魔族との戦争に終止符を打ちたい

リンカルス

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1章 始まり

夕食

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 それから二日後の夜、ファットは宣言通り二日の間に遠征部隊の物資全てを終わらせた。

  現在は最終確認をするためにノーマンの書斎室にて話し合いをしていた。

  馬車の数は12台で食料の中身は殆どが非常食である干し肉と、チーズ、黒パン。水は水魔術師もいるが兵士は一人一つ水筒を持参している。

 他にはテントや毛布といった嵩張るものが詰め込まれている。

 重装備の兵士が50人、軽装備の兵士が100人、馬車を守るのと管理するのが24人、回復魔術師が15人、騎士が11人。

 戦闘する部隊は15隊に分かれており今現在の予定だと
・重戦士10人で一部隊。合計5部隊
・軽装備兵10人で一部隊。合計10部隊
・回復魔術師兼攻撃魔術師は1部隊につき1人
・騎士は戦況の伝令役になり必要ならば奇襲部隊になる。

 ちなみに一部隊につき回復魔術師を一人つけるのはほかの貴族ならするわけが無い。一般兵より回復魔術師の方が数十倍も大切なためである。(回復魔術師になれるのは500人に1人と言われている。)

 ヘンドリクス領地は代々回復魔術師が豊富と言われており、ほかの領地より質も数もいるためこのような事が出来る。

 更にペネシット家は領民や兵士を大事にしており、領民もペネシット家の事を慕っているため回復魔術師も予定より少し多く出せるようになった。

「ご苦労だった。明日の早朝に出発する。」

「はっ!」

 最後の確認をしたファットはすぐに退出し、ノーマンも明日に向けすぐに就寝した。



###
   
 早朝、アーマンは目が覚めるとすぐに出発するための服装に着替え、代々ペネシット家に伝わる鎧を纏うと同じくらいにドアがノックされ許可を出すと

「ノーマン…」

「アイーダ…」

  入ってきたのはアイーダと抱っこされているアーマンだった。

 「ちゃんと帰ってきてくださいね。」

「あぁ」

 それだけで二人の会話は終わり、ノーマンはアーマンの頭を撫でながら

「ちゃんと帰ってくるからな。帰ってきたら武勇伝聞かせてやるから楽しみにしてろ」

(別に武勇伝はどうでもいいけどちゃんと帰って来いよ。お父さん。死んで母さん泣かせたら許さないからな)

 アーマンは最近アイーダにやったように頬をペチペチ叩きながら「あーいー」と応援した。

 ドアがノックされ総隊長のファットが「出発の準備が出来ました。いつでも行けます」と出発の準備が出来たことを伝えられた。

「じゃあ、行ってくる。」

「 はい。行ってらっしゃい」

 ノーマンはそれからすぐに部隊の方に向かい演説を始めた。

「今回我々は出現した魔族を殲滅するために出撃することになった!ここにいる全てのものが無事に帰ってくることは難しいかもしれないが決して不可能ではない!不可能でないならばできると信じよ!今まで積み上げた経験を生かす時が来た!死ぬために戦うのではない!生き残るために戦うのだ!我ら祖国の為!友人や恋人、家族を守るため!出撃ー!」

「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」」」」」

 ノーマンが出発と言った瞬間に兵士からは気合と熱の入った声が!

 領民からは「絶対生きて帰ってこいよ」「頑張れー!」など声援が飛びそれは200人の兵士が見えなくなるまで続いた。

 アイーダは見送りが終わると自分たちも王城へ出発するためにサリアちゃんに荷物を馬車へ詰め込んで貰うと、10人の兵士を連れて王城に向かっていった。

 アイーダ達は王城まで行くのに1週間、ノーマン達はマルセイ辺境伯爵のところまで行くのに2週間かかる。



   ###

 それから1週間後アイーダ達は何事もなく王都まで着くと前回と同じく近衛騎士が出迎えに来ており、王城の部屋まで案内された。

「このあとすぐに王妃様との夕食会がございますので準備をお願いします。ドアの横で待機しておりますので」

「子供はどうすればいいのですか」

「一緒に連れていってください。そう言われてますので」

「分かりました」

 確認が終わると近衛騎士は部屋から出ていった。

 アイーダはサリアちゃんを呼ぶとどの服がいいか選んでもらいながら着替え始めた。

「サリアちゃんは疲れてない?疲れてるなら寝てていいのよ」

「私はもう立派な成人でそこまで疲れてもおりません。それとちゃん付けは辞めてください」

「もー別にちゃん付けくらいいいじゃない。」

 そんな雑談を10分くらい続け身支度が整うとアイーダはアーマンを抱っこして近衛騎士に夕食の部屋まで連れていかれた。

「着きました。どうぞ中へお入りください」

 近衛騎士は扉を開け部屋にはいるように促した。

   「アイーダ・ヘンドリクス・ペネシットでございます。このたびは夕食会に呼ばれて大変嬉しく思います。」

  「そんな固くならなくていいですわよ。夕食会なんて名目上だけで実際は子供二人の顔合わせなんですから。わたくしはカナリア・アルバーンと申しますわ。マリアも挨拶しなさい」

 カナリア王妃がそう言うと後ろに隠れていたマリアが顔だけだし

「マリアでしゅ」

 そう言うとすぐに後ろに隠れた。まだ1歳のために恥ずかしがり屋なのは仕方ないこと。

「ごめんなさいね。まだ王城の中にいる人以外見たことないから。先に夕食を食べてしまいましょ。お話はそれから」

「はい。分かりました。」

 話が長くなりそうだっため先に夕食をたあとにお話という名の雑談をすることになった。
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