ひーやん

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小学6年生までの話

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 卒業式。
 みんな進学する地元の公立中学校の制服を着ている。頭のいいゆうやんは中学受験して私立の中学校に行く。かなり親しい友人と会えなくなるのは悲しかったけど、ゆうやん以外の人とは中学校一緒なので別れを惜しむみたいな感情はなかった。
 ひーやんも地元の中学の制服を着て、車椅子に乗っていた。野球の帽子を被っている。生きてる感じがこんなにもしない人なんているんだろうかとちょっとひどいことを考えていた。ひーやんはいつでもみんなの中心にいて周りを巻き込む存在だったからこんなに大人しいし頼りないと、別人みたいだ。
 でも、生きていてくれて嬉しい。また会えて、嬉しい。
 私の苗字はサ行。ひーやんはワ行。式中、後ろの方に座っているひーやんのことは見えなかった。
 「呼びかけの言葉」
 卒業生は一斉に起立し、在校生、保護者の方を向くべく回れ右をする。後ろを向いた時、ひーやんがいなくなっているのが分かった。
 何かあったのかと不安になった。
 結局呼びかけの言葉は私が1人で言った。
 卒業式が終わっても、ひーやんの姿は見えなかった。
 私は小学校を卒業し、春から中学生になる。
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