12 / 13
杉咲龍之介
タイムカプセル
しおりを挟む
楓さんが中学校を卒業する前に僕と桜を誘ってタイムカプセルを埋めようと提案してきた。
高校に上がってしまうと母校の小学校に立ち寄る機会もなくなるし、雰囲気的に立ち寄りづらくなってしまうからだそうだ。
当時僕らは小学校5年生。担任の新藤先生に事情を説明し、僕らも一緒に10年後の自分に向けて手紙を書くことにした。
桜と一緒に手紙を書こうとしたが何故か恥ずかしいからと一緒に書いてはくれなかった。
21歳になった自分に向けて何を書こうか。と色々と考えて頭を悩ませたが、何も思いつかなかった。
何を書こうかと鉛筆を持つがその筆はなかなか進まなかった。
書こうと思ったことがあったが、その事を見られたら恥ずかしい人が近くにいるためどうしようかとても悩んだ。
でも何も書かない訳にはいかず、見られたらそれはそれだと腹を括って書くことにした。
どうせ見られたとしてもそれは10年後だ。
相場はこういうのは10年後の自分が何をしているのかということを書くのが相場だ。4年生の時、2分の1成人式で将来の夢をみんなと語り、地域の人も呼んでの学習発表会でみんなの前で発表した。
正直将来の夢なんてなかった。僕の父は普通のサラリーマンで、憧れていないわけではないが言葉にするととても物足りなかった。他のクラスメイトはスポーツ選手や、学校の先生、アイドルという人もいた。桜はその時にも花屋さんになると全校生徒の前で宣言していた。
今の僕の夢は
恥ずかしさを押し殺して今の思いを短く綴った。
『ずっと桜と一緒にいること』
楓さんと桜と3人で小学校の大きな桜の木の下にそのタイムカプセルを埋めることにした。桜のたっての願いだった。
丈夫なお菓子のカンカンに思い出の物を手紙と一緒に入れた。僕は特に一緒に入れるものがなかったので手紙だけを入れた。
「龍くん、これ」
桜が僕に何かを手渡した。それは半強制的に無理矢理に。手に何かを握らせられた。
手の中にあるのは小さなラミネートされた長方形な薄い板のようなものだった。
「これ、って栞?え、これ押し花?」
「そう、タイムカプセル用に押し花の栞を作ったの。で、その時についでにもう1枚桜の押し花の栞も作ったから、龍くんにあげる。タイムカプセルに一緒に入れてもいいし、そのまま持っててもいいし。龍くん本読むの好きでしょ?」
押し花をさらにラミネートして長方形に切り取り上の部分にパンチで穴を開けて桃色のリボンが結ばれている。押し花は綺麗な桃色の小さい桜の花びらは春の綺麗な姿のまま時間ごと切り抜いたかのようにそこに存在していた。
タイムカプセルに一緒に入れるものなかったし、桜も手紙と一緒に同じような物を入れたって言っていたし。
でも、そこで何か嫌な予感がした。そして
「いや、このまま貰うよ。ありがとう。大切に使うよ」
気づいたらそう言っていた。その言葉で桜は「良かった」満面の笑みになる。急に恥ずかしくなって栞をポケットに突っ込む。楓さんが僕たちを見て微笑む。
「さぁ、早く埋めちゃうよ。2人とも後悔はないか?掘り起こすのは開けるのは10年後だよ」
楓さんのその声で僕ら2人は一緒に頷く。
僕がスコップで桜の木の麓に穴を掘る。カンカンの大きさの2倍くらいのサイズの穴を掘り、そこにカンカンを入れて上から土をかける。最後にスコップの背で重ねた土を上からパンと叩く。まるでそういう儀式のようだった。
楓さんの思いつきだったが、僕らにとってもとても楽しみな思い出になった。10年後また3人でここに集まることができることで必ずまた会う口実になる。僕にとってそれが何よりも嬉しかった。
楓さんには感謝している。
それは今でも同じだ。
この後あんなことがあったとしても桜がいた痕跡がここにはあった。
高校に上がってしまうと母校の小学校に立ち寄る機会もなくなるし、雰囲気的に立ち寄りづらくなってしまうからだそうだ。
当時僕らは小学校5年生。担任の新藤先生に事情を説明し、僕らも一緒に10年後の自分に向けて手紙を書くことにした。
桜と一緒に手紙を書こうとしたが何故か恥ずかしいからと一緒に書いてはくれなかった。
21歳になった自分に向けて何を書こうか。と色々と考えて頭を悩ませたが、何も思いつかなかった。
何を書こうかと鉛筆を持つがその筆はなかなか進まなかった。
書こうと思ったことがあったが、その事を見られたら恥ずかしい人が近くにいるためどうしようかとても悩んだ。
でも何も書かない訳にはいかず、見られたらそれはそれだと腹を括って書くことにした。
どうせ見られたとしてもそれは10年後だ。
相場はこういうのは10年後の自分が何をしているのかということを書くのが相場だ。4年生の時、2分の1成人式で将来の夢をみんなと語り、地域の人も呼んでの学習発表会でみんなの前で発表した。
正直将来の夢なんてなかった。僕の父は普通のサラリーマンで、憧れていないわけではないが言葉にするととても物足りなかった。他のクラスメイトはスポーツ選手や、学校の先生、アイドルという人もいた。桜はその時にも花屋さんになると全校生徒の前で宣言していた。
今の僕の夢は
恥ずかしさを押し殺して今の思いを短く綴った。
『ずっと桜と一緒にいること』
楓さんと桜と3人で小学校の大きな桜の木の下にそのタイムカプセルを埋めることにした。桜のたっての願いだった。
丈夫なお菓子のカンカンに思い出の物を手紙と一緒に入れた。僕は特に一緒に入れるものがなかったので手紙だけを入れた。
「龍くん、これ」
桜が僕に何かを手渡した。それは半強制的に無理矢理に。手に何かを握らせられた。
手の中にあるのは小さなラミネートされた長方形な薄い板のようなものだった。
「これ、って栞?え、これ押し花?」
「そう、タイムカプセル用に押し花の栞を作ったの。で、その時についでにもう1枚桜の押し花の栞も作ったから、龍くんにあげる。タイムカプセルに一緒に入れてもいいし、そのまま持っててもいいし。龍くん本読むの好きでしょ?」
押し花をさらにラミネートして長方形に切り取り上の部分にパンチで穴を開けて桃色のリボンが結ばれている。押し花は綺麗な桃色の小さい桜の花びらは春の綺麗な姿のまま時間ごと切り抜いたかのようにそこに存在していた。
タイムカプセルに一緒に入れるものなかったし、桜も手紙と一緒に同じような物を入れたって言っていたし。
でも、そこで何か嫌な予感がした。そして
「いや、このまま貰うよ。ありがとう。大切に使うよ」
気づいたらそう言っていた。その言葉で桜は「良かった」満面の笑みになる。急に恥ずかしくなって栞をポケットに突っ込む。楓さんが僕たちを見て微笑む。
「さぁ、早く埋めちゃうよ。2人とも後悔はないか?掘り起こすのは開けるのは10年後だよ」
楓さんのその声で僕ら2人は一緒に頷く。
僕がスコップで桜の木の麓に穴を掘る。カンカンの大きさの2倍くらいのサイズの穴を掘り、そこにカンカンを入れて上から土をかける。最後にスコップの背で重ねた土を上からパンと叩く。まるでそういう儀式のようだった。
楓さんの思いつきだったが、僕らにとってもとても楽しみな思い出になった。10年後また3人でここに集まることができることで必ずまた会う口実になる。僕にとってそれが何よりも嬉しかった。
楓さんには感謝している。
それは今でも同じだ。
この後あんなことがあったとしても桜がいた痕跡がここにはあった。
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
くすのき君は妖怪が見えるけどそれはともかく趣味の人である。
くずもち
キャラ文芸
楠 太平は模型作りが趣味の高校生である。
彼には昔から妖怪という普通の人間には見えない存在が見えているのだが、それはそれとして楽しく暮らしていた。
そんな太平の通う学校に、神木杏樹という転校生がやって来る。
彼女にも実は妖怪が見えているらしいのだが、どうやら彼女は妖怪が見えることを持て余しているらしい。
そんな神木さんに見えることが速攻でバレた楠 太平はマイペースにやっていくつもりが、彼女のペースに呑まれてゆく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる