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ハジメテの出会い
まずは信頼関係を
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この美しい肌に幾度となく刻まれた傷痕を見て、痛々しく胸を痛めた。よくもまぁ、こんなに人を傷つけることができるものだ。
「ごめんね、俺が治癒魔法の一つでも授かっていれば、こんな傷くらい簡単に治せたのに」
「そんな、私ごときに治癒魔法なんて畏れ多い。私なんて野良犬に舐めさせておけばいいのです」
——誰だ、そんな不衛生かつ屈辱的なことを言ったのは!
この美しい肢体を犬猫に舐めさせるのくらいなら、俺が隅々まで舐め切ってやりたいくらいだ!
(なんて、そんな変態じみた発言をしたら軽蔑されるだろうから言わないけれど……)
それにしても、見れば見るほど美しい。それでいて妖艶でエロい。
転生前の世界では男子校に通学、その後も建築関係の業界に勤めた為、女性と無縁の人生を送っていた。
キャバクラとか飲み屋にも行くこともなかったから、こんな近くで女性を見たことがなかった。
「あの、私ごときが尋ねるもの畏れ多いですが……貴方様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「え、俺の名前?」
素直に言ってもいいのだろうか? この世界に俺のような存在がどれだけ存在しているかも分からない。念の為にフルネームを伝えるのは避けておこう。
「俺の名前はヨウ。君の名前は?」
まさか自分を知らないとは思っていなかったのか、彼女は驚愕の顔で目開いた。
「わ、私のことをご存知ないと?」
「えぇ、まぁ……君のことっていうよりも、この世界のこと全部分からないんですが」
「どうりで。だから私なんかに手を差し伸べたのですね」
そう言って彼女はコホンと小さな咳払いをした。
「私の名前はアリア・レイ・キルミア。この世界を救うと言われていた聖女を虐め追い詰め、精神が病むまで虐げた救いようもない悪女でございます」
いじめ、追い詰め、精神が病むまで虐げた?
えぇぇぇぇぇー、この子が? 本当に? とてもそんな子には見えないんですけど⁉︎
「……なので、私なんて野垂れ死んでも自業自得。むしろ世界の為なんです」
「え、え? それで実際、聖女は死んじゃったの?」
「いいえ、現在私の元婚約者だったバードソン皇太子と婚約して幸せにお過ごししております」
それって、絶対に聖女=悪女! 悪役令嬢の可憐なる復讐劇のパターンだ!
大抵、こういう時の愚行は聖女の虚言がベースになっているのだ。
全く、こんな可憐で美しい人を陥れるだなんて、何てクソッタレな世界なんだ。
世界が彼女の敵ならば、俺だけでも彼女を肯定しよう。
彼女を愛でて愛でて、生きる歓びを教えてあげたい。
「俺は貴女を信じます」
「——え?」
「例え全世界の人間が貴女を虐げ、軽蔑しようとも! 俺はアリアさんを守り、そして愛でます!」
「め、愛で?」
「なのでアリアさんも俺を信じて下さい!」
彼女は困惑しながらも、俺の手を受け取ってコクンと頷いてくれた。
「信じるも何も、私の命は貴方様のもの。どうぞご自由にお使いください」
そういうことじゃないのに!
だが、今の彼女には何を言っても届かないだろう。まずは彼女の低すぎる自己肯定感を上げるために、彼女を心ゆくまで愛でようと決めた。
「ごめんね、俺が治癒魔法の一つでも授かっていれば、こんな傷くらい簡単に治せたのに」
「そんな、私ごときに治癒魔法なんて畏れ多い。私なんて野良犬に舐めさせておけばいいのです」
——誰だ、そんな不衛生かつ屈辱的なことを言ったのは!
この美しい肢体を犬猫に舐めさせるのくらいなら、俺が隅々まで舐め切ってやりたいくらいだ!
(なんて、そんな変態じみた発言をしたら軽蔑されるだろうから言わないけれど……)
それにしても、見れば見るほど美しい。それでいて妖艶でエロい。
転生前の世界では男子校に通学、その後も建築関係の業界に勤めた為、女性と無縁の人生を送っていた。
キャバクラとか飲み屋にも行くこともなかったから、こんな近くで女性を見たことがなかった。
「あの、私ごときが尋ねるもの畏れ多いですが……貴方様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「え、俺の名前?」
素直に言ってもいいのだろうか? この世界に俺のような存在がどれだけ存在しているかも分からない。念の為にフルネームを伝えるのは避けておこう。
「俺の名前はヨウ。君の名前は?」
まさか自分を知らないとは思っていなかったのか、彼女は驚愕の顔で目開いた。
「わ、私のことをご存知ないと?」
「えぇ、まぁ……君のことっていうよりも、この世界のこと全部分からないんですが」
「どうりで。だから私なんかに手を差し伸べたのですね」
そう言って彼女はコホンと小さな咳払いをした。
「私の名前はアリア・レイ・キルミア。この世界を救うと言われていた聖女を虐め追い詰め、精神が病むまで虐げた救いようもない悪女でございます」
いじめ、追い詰め、精神が病むまで虐げた?
えぇぇぇぇぇー、この子が? 本当に? とてもそんな子には見えないんですけど⁉︎
「……なので、私なんて野垂れ死んでも自業自得。むしろ世界の為なんです」
「え、え? それで実際、聖女は死んじゃったの?」
「いいえ、現在私の元婚約者だったバードソン皇太子と婚約して幸せにお過ごししております」
それって、絶対に聖女=悪女! 悪役令嬢の可憐なる復讐劇のパターンだ!
大抵、こういう時の愚行は聖女の虚言がベースになっているのだ。
全く、こんな可憐で美しい人を陥れるだなんて、何てクソッタレな世界なんだ。
世界が彼女の敵ならば、俺だけでも彼女を肯定しよう。
彼女を愛でて愛でて、生きる歓びを教えてあげたい。
「俺は貴女を信じます」
「——え?」
「例え全世界の人間が貴女を虐げ、軽蔑しようとも! 俺はアリアさんを守り、そして愛でます!」
「め、愛で?」
「なのでアリアさんも俺を信じて下さい!」
彼女は困惑しながらも、俺の手を受け取ってコクンと頷いてくれた。
「信じるも何も、私の命は貴方様のもの。どうぞご自由にお使いください」
そういうことじゃないのに!
だが、今の彼女には何を言っても届かないだろう。まずは彼女の低すぎる自己肯定感を上げるために、彼女を心ゆくまで愛でようと決めた。
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