしょう。
「私もとても嬉しいです、ルェイン国王陛下……」
一方のサリーシェは陛下の容姿に気を取られてポーッと挨拶をしています。その様を嬉しそうに見つめながら陛下はサリーシェに小声で二人で話そうと誘いを掛けます。
期待に瞳を潤ませて頷くサリーシェをレアンドロ様はどことなく面白く無さそうに見ておりますが、他国の王族とその家族の会話を断る事は出来ないようで。
二人は庭に出て会話を楽しみ、最後は口付けをして会場へ戻って行きました。
「私の事はルアジェと呼んで欲しい」
熱っぽく話すルアジェ陛下に嬉しそうに顔を赤らめ、二人は夜会の最中、終始寄り添い過ごしていました。
それから陛下がサザー王国にいる間、サリーシェは何度も呼び出しを受け王城へ行き、二人は直ぐに深い仲となりました。
そうしてサリーシェはルアジェ陛下に見染められる形でルェイン国王へ行く事となったのです。
……真実の愛を見つけたのだそうです。
サザー国も、ルェイン国からの要望に応じる事にました。私が好手となる保障が無い以上、手放した方が摩擦が少ないと判断したのでしょう。金銭的な話もあったようですが、表向きはルェイン国に戻りたいというアリア王女の意思を尊重する、と発表されたようです。
勿論レアンドロ様とサリーシェは大揉めです。
ですがこの二人は私を亡き者とし、手を汚した共犯者。
ただ今はルアジェ陛下を味方に付けたサリーシェの方がルェイン国の権力を使い、いくらでも虚像を作り出す事が出来ますから、状況はレアンドロ様の方が不利、かもしれませんが……
「君は────君がそんな女だったなんて思いもしなかった!」
……私もレアンドロ様が邪魔な婚約者を殺してその妹を成り代わらせた挙句国家をも欺く大罪を犯すような方だとは思っていませんでした。
「何よ! 仕方が無いでしょう! 私をルェイン国の王族に仕立てるって話はあなたも同意した事だったでしょう!?」
「そうじゃない! 懐妊だって? どうかしている! 未婚の令嬢が!!」
「それだって仕方が無い話だわ! 相手は王族なのよ! 断れる筈が無いわ! ────でも安心して頂戴? 時期的にあなたの子では無いんだから……ふふ、心置きなく隣国へ……私は王妃になるのよ!」
両手を組みうっとりと表情を緩めるサリーシェに、レアンドロ様は怒りを露わにして口元を戦慄かせます。
「こんな事ならアリアの方がましだった!」
死んでも嫌です……
何言い出すんでしょうこの人。
「ふん、今更何を言っても無駄よ! あなたも婚約者がいなくなったんだから、他の相手を探せばいいじゃない!」
「ああ! 勿論そうさせて貰うさ!」
こうして二人の間にあったらしい真実の愛は儚くも終わってしまいました。真実の愛に一生に何度も巡り会えるかは分かりませんが、サリーシェは「今度こそ本当の!」と息巻いているのでその通りなのでしょう。こればかりは本人にしか分かりませんからね。
レアンドロ様の今後も気になりましたが、私は私に代わりルェイン国に行くサリーシェはどうなるのだろうと気になります。
私は……私だったら陛下は声を掛けて下さら無かったかもしれません。そうしたらルェインに行く事も無かった……だったら少しだけ見に行って見ましょうか?
私はルェイン王国へ向かう馬車の屋根に座り、サザー国の盛大な見送りを眺めながら故郷への道程を楽しみにします。
「えっ? クロ?」
すると気まぐれな黒猫クロが私に擦り寄る仕草をして着いてきます。……いつの間にこんなところに来たのでしょう? すり抜けるのが怖くてクロの毛並みを堪能する事は出来ませんが……
「クロ、一緒に行ってくれるの?」
恐る恐る問いかければクロは、にゃあと鳴き、耳を後ろ足で器用に掻いてからお腹を見せてくれました。
「撫でてあげられなくてごめんね」
お腹の辺りを触る仕草をすれば満足そうに目を細めるクロに心を和ませ、私たち一人と一匹は、ルェイン国への旅路に混ざりました。
まあそれは私ではありませんが……
私に成り代わりレアンドロ様と並び陛下に挨拶しているのは、妹のサリーシェ。
二人……いえ、リーバ子爵家に、もしかしたらウォッズ侯爵家もグルなのかもしれませんね。きっと誰もが私よりサリーシェの方が良かったのと思ったのでしょうから……
「君がアリアか! 会えて嬉しいよ! 私は子供の頃君の母上と仲が良くて、逃がされて国外へ出たと知ってずっと心配してたんだ……姉上の事は残念だったが、君が無事で本当に良かった」
ルェイン国王陛下はまだ若い男性で、金髪に碧眼と、絵に描いた王子様のような素敵な方です。こんな方が私の身内だったんですね……私に会えたととても喜んでおりますし、良い方なのでしょう。
「私もとても嬉しいです、ルェイン国王陛下……」
一方のサリーシェは陛下の容姿に気を取られてポーッと挨拶をしています。その様を嬉しそうに見つめながら陛下はサリーシェに小声で二人で話そうと誘いを掛けます。
期待に瞳を潤ませて頷くサリーシェをレアンドロ様はどことなく面白く無さそうに見ておりますが、他国の王族とその家族の会話を断る事は出来ないようで。
二人は庭に出て会話を楽しみ、最後は口付けをして会場へ戻って行きました。
「私の事はルアジェと呼んで欲しい」
熱っぽく話すルアジェ陛下に嬉しそうに顔を赤らめ、二人は夜会の最中、終始寄り添い過ごしていました。
それから陛下がサザー王国にいる間、サリーシェは何度も呼び出しを受け王城へ行き、二人は直ぐに深い仲となりました。
そうしてサリーシェはルアジェ陛下に見染められる形でルェイン国王へ行く事となったのです。
……真実の愛を見つけたのだそうです。
サザー国も、ルェイン国からの要望に応じる事にました。私が好手となる保障が無い以上、手放した方が摩擦が少ないと判断したのでしょう。金銭的な話もあったようですが、表向きはルェイン国に戻りたいというアリア王女の意思を尊重する、と発表されたようです。
勿論レアンドロ様とサリーシェは大揉めです。
ですがこの二人は私を亡き者とし、手を汚した共犯者。
ただ今はルアジェ陛下を味方に付けたサリーシェの方がルェイン国の権力を使い、いくらでも虚像を作り出す事が出来ますから、状況はレアンドロ様の方が不利、かもしれませんが……
「君は────君がそんな女だったなんて思いもしなかった!」
……私もレアンドロ様が邪魔な婚約者を殺してその妹を成り代わらせた挙句国家をも欺く大罪を犯すような方だとは思っていませんでした。
「何よ! 仕方が無いでしょう! 私をルェイン国の王族に仕立てるって話はあなたも同意した事だったでしょう!?」
「そうじゃない! 懐妊だって? どうかしている! 未婚の令嬢が!!」
「それだって仕方が無い話だわ! 相手は王族なのよ! 断れる筈が無いわ! ────でも安心して頂戴? 時期的にあなたの子では無いんだから……ふふ、心置きなく隣国へ……私は王妃になるのよ!」
両手を組みうっとりと表情を緩めるサリーシェに、レアンドロ様は怒りを露わにして口元を戦慄かせます。
「こんな事ならアリアの方がましだった!」
死んでも嫌です……
何言い出すんでしょうこの人。
「ふん、今更何を言っても無駄よ! あなたも婚約者がいなくなったんだから、他の相手を探せばいいじゃない!」
「ああ! 勿論そうさせて貰うさ!」
こうして二人の間にあったらしい真実の愛は儚くも終わってしまいました。真実の愛に一生に何度も巡り会えるかは分かりませんが、サリーシェは「今度こそ本当の!」と息巻いているのでその通りなのでしょう。こればかりは本人にしか分かりませんからね。
レアンドロ様の今後も気になりましたが、私は私に代わりルェイン国に行くサリーシェはどうなるのだろうと気になります。
私は……私だったら陛下は声を掛けて下さら無かったかもしれません。そうしたらルェインに行く事も無かった……だったら少しだけ見に行って見ましょうか?
私はルェイン王国へ向かう馬車の屋根に座り、サザー国の盛大な見送りを眺めながら故郷への道程を楽しみにします。
「えっ? クロ?」
すると気まぐれな黒猫クロが私に擦り寄る仕草をして着いてきます。……いつの間にこんなところに来たのでしょう? すり抜けるのが怖くてクロの毛並みを堪能する事は出来ませんが……
「クロ、一緒に行ってくれるの?」
恐る恐る問いかければクロは、にゃあと鳴き、耳を後ろ足で器用に掻いてからお腹を見せてくれました。
「撫でてあげられなくてごめんね」
お腹の辺りを触る仕草をすれば満足そうに目を細めるクロに心を和ませ、私たち一人と一匹は、ルェイン国への旅路に混ざりました。
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