魔族との戦争に終止符を打ちたい

リンカルス

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1章 始まり

覚悟

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 王都でアルバーン国王との面会を終え帰宅してから3ヶ月たった頃、王都から伝令兵がきたと警備兵がノーマンに伝え一緒にこれを渡してくれと言われたと一つの手紙が来た。

 手紙の表紙には緊急要件と書かれており文にはこのように書かれていた。

 「ノーマン・ヘンドリクス・ペネシット子爵。
息子がまだ幼いのにこのような事が起こったこと大変申し訳なく思う。

 本題に入るが、アルバーン王国のマルセイ辺境伯爵の領地にて魔族が確認された。

 数はおそよ100とされておるがもっと多い可能性もあるため、すぐに向かえる貴族すべてに強制招集することに決まった。

 出来るだけの兵を連れて準備でき次第マルセイ辺境に向かいマルセイ辺境伯爵と今回の増援できた貴族と協力し魔族を殲滅せよ。

 なお、そちらの家の警備が足りなくなりそれが不安ならば妻と子を王城で一時的に預かることも可能だ。

                                      サイズ・アルバーン国王」

 と書かれておりアルバーン国王の強制招集をするサインがあった。

 ノーマンは読み終わると伝令兵会い労いの言葉と読んだことを伝えた。

「君は…」

「私はパルチナ宰相の下で仕える伝令兵部隊所属マルス上等兵です!」

「マルス上等兵。ご苦労だった。パルチナ宰相にもよろしく伝えといてくれ」

「了解です!それでは失礼します!」

 そう言うとマルス上等兵は王都へ帰還するために元来た道を戻って行った。

 ノーマンはそれを見送るとすぐにアイーダに魔族が出現したこと。その為に緊急招集が命令されたことを話した。

 アイーダはいつもは笑顔だが、今回の件を話すととても不安そうに聞いてきた。

「本当に行かないと行けないの」

「当たり前だ。アルバーン国王陛下が決め命令された以上行かなければならない。仮に無視した場合創造神様の加護の件があるため死刑からは逃れることが出来るかもしれないが、爵位と領地を没収されたうえにアーマンも手元から離れる可能性もある。」

「でも…」

「俺の父が魔族との戦闘で戦死したことを気にしているのは分かるがお前達を残して私が死ぬわけないだろ」

「約束ですよ。死んだら許しませんから」

「あぁ、分かってる。」

 アイーダはまだ不安な顔をしていたがこれ以上はどうしようもないためノーマンは何も言わなかった。

「それで手紙に書いてあった通りこの家の警備が薄くなるためお前達を王城で預かってもらうことにした。王家との交流にもタイミングはいいしな。」

「分かりました。ではアーくんと私の準備をしてきます」

 そう言ってアイーダが退出すると部隊の編成をするために総隊長のファットを呼んだ。

「お待たせしました。なんでしょうか」

「実はマルセイ辺境付近にて魔族が見つかった。数は約100体とされているがもっといる可能性も考慮し私のところまで緊急招集がかかった。」

「魔族が出たとは。10年前も…あぁ、申し訳ございません。」

「気にするな。アイーダからは反発を少しだけ喰らったが納得してもらったし父と同じようにこの世から亡くなるようなことはしない。」

「私も全力で頑張ります。話を戻しますが部隊はどれくらい連れていけばいいのでしょうか」

「手紙にはできる限りと書いてあったがどのくらい出せる?アイーダとアーマンは魔族を殲滅しているあいだは王城で過ごしてもらう予定だから領地には必要最低限で大丈夫だ。」

「冒険者を招集は致しますか?」

「今回は貴族の私兵が多いため招集は無しだ。」


  1部の貴族と1部の私兵は自分たちは選ばれたものだといい身分の低いものを嘲笑しており、冒険者は血の気が多い者がいるためバカにされると怒るものが多いために貴族と貴族の私兵を嫌っている。要するに犬猿の仲だ。

「ならば200人が限界かと思われます。」

「ならば16の分隊に分け戦闘時は2部隊で1体の魔族に戦闘時は常に鶴翼(カクヨク)の陣で行き集団戦法で被害を出さず殲滅する。初級か中級魔族なら問題はないな?」

「大丈夫です。私がきっちり鍛えていますのでそこら辺の騎士よりはよほど強いので。ただ、上級以上の魔族が出てくると20人弱では難しいかと。」

「その場合は上級魔族以上が確認で気次第4部隊で常に動くようにする。」

 初級魔族なら一般の騎士なら5人。中級魔族なら20人。上級魔族になると50人必要だと言われている。その他にも特異魔族と呼ばれるのがいるがそれが出てくると何人必要なのかは分からない。なぜならそれぞれ個体差があり、30人くらいで倒せるのもいれば1000人は必要と言われるものもいるため。

「それと回復魔術師はどのくらい揃いそうだ?」

「12人くらいかと思います。なので後方支援にして重傷者をメインに回復させていきます。」

「それで行く。それとどのくらい時間があれば出発出来る?」

「2日あれば準備できるかと」

「ならば三日目の早朝に出発する!」

「はっ!」

 ファットは部屋から出ていきすぐに部隊の編成と物資の調達のために部屋から退出して行った。

「私は絶対に死なん。ここで死ねるものか…」
   
 ノーマンは一人で覚悟を呟きながら戦闘のための資料を作り始めた。


###
 その頃アイーダは

「アーくん。お父さんはこれから長期のお仕事に行くことになったので私達は王城に行きますよ」

(え?そろそろ王城に向かうとは言ってたけど父は仕事で来れないだと?しかも母はなんか悲しんでいるし。とりあえず慰めておくか)

 アーマンは笑いながらアイーダの頬を軽くペチペチ叩いた。

「そうよね。ノーマンが生きて帰ってくるのを願うしかないよね。ありがとねアーくん。」

 アイーダはノーマンが帰ってくることを願いながら荷物をまとめ始めた。
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