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8. 第二の人生
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目を開ければ再びあの殺風景な場所に立っていました。
アレンさんが言っていた三日が経ってしまいましたのでしょう。私の死を悼む人、三人もいませんでしたね……
ふと俯けば、前に足が見える。これは……
「クロ!?」
こんなところまで!?
……というか、もしかしてクロは……クロもあの時私と一緒に崖を落ちていたのでしょうか? だから私に着いてくるのでしょうか?
恐る恐る手を伸ばせば思った通り、クロのフワフワにに触れられます。
「見つけたみたいだね」
クロを抱き上げた私に背後から声が掛かりました。
「アレンさん」
そこには三日前に会ったアレンさんが相変わらずの黒ずくめで佇んでいました。
「ごめんなさい、あの、私……三人……いませんでした……折角チャンスを貰ったのに……」
落ち込む私にアレンさんは吹き出します。
「いるよ、そこに」
アレンさんが指差した先にいるのはクロ。
「え、クロ?」
「にゃあ」
じわり、と目に涙が滲みます。
クロは私が死んで悲しいと思ってくれてたんですね。
ルアジェ陛下より、レアンドロ様より、誰よりも嬉しいです。
「ありがとうクロ」
ぎゅうっとフワフワを抱き締めればクロは焦るように踠き、私の腕の中なら逃げ出しアレンさんの後ろに隠れてしまいました。
……私の事が好きなんじゃ無いんですか……ちょっと凹むんですが……
アレンさんも咎めるように私を見るものですから、もしかしてクロの分、取り消されるんでしょうか……
「ごめんなさいクロ」
落ち込みながら謝ればクロは尻尾を立てて、いいよ! と言ってくれているようで、ホッとします。
「まあとにかく、君の存命が決まって良かった」
「え……でも……」
私は躊躇います。
実は薄々勘付いていましたが、私を殺したとしてリーバ子爵家もウォッズ侯爵家もお取り潰しになり、きっと帰る家はもう無いのです。
実は生きてました~♪とか現れて、怒られた挙句に結局斬首とかされたら今度こそ死にますよね。
正直こんな短期間で二回も死にたくありません……
「大丈夫だよ」
私の考えを見透かしているようにアレンさんは優しく笑って見せます。
「君の面倒は俺が見るから、何も心配しなくていい……担当だからね」
「そ、そうですか」
死神とは死者に随分と手厚いのですね。
私は感動に打ち震えましたが、クロが何となく不憫な子を見る目を向けているように見えるのは気のせいでしょうか。
それより私は今後どう生きていくのでしょう。平民になるのでしょうか。働いた事はありませんから少し不安ですが、ずっと一人でおりましたし、普通の貴族令嬢よりやれる事は多いです。何とかなるかもしれません。
それに面倒を見ると言ってくれたアレンさんの言葉が心強くて、何だか頑張れそうです。
「分かりました、アレンさん。これからよろしくお願いします」
私の返事にアレンさんは目に見えて安堵したようです。にっこりと笑い、差し出される手を私もそっと握り返しました。
「良かった、これで契約は成立したよ。じゃあこれからよろしくね────死神として」
「……えっ?」
「あれ? 言って無かったっけ?」
目を丸くする私を見てアレンさんはクスクスと笑い出します。
「俺、別に君を人の世に生き返らせるなんて言って無いんだけど?」
えっ……と……あれ? 何か思ってたのと、違う……ような……?
言葉に詰まる私にアレンさんは握ったままの手に力を込めて私を引き寄せます。
「君はこれから死神として、俺の……まずは部下になって生きるんだよ?」
「そ、そうなんですか? ごめんなさい、よく分かっていませんでした」
「いや、いいよ。死神の文化なんて人間には分からないだろうからね……これから俺が教えて行くから心配しないで」
そう言ってアレンさんは嬉しそうに笑います。
もしかして私はアレンさんの初めての部下なのかもしれませんね。
確かに思っていたのと違いますが、やり直しという意味では違わない……のかな? それに救って貰った恩もありますし、よし、これから頑張りましょう。
むんっと気合いを入れ直せば、クロの、にゃーんという、どこか呆れたような鳴き声が響いたのでした。
◇ あと少し続きます
アレンさんが言っていた三日が経ってしまいましたのでしょう。私の死を悼む人、三人もいませんでしたね……
ふと俯けば、前に足が見える。これは……
「クロ!?」
こんなところまで!?
……というか、もしかしてクロは……クロもあの時私と一緒に崖を落ちていたのでしょうか? だから私に着いてくるのでしょうか?
恐る恐る手を伸ばせば思った通り、クロのフワフワにに触れられます。
「見つけたみたいだね」
クロを抱き上げた私に背後から声が掛かりました。
「アレンさん」
そこには三日前に会ったアレンさんが相変わらずの黒ずくめで佇んでいました。
「ごめんなさい、あの、私……三人……いませんでした……折角チャンスを貰ったのに……」
落ち込む私にアレンさんは吹き出します。
「いるよ、そこに」
アレンさんが指差した先にいるのはクロ。
「え、クロ?」
「にゃあ」
じわり、と目に涙が滲みます。
クロは私が死んで悲しいと思ってくれてたんですね。
ルアジェ陛下より、レアンドロ様より、誰よりも嬉しいです。
「ありがとうクロ」
ぎゅうっとフワフワを抱き締めればクロは焦るように踠き、私の腕の中なら逃げ出しアレンさんの後ろに隠れてしまいました。
……私の事が好きなんじゃ無いんですか……ちょっと凹むんですが……
アレンさんも咎めるように私を見るものですから、もしかしてクロの分、取り消されるんでしょうか……
「ごめんなさいクロ」
落ち込みながら謝ればクロは尻尾を立てて、いいよ! と言ってくれているようで、ホッとします。
「まあとにかく、君の存命が決まって良かった」
「え……でも……」
私は躊躇います。
実は薄々勘付いていましたが、私を殺したとしてリーバ子爵家もウォッズ侯爵家もお取り潰しになり、きっと帰る家はもう無いのです。
実は生きてました~♪とか現れて、怒られた挙句に結局斬首とかされたら今度こそ死にますよね。
正直こんな短期間で二回も死にたくありません……
「大丈夫だよ」
私の考えを見透かしているようにアレンさんは優しく笑って見せます。
「君の面倒は俺が見るから、何も心配しなくていい……担当だからね」
「そ、そうですか」
死神とは死者に随分と手厚いのですね。
私は感動に打ち震えましたが、クロが何となく不憫な子を見る目を向けているように見えるのは気のせいでしょうか。
それより私は今後どう生きていくのでしょう。平民になるのでしょうか。働いた事はありませんから少し不安ですが、ずっと一人でおりましたし、普通の貴族令嬢よりやれる事は多いです。何とかなるかもしれません。
それに面倒を見ると言ってくれたアレンさんの言葉が心強くて、何だか頑張れそうです。
「分かりました、アレンさん。これからよろしくお願いします」
私の返事にアレンさんは目に見えて安堵したようです。にっこりと笑い、差し出される手を私もそっと握り返しました。
「良かった、これで契約は成立したよ。じゃあこれからよろしくね────死神として」
「……えっ?」
「あれ? 言って無かったっけ?」
目を丸くする私を見てアレンさんはクスクスと笑い出します。
「俺、別に君を人の世に生き返らせるなんて言って無いんだけど?」
えっ……と……あれ? 何か思ってたのと、違う……ような……?
言葉に詰まる私にアレンさんは握ったままの手に力を込めて私を引き寄せます。
「君はこれから死神として、俺の……まずは部下になって生きるんだよ?」
「そ、そうなんですか? ごめんなさい、よく分かっていませんでした」
「いや、いいよ。死神の文化なんて人間には分からないだろうからね……これから俺が教えて行くから心配しないで」
そう言ってアレンさんは嬉しそうに笑います。
もしかして私はアレンさんの初めての部下なのかもしれませんね。
確かに思っていたのと違いますが、やり直しという意味では違わない……のかな? それに救って貰った恩もありますし、よし、これから頑張りましょう。
むんっと気合いを入れ直せば、クロの、にゃーんという、どこか呆れたような鳴き声が響いたのでした。
◇ あと少し続きます
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