【完結】義妹に婚約者に奪われた私は崖っぷちで死神に求婚されるようです

藍生蕗

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7. レアンドロ様は……

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 どうしてここへと思うものの、深く考える事に意味は無いとも思います。死後の世界や体験なんて、人知を越えていてもおかしくないのですから。
 ついでにクロもいます。なんて自由な猫なんでしょう。……もう突っ込むのは止めておきましょう。

 それにしてもどこか騒がしいのは何故でしょうか? もう夜も更けているというのに……
 確証はありませんが先程サリーシェたちのいた宿から、時刻も日にちも同じのように思います。

 邸内を歩き、取り敢えず人の声のする玄関ホールへと足を運びます。するとそこには騎士達に取り囲まれて床に臥せるレアンドロ様と、ご両親がその近くに座り込み震え上がっておりました。
 周りに立ちそびえる騎士を率いているのは夜会でもお見かけした宰相閣下のようです。

「まさかルェイン国の王族を殺して成り代わろうなどと……なんと愚かな!」

 ああ、私を殺したの、もうバレたんですか。
 ────というか、ルアジェ陛下がご存知でしたし、もしかしてそこから情報が行ったのかもしれませんね。

「斬首と家の取り潰しくらいで事は収まらぬわ!」

 ウォッズ侯爵夫人は平伏し咽び泣き、侯爵は宰相閣下と倒れ伏しているレアンドロ様を交互に見ては呆然とし、信じられないといった風です。

 私はレアンドロ様に近付きました。
 まさか亡くなっているのでしょうか……
 少し屈んで覗き込めばその顔は随分と手酷くやられており、自慢の美貌は大きく腫れ上がって目も当てられません。涙と洟水が留めどなく流れ、床までぐしょぐしょです。

 レアンドロ様……例え私が王族で無くとも貴族令嬢であったなら罪に問われていましたよ。真実の愛の為にそんな事も気付かなかったのでしょうか。それとも真実の愛の前では人殺しすら許容されるものなのでしょうか……

 ああ、どうやらここにも私の居場所は無いようです。もう見るべき未来は無くなりました。
 私は再び意識が溶けるような錯覚を覚えます。

「アリア……」

 ふと小さな呟きを耳が拾いました。
 振り返れば臥したままこちらを見るレアンドロ様と目があったような気がします。

「すまなかった」

「……」

 それは間違いなく私への言葉だったのでしょうが、果たしてレアンドロ様が私があの場にいたと認識していたのかは分かりません。
 さようなら、レアンドロ様。
 あなたの望むような婚約者で無くてごめんなさい。

 私はその場を後にしました。
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