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7. 父怒る
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暫く家がバタバタしている事は知っていた。
だが下手に目に留まり、あれこれ言われるのは嫌だったので、イリーシアはずっと自室に閉じこもっていた。
ミラに聞いてみたものの、どうやら自分の事とは別のもののようで、ミラも口を濁していた。
両親が自分に対し暴挙に出ようとしている訳では無いと知り、イリーシアは、自室で息を顰めるようにして過ごした。
そして暫くしてやって来たのがテッドだったのだ。
テッドは姉の子だった。
姉は婚家で男児を産んだが、その後愛人にその場を追われ、子どもと共に虐げられていた。
姉は自身の身を守る事で精一杯で、テッドは乳母が必死に守っていた。
どれ程愛人の横暴を許しても、正妻は姉であり、嫡男はテッドなのだ。
けれど、その愛人が産んだ子が男児だった事により、嫌がらせだけですまなくなってしまった。
二人の命に危険を感じた乳母が、父に内密に連絡を取って来た。
そして父は姉とテッドの惨状を目の当たりにし、イリーシアの事は頭から吹き飛んでしまったらしい。
怒り狂った父が最初にした事は、二人を安全な場所に移す事だった。
そして直ぐ王都に飛び、宰相を頼り現状を訴えた。
勿論宰相は相手にしない。
何故ならそれは家の中の話であって、人死でも起きない限り他者が介入して良いような話では無いからだ。
ただ噂は広まった。
夫人を蔑ろにし、平民の愛人にうつつを抜かす夫。
しかも大事な貴族の血を繋ぐ嫡男を粗末に扱い、平民の庶子を優遇している愚か者。
この手の噂は、夫人たちは女性に同情的なのだ。
特に妻に何の瑕疵もなく、一方的なものであったと知れば、その力は強まる。
とは言え、貴族のくせに平民にしてやられたのかと言う意見も勿論あるが、嫁げば先の家に従わなければならないのは、誰もが知っている。そこでどれ程自由に振る舞えるかは夫次第だと言う事も。
姉の夫は、次男だった。
けれど、嫡男が他家に見染められ、養子に行く事になってしまったのだ。それが良縁であったが為断る事が出来ず、教育をきちんと行って来なかった次男が継ぐ事になった。
彼の両親は次男を支えてくれる女性を探していた。
我が家は子爵で、相手はなんと伯爵だった。
それでも姉は両親が誇りに思う程に淑女の鏡であり、そのような理由があるならばと、相手の家に望まれ嫁ぐ事に異を唱えなかった。
自分と違うと少しやさぐれた気持ちになったものの、姉の結婚は祝福していた。
だからイリーシアも両親と違える事なく、怒りを隠さず憤ったのだが……
父が連れて帰ったのはテッドだけだった。
姉はどうしたのかと父に問えば疲れた顔で、修道院に向かったと告げた。
何故姉がと声を荒げそうになったイリーシアを手で制した後、父の続く言葉に目を丸くした。
「あいつは冒険者になるそうだ」
そう言った父の目は、どこか遠くを見るものになっていた。
だが下手に目に留まり、あれこれ言われるのは嫌だったので、イリーシアはずっと自室に閉じこもっていた。
ミラに聞いてみたものの、どうやら自分の事とは別のもののようで、ミラも口を濁していた。
両親が自分に対し暴挙に出ようとしている訳では無いと知り、イリーシアは、自室で息を顰めるようにして過ごした。
そして暫くしてやって来たのがテッドだったのだ。
テッドは姉の子だった。
姉は婚家で男児を産んだが、その後愛人にその場を追われ、子どもと共に虐げられていた。
姉は自身の身を守る事で精一杯で、テッドは乳母が必死に守っていた。
どれ程愛人の横暴を許しても、正妻は姉であり、嫡男はテッドなのだ。
けれど、その愛人が産んだ子が男児だった事により、嫌がらせだけですまなくなってしまった。
二人の命に危険を感じた乳母が、父に内密に連絡を取って来た。
そして父は姉とテッドの惨状を目の当たりにし、イリーシアの事は頭から吹き飛んでしまったらしい。
怒り狂った父が最初にした事は、二人を安全な場所に移す事だった。
そして直ぐ王都に飛び、宰相を頼り現状を訴えた。
勿論宰相は相手にしない。
何故ならそれは家の中の話であって、人死でも起きない限り他者が介入して良いような話では無いからだ。
ただ噂は広まった。
夫人を蔑ろにし、平民の愛人にうつつを抜かす夫。
しかも大事な貴族の血を繋ぐ嫡男を粗末に扱い、平民の庶子を優遇している愚か者。
この手の噂は、夫人たちは女性に同情的なのだ。
特に妻に何の瑕疵もなく、一方的なものであったと知れば、その力は強まる。
とは言え、貴族のくせに平民にしてやられたのかと言う意見も勿論あるが、嫁げば先の家に従わなければならないのは、誰もが知っている。そこでどれ程自由に振る舞えるかは夫次第だと言う事も。
姉の夫は、次男だった。
けれど、嫡男が他家に見染められ、養子に行く事になってしまったのだ。それが良縁であったが為断る事が出来ず、教育をきちんと行って来なかった次男が継ぐ事になった。
彼の両親は次男を支えてくれる女性を探していた。
我が家は子爵で、相手はなんと伯爵だった。
それでも姉は両親が誇りに思う程に淑女の鏡であり、そのような理由があるならばと、相手の家に望まれ嫁ぐ事に異を唱えなかった。
自分と違うと少しやさぐれた気持ちになったものの、姉の結婚は祝福していた。
だからイリーシアも両親と違える事なく、怒りを隠さず憤ったのだが……
父が連れて帰ったのはテッドだけだった。
姉はどうしたのかと父に問えば疲れた顔で、修道院に向かったと告げた。
何故姉がと声を荒げそうになったイリーシアを手で制した後、父の続く言葉に目を丸くした。
「あいつは冒険者になるそうだ」
そう言った父の目は、どこか遠くを見るものになっていた。
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