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2章 婚約と新たな火種
魔法陣
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「アイーダとアーマンは出発の準備は出来たか」
「えぇ、終わりましたよ。」
「僕も大丈夫です」
「よし、なら出発するぞ」
お父さんはカルネ村の村長に泊めてくれたことへのお礼を言うと、御者に出発するように合図を出してたが、御者は動かなかった。
騎士が一人近づいてきてお父さんに何やら耳打ちをして、どうすればいいかと指示を仰いでいた。
「分かった。ここで待機する。念の為、戦闘態勢に入っておけ」
「ノーマン、どうしたの?」
「近衛騎士の紋章の旗を掲げた一団がこちらに向かっているらしいから、少し待機することになった。」
「こんな時間に近衛騎士の一団ですか……」
「お前とマリア王女様の事についてじゃないのか」
「えっ?!」
「冗談だ。なにか伝え忘れたことでもあったのかもな。もうすぐで来るから私は外に出る。アイーダとアーマンは中にいろ」
そして近衛騎士の一団がお父さんの目の前に止まり、本物だと示す短剣を見せると、経緯を話し始めた。
お父さんはすぐに驚愕の表情に変わっていて、詳しい話を聞き始めので少し時間がかかりそうだ。
「いつもより朝早いけど眠くない? 眠いならいつでも言いなさい。膝枕してあげるから」
「お母さん! 僕はもう5歳です! 膝枕なくても寝れます!」
「でも王城にいてマリア王女様と遊んでて、疲れて眠っちゃった時、膝枕してもらってたじゃない」
「あっ! あれは! マリア王女が僕が寝て隙を見て勝手に膝に乗せたんです!」
「そんな恥ずかしがらなくてもいいじゃない」
「恥ずかしがってなどいません!」
お母さんにマリア王女のことでいじられていたが、急に馬車のドアが開きお父さんに呼ばれた。
外に出るとさっきお父さんと話していた一人の近衛騎士が挨拶してきた。
「アーマン公爵ですね。はじめまして、私は王家の近衛騎士団の副団長を務めておりますナザリーと申します」
「はじめまして。アーマン・ヘンドリスク・ペネシットと申します。公爵なんてつけなくても大丈夫です」
「いえ、そんなわけにはいきません。それよりアーマン公爵にはすぐに王城に戻ってきてもらいたいと思います。」
「え?」
「これはアルバーン国王陛下からの命令なので従ってもらいたいと思います。事情は移動しながら話しますので」
「行ってこい。王都の方で少し問題が起こったらしい。マリア王女様もその事に関わっているらしい」
「分かりました」
「ではアーマンのことはお願いします」
「はい。必ずお守りしますので。それとあとの事については手紙でおって連絡すると、アルバーン国王陛下からの伝言です」
「分かった。ではこちらも時間が無いのでこれで失礼する。」
離れてお父さんが馬車の中に戻りお母さんに、さっき話していたことを伝えると、お母さんが胸の前に握った手を持ってきて、頑張ってとジェスチャーしてきたので手を振った。
「ではアーマン公爵行きましょう」
「それで僕はどこに乗ればいいんですか?」
「竜車が1台ありますのでその中へお願いします。何か聞きたいことがあればお聞きください。」
「竜車?」
竜車を見ると自分がさっきまで乗っていた馬車より大きく、馬車を引っ張っているのも馬ではなく四足歩行のトカゲみたいな生物だった。
身長は大体2mくらい、長さは3mはありそうだ。
「あれが竜ですか……」
「そうです。ワイバーン等と同じく亜竜で下級の土竜です。とても温厚な性格が多く、とても人懐っこい竜が多いです。ですが、1度怒ると宥めるのが大変なんですよ」
「説明ありがとうございます」
「これくらいお安い御用です。それより私達も出発したいのでお乗り下さい」
竜車に乗り動き出すとここでも普通の馬車と違うところがあった。
「アーマン公爵は竜車に乗るのは初めてですよね。もうわかっていると思いますが、その性能もほかの貴族の馬車よりいいものです。まず、竜車は馬車より早い分どうしても揺れが激しくなってしまいます。そこで考えられたのが衝撃吸収の魔法を張ることで、揺れを無くす事により快適な空間になっています」
「外の気温と中の気温が違うのも性能の違いですか? 自分がさっきまで乗っていた馬車に魔法陣が描かれた火のランプで暖かったですがここにはそういうのが見当たらないので」
そう。周りを見回してもそれらしきものは一切見当たらないにも関わらず、寒い外に比べて暖かいのだ。
「そうです。冬には暖かく、夏には涼しくなるようにこの乗り物に魔法陣がかかっています。ですが、その度に魔方陣を張り直さなければいけない分、手間がかかってしまいますが」
「それだけならほかの貴族も真似してやりそうな気がします
」
「魔法陣を完璧に理解出来る人は現在のところいないので。模写するのすら大変なのです。魔方陣に使う羽根ペンに一定の魔力を送り続けながら書かなければなりません。魔法陣の一部分がほかの箇所より魔力の量が多すぎても少なすぎても失敗してしまいます。」
この世界の魔法陣はそこまで複雑なのか……
「確かにそれなら相当な技術が必要ですね。ですが、その技術を結界魔法を使いどうにかすることは出来ないのですか。結界魔法なら張ることも可能なのでは」
「そこは色々と複雑な部分がありまして……」
「ナザリー副団長! 魔物の一団が現れました!」
「分かった! すぐに行く! 少し出ますのでここにいてください」
そうしてナザリーさんは竜車から出ていった。
「えぇ、終わりましたよ。」
「僕も大丈夫です」
「よし、なら出発するぞ」
お父さんはカルネ村の村長に泊めてくれたことへのお礼を言うと、御者に出発するように合図を出してたが、御者は動かなかった。
騎士が一人近づいてきてお父さんに何やら耳打ちをして、どうすればいいかと指示を仰いでいた。
「分かった。ここで待機する。念の為、戦闘態勢に入っておけ」
「ノーマン、どうしたの?」
「近衛騎士の紋章の旗を掲げた一団がこちらに向かっているらしいから、少し待機することになった。」
「こんな時間に近衛騎士の一団ですか……」
「お前とマリア王女様の事についてじゃないのか」
「えっ?!」
「冗談だ。なにか伝え忘れたことでもあったのかもな。もうすぐで来るから私は外に出る。アイーダとアーマンは中にいろ」
そして近衛騎士の一団がお父さんの目の前に止まり、本物だと示す短剣を見せると、経緯を話し始めた。
お父さんはすぐに驚愕の表情に変わっていて、詳しい話を聞き始めので少し時間がかかりそうだ。
「いつもより朝早いけど眠くない? 眠いならいつでも言いなさい。膝枕してあげるから」
「お母さん! 僕はもう5歳です! 膝枕なくても寝れます!」
「でも王城にいてマリア王女様と遊んでて、疲れて眠っちゃった時、膝枕してもらってたじゃない」
「あっ! あれは! マリア王女が僕が寝て隙を見て勝手に膝に乗せたんです!」
「そんな恥ずかしがらなくてもいいじゃない」
「恥ずかしがってなどいません!」
お母さんにマリア王女のことでいじられていたが、急に馬車のドアが開きお父さんに呼ばれた。
外に出るとさっきお父さんと話していた一人の近衛騎士が挨拶してきた。
「アーマン公爵ですね。はじめまして、私は王家の近衛騎士団の副団長を務めておりますナザリーと申します」
「はじめまして。アーマン・ヘンドリスク・ペネシットと申します。公爵なんてつけなくても大丈夫です」
「いえ、そんなわけにはいきません。それよりアーマン公爵にはすぐに王城に戻ってきてもらいたいと思います。」
「え?」
「これはアルバーン国王陛下からの命令なので従ってもらいたいと思います。事情は移動しながら話しますので」
「行ってこい。王都の方で少し問題が起こったらしい。マリア王女様もその事に関わっているらしい」
「分かりました」
「ではアーマンのことはお願いします」
「はい。必ずお守りしますので。それとあとの事については手紙でおって連絡すると、アルバーン国王陛下からの伝言です」
「分かった。ではこちらも時間が無いのでこれで失礼する。」
離れてお父さんが馬車の中に戻りお母さんに、さっき話していたことを伝えると、お母さんが胸の前に握った手を持ってきて、頑張ってとジェスチャーしてきたので手を振った。
「ではアーマン公爵行きましょう」
「それで僕はどこに乗ればいいんですか?」
「竜車が1台ありますのでその中へお願いします。何か聞きたいことがあればお聞きください。」
「竜車?」
竜車を見ると自分がさっきまで乗っていた馬車より大きく、馬車を引っ張っているのも馬ではなく四足歩行のトカゲみたいな生物だった。
身長は大体2mくらい、長さは3mはありそうだ。
「あれが竜ですか……」
「そうです。ワイバーン等と同じく亜竜で下級の土竜です。とても温厚な性格が多く、とても人懐っこい竜が多いです。ですが、1度怒ると宥めるのが大変なんですよ」
「説明ありがとうございます」
「これくらいお安い御用です。それより私達も出発したいのでお乗り下さい」
竜車に乗り動き出すとここでも普通の馬車と違うところがあった。
「アーマン公爵は竜車に乗るのは初めてですよね。もうわかっていると思いますが、その性能もほかの貴族の馬車よりいいものです。まず、竜車は馬車より早い分どうしても揺れが激しくなってしまいます。そこで考えられたのが衝撃吸収の魔法を張ることで、揺れを無くす事により快適な空間になっています」
「外の気温と中の気温が違うのも性能の違いですか? 自分がさっきまで乗っていた馬車に魔法陣が描かれた火のランプで暖かったですがここにはそういうのが見当たらないので」
そう。周りを見回してもそれらしきものは一切見当たらないにも関わらず、寒い外に比べて暖かいのだ。
「そうです。冬には暖かく、夏には涼しくなるようにこの乗り物に魔法陣がかかっています。ですが、その度に魔方陣を張り直さなければいけない分、手間がかかってしまいますが」
「それだけならほかの貴族も真似してやりそうな気がします
」
「魔法陣を完璧に理解出来る人は現在のところいないので。模写するのすら大変なのです。魔方陣に使う羽根ペンに一定の魔力を送り続けながら書かなければなりません。魔法陣の一部分がほかの箇所より魔力の量が多すぎても少なすぎても失敗してしまいます。」
この世界の魔法陣はそこまで複雑なのか……
「確かにそれなら相当な技術が必要ですね。ですが、その技術を結界魔法を使いどうにかすることは出来ないのですか。結界魔法なら張ることも可能なのでは」
「そこは色々と複雑な部分がありまして……」
「ナザリー副団長! 魔物の一団が現れました!」
「分かった! すぐに行く! 少し出ますのでここにいてください」
そうしてナザリーさんは竜車から出ていった。
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