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杉咲龍之介
運命の日
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6年生になった5月16日、この日は桜の誕生日だった。毎年、簡単にお菓子を買ってあげていた。そんなちゃっちいプレゼントでも自分の誕生日を覚えていてくれていたことにいつも桜は喜んでいた。
その日の3日前、今年も同じように簡単なプレゼントにしようと母親にお金をせがみに行った時だった。
「小学校最後の誕生日くらいもっといいものプレゼントしなさいよ、お金は渡すから」
母親が急に思い付いたかのように言う。
「いいものって言われても」
「そうだ、お花を買ってプレゼントするのはどう?ダイマルで買ってきなさいよ。桜ちゃん、お花好きでしょ?多分とっても喜ぶと思うわよ」
お花か。なんか今更お花なんてプレゼントすると変に誤解されないだろうか。そのところをクラスメイトの誰かに見られなんてしたら傍から見たら告白しているように見えないだろうか。いや、でもこの際するのもアリかもしれない。
いや、でも、そんな勇気はない。今の関係が崩れる方が嫌だ。もし断れなんてされたら生きていけないかもしれない。いや、まず告白して何になるんだ。
色々と自問自答したが花を買ってプレゼントするということだけは気づいたら確定していた。
どうやって渡そうかと色々と考えが、当日、スーパーダイマルで花を買ってそこに桜を呼んでそこでプレゼントすることにした。誰かに見られるリスクはあったが、それよりも家族に、向こうの家族に見られることの方が恥ずかしかった。
段取りとしては放課後1度家に帰ってから荷物を置いて身軽になってからダイマルに花を買いに行き。ちょうど買い終わる頃に桜をダイマルの駐車場に来てもらってそこで渡すという流れだ。
脳内シュミレーションは完璧だ。
15日に学校で桜に明日16時半にダイマルの駐車場に来てもらう約束をした。
16日は自分の誕生日ということは勿論認識しているから何かを貰うということは理解していそうだったが、今まで毎年お菓子を持って家を訪ねてお菓子を渡してたまに向こうの家族と一緒に桜の誕生日パーティーを一緒にしたこともあった。
しかし、今年は桜の家に行くことはしない。夕方花をプレゼントして終わり、それ以上は恥ずかしい。喜んでくれるだろうか。いや、喜んでくれるか。
ついに当日、僕は学校が終わると挨拶も後にしてすぐに帰宅し、ランドセルを投げて母からもらったお金を持ってダイマルまで急ぐ。何も急ぐ必要なんてないが、なぜか体は急いだ。向こうに時間を指定しているので早く用意しても意味がないのに。それでも早く用意して心を落ち着かせたかった。
ダイマルについてから気づいた。なんの花を買うかということを。肝心なことを決めていなかった。結果的には急いでよかった。
「あ、あの、花を買いたいんですけど」
ダイマルの中に併設されている花屋の店員に声をかける。躊躇っている時間はない、ような気がしていた。
「何用のお花かしら?プレゼント用?母の日ようかな?」
「あ、いや、女の子にあげるようで…」
店員は何かを察したのか、一輪の赤い花を手渡してきた。僕でもわかる薔薇だ
「それならこれがいいわ。最初からプレゼント用になっているからこれにお手紙をくくりつけて渡すといいわ」
一輪の薔薇が透明なプラスチックのケースに入っていて本当にこのまま手渡すことができた。
「あ、ありがとうございます」
お金を手渡し、その一輪の薔薇を持ってお店を出る。
桜がいつ来てもいいように交差点が見える駐車場の位置で待つことにした。
今の時間はちょうど16時を過ぎた頃。桜のことだから少し早く来るだろうと思った。
10分くらい経った頃、目の前の交差点に桜が来たのが見えた。桜も駐車場にいる僕に気づいて笑顔で手を振る。
手を振り返そうと思ったが、花を手に持っているので持っていない逆の手で小さく手を振った。
その瞬間だった。
車のクラクションが交差点に鳴り響いた。2人の視線はその音の方に向く。嫌な予感がした。
桜は今信号待ちをしている。僕はそれを反対側で見ている。ということは信号はもちろん赤だ。
僕の後ろから猛スピードで車が交差点に侵入してきた。
もう一度言う信号は赤だ。ということは
青信号で交差点に侵入した車が横からその暴走者に突撃する。
聞いたことのないとんでもない音を立てて目の前で車が凹む。車どうしが接触する瞬間、時間がスローになったように感じた。が、それは一瞬だった。赤信号に侵入してきた車はぶつかった車から反射するように左にずれる。それでもおの車はスピードが緩むことなくそのまま直進する。
その車の進行方向には桜がいる。桜の名前を呼ぶ時間すらなかった。桜が僕に手を伸ばす。しかし僕らの間には埋めることのできない大きな距離があった。
その車はそのまま信号待ちしていた桜に突っ込んでいった。それは文字通り突っ込むという形だった。
桜は車と横の信号機に挟まれた。桜の立っていた位置が少しでもずれていたら挟まれることはなかったのか、いやそれでもあのスピードで突っ込んできた車に衝突されたら助からないだろう。
信号機に車をめり込ませてその車はようやく止まった。車の前方から煙が出ている。その車の前タイヤの下から大量の赤い液体が流れてきた。
そこで駐車場にいた人が悲鳴をあげる。誰かが救急車と警察に電話したのだろう。少ししたら救急車がサイレンを鳴らしやってきてパトカーが何台もダイマルの駐車場にやってきて辺りは騒然としていた。
僕はまだ理解ができていなかった。事故から数分は経っていたであろうが、僕の時間はずっとその事故の瞬間で止まっていた。
桜は即死だった。
その日の3日前、今年も同じように簡単なプレゼントにしようと母親にお金をせがみに行った時だった。
「小学校最後の誕生日くらいもっといいものプレゼントしなさいよ、お金は渡すから」
母親が急に思い付いたかのように言う。
「いいものって言われても」
「そうだ、お花を買ってプレゼントするのはどう?ダイマルで買ってきなさいよ。桜ちゃん、お花好きでしょ?多分とっても喜ぶと思うわよ」
お花か。なんか今更お花なんてプレゼントすると変に誤解されないだろうか。そのところをクラスメイトの誰かに見られなんてしたら傍から見たら告白しているように見えないだろうか。いや、でもこの際するのもアリかもしれない。
いや、でも、そんな勇気はない。今の関係が崩れる方が嫌だ。もし断れなんてされたら生きていけないかもしれない。いや、まず告白して何になるんだ。
色々と自問自答したが花を買ってプレゼントするということだけは気づいたら確定していた。
どうやって渡そうかと色々と考えが、当日、スーパーダイマルで花を買ってそこに桜を呼んでそこでプレゼントすることにした。誰かに見られるリスクはあったが、それよりも家族に、向こうの家族に見られることの方が恥ずかしかった。
段取りとしては放課後1度家に帰ってから荷物を置いて身軽になってからダイマルに花を買いに行き。ちょうど買い終わる頃に桜をダイマルの駐車場に来てもらってそこで渡すという流れだ。
脳内シュミレーションは完璧だ。
15日に学校で桜に明日16時半にダイマルの駐車場に来てもらう約束をした。
16日は自分の誕生日ということは勿論認識しているから何かを貰うということは理解していそうだったが、今まで毎年お菓子を持って家を訪ねてお菓子を渡してたまに向こうの家族と一緒に桜の誕生日パーティーを一緒にしたこともあった。
しかし、今年は桜の家に行くことはしない。夕方花をプレゼントして終わり、それ以上は恥ずかしい。喜んでくれるだろうか。いや、喜んでくれるか。
ついに当日、僕は学校が終わると挨拶も後にしてすぐに帰宅し、ランドセルを投げて母からもらったお金を持ってダイマルまで急ぐ。何も急ぐ必要なんてないが、なぜか体は急いだ。向こうに時間を指定しているので早く用意しても意味がないのに。それでも早く用意して心を落ち着かせたかった。
ダイマルについてから気づいた。なんの花を買うかということを。肝心なことを決めていなかった。結果的には急いでよかった。
「あ、あの、花を買いたいんですけど」
ダイマルの中に併設されている花屋の店員に声をかける。躊躇っている時間はない、ような気がしていた。
「何用のお花かしら?プレゼント用?母の日ようかな?」
「あ、いや、女の子にあげるようで…」
店員は何かを察したのか、一輪の赤い花を手渡してきた。僕でもわかる薔薇だ
「それならこれがいいわ。最初からプレゼント用になっているからこれにお手紙をくくりつけて渡すといいわ」
一輪の薔薇が透明なプラスチックのケースに入っていて本当にこのまま手渡すことができた。
「あ、ありがとうございます」
お金を手渡し、その一輪の薔薇を持ってお店を出る。
桜がいつ来てもいいように交差点が見える駐車場の位置で待つことにした。
今の時間はちょうど16時を過ぎた頃。桜のことだから少し早く来るだろうと思った。
10分くらい経った頃、目の前の交差点に桜が来たのが見えた。桜も駐車場にいる僕に気づいて笑顔で手を振る。
手を振り返そうと思ったが、花を手に持っているので持っていない逆の手で小さく手を振った。
その瞬間だった。
車のクラクションが交差点に鳴り響いた。2人の視線はその音の方に向く。嫌な予感がした。
桜は今信号待ちをしている。僕はそれを反対側で見ている。ということは信号はもちろん赤だ。
僕の後ろから猛スピードで車が交差点に侵入してきた。
もう一度言う信号は赤だ。ということは
青信号で交差点に侵入した車が横からその暴走者に突撃する。
聞いたことのないとんでもない音を立てて目の前で車が凹む。車どうしが接触する瞬間、時間がスローになったように感じた。が、それは一瞬だった。赤信号に侵入してきた車はぶつかった車から反射するように左にずれる。それでもおの車はスピードが緩むことなくそのまま直進する。
その車の進行方向には桜がいる。桜の名前を呼ぶ時間すらなかった。桜が僕に手を伸ばす。しかし僕らの間には埋めることのできない大きな距離があった。
その車はそのまま信号待ちしていた桜に突っ込んでいった。それは文字通り突っ込むという形だった。
桜は車と横の信号機に挟まれた。桜の立っていた位置が少しでもずれていたら挟まれることはなかったのか、いやそれでもあのスピードで突っ込んできた車に衝突されたら助からないだろう。
信号機に車をめり込ませてその車はようやく止まった。車の前方から煙が出ている。その車の前タイヤの下から大量の赤い液体が流れてきた。
そこで駐車場にいた人が悲鳴をあげる。誰かが救急車と警察に電話したのだろう。少ししたら救急車がサイレンを鳴らしやってきてパトカーが何台もダイマルの駐車場にやってきて辺りは騒然としていた。
僕はまだ理解ができていなかった。事故から数分は経っていたであろうが、僕の時間はずっとその事故の瞬間で止まっていた。
桜は即死だった。
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