虚言は本音で君を満たす

うみすけ

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虚言は本音で君を満たす

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二人でいる部屋が暗く、まともには何も視認出来ない。だから私は、照明を灯す為にベッドの布団を退けて起き上がる。

「どこ行くの?」

そう呼び掛けてきた葉月は私の腕を掴む。

「電気を付けるだけだよ。」

そっか、と言いながら掴んでいた手を放して布団の中に腕を戻す。それを暗闇に慣れた目で確認した私は、さっさと照明を付けた。

「眩しっ」

そう言うと、先程閉まったばかりの腕をサッと出して瞳を抑える葉月。肩から上の部分が見え、白く透き通った肌をしている葉月はきっと今、顔をクシャッとさせているだろう。

「もう21時だよ。葉月はそろそろ起きないと。」

わかってるーーー、と不貞腐れたような声を出しながら布団の中に潜ってモゾモゾとしている葉月は、22時から仕事だ。いつもの役目で起こさないといけない私は、ベッドの前まで戻ってきて布団を引き剥がす。それをすると、何も身につけてない葉月は、次に寒いぃ!と言いながら身体を丸めてゴロンゴロンとする。それを何も言わずに私が見つめていると、

「なんだよぉ」

と言うから

「いや、いつみても白くて綺麗だと思ってさ。」

と答える。それを聞いた葉月は照れて、今度はまた別の意味でゴロンゴロンとし出した。







「それじゃ、仕事行ってくるね!明日もいつも通り、9時くらいに帰ってくるから!」

「わかったよ。俺は明日休みだから寝てるかも。待ってる。」

それを聞いて微笑む葉月は、じゃあさじゃあさ、と続ける。

「起きてたらさ、一緒にお風呂入りたい!起きてなかったら、起こして一緒にお風呂入りたい!」

「わかったよ。俺も一緒に入りたいから、約束。」

更に嬉しそうに笑顔を見せる葉月は、んっ、と腕を広げてこちらに向ける。これは行ってきますのギュとキスをして、と言う合図で、一緒に住み始めてから欠かした事は一度も無い。

スーツ姿の葉月を抱きしめると、身体の形がわかる。美人でスタイルも良い、誰が見てもそう感じる。

「俺には勿体無いくらいに、葉月は綺麗だ。」

「私は貴方を愛しているから………」

「俺もだ。愛してるよ。」

こんな言葉だけで、葉月の心を満たせるのだから何度だって、伝えてあげる。

嘘の本音を。君の心を満たしてあげる。











___________携帯が鳴り通知が来ている。

『今日も0時くらいにそっち行くね。大好き。』
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