レミニセンス 第三章

紫くらげ

文字の大きさ
4 / 6

4

しおりを挟む
俺はまた、メグリのクローン施設に行った。
すると、先程殺された俺の死体が転がっている。
銃で後頭部を撃ち抜かれただけとは思えないほど、ズタボロだった。
まるで、死んだ後も暴行を受けたような…

「まーた俺に殺されに来たのか?ははっ、サンドバッグかよお前」

背後からした声に振り向くと、そいつは居た。

「お前は…俺だろ。どうして、俺を殺そうとする。」

「あ゛?んなもん決まってんだろ。俺はお前が、死んでも生き返るお前が憎い。バグで出来た俺は死んだらそれっきり…本物のお前に、偽物の俺達の気持ちが分かるかよ!!!」

「偽物ってなんだよ、お前も俺だろ…?」

すると、アイツは呆れたような、悲しそうな表情をした。

「良いぜ、何で憎んでるか、今まで起きたこと、ぜーんぶ教えてやるよ。」

俺は、黙って頷いた。

「お前が5歳で死んだ頃のバグ。それが俺だ。」
「両親は、お前が生きてることに喜んだ。でも、バグで発生した俺の生は喜ばなかった。」
「気持ち悪いと、蔑み、暴力を与えられた。勿論、お前が見てないところでな。」
「その後、真っ白な服を着た大人たちが俺を引き取りに来た。」
「連れていかれた場所は実験室だった。」
「俺は、今までの暴力よりも酷い事をされた。」
「だから、俺は隙を見て……殺したさ。皆。」
「俺に暴力を振るった奴、暴言を吐いたやつ、俺の機嫌を損ねたやつ。」
「全員、殺した」
「だから、お前も殺す。もし死ななくても、気が済むまで痛めつけてやる」

・・・・・・・・

「なんだよ、その反応。せっかく教えてやったのに。」

俺は、何も返す言葉が見つからなかった。
こいつがこうなったのは俺のせいで……?
だったら、俺は…殺されないと…いけない…
罪を償わないといけないのかもしれない…
俺の瞳からは、自然と涙が零れていた。

「壊れたか?あーあ、つまんねぇ。でも、地獄に落ちるのは…今からだぜ?」

立ち尽くす俺の額に、そいつは掌を重ねる

―同期します―

「うわああぁぁぁぁ!!!」

脳内に無機質な声が響いたと思えば、そいつの過去が、痛みが、恐怖が、全て流れ込んでくる。
思わず倒れ込み、蹲る。
それでも、永遠に続く痛みに恐怖、絶望が広がっていく。

気絶したくても、痛みで叩き起こされる。

「…して、ころ、して。」

思わず口から出た言葉。

その言葉にそいつは舌打ちをすると、腹部に蹴りを入れてくる。

「甘ったれんな。俺はお前なんだろ?だったら、その辛さ位、乗り越えてみろよ」

「いやだ!無理だ!!!もう、もう殺してくれ!耐えられない!!助けて、助けてくれ!!!!」

そいつの足に醜く縋る俺を蹴飛ばすと、そのまま踏みつけてきた。
脳内から伝わる痛みと、物理的な痛みで今にも自害したいと思える程だ。

「おい、クローンども。こいつを自害できない様に監禁してろ。」

「了解しました、マスター。」

「助けてっ、メグリ!!!メグリ、メグリ!!!」

返事は無い。無表情のまま俺を拘束して、監視している。

そこで俺は気絶した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...