【完結】都市伝説嘘談

きのこいもむし

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本編

case2 壁尻



 先日後輩と酒の勢いで寝てしまった。
 少々気まずくもあったが、特に相手から何も言われなかったので俺はなるべく普段通りに接しているつもりだ。
 そんな折、休憩中にトイレで用を足してたら偶然後輩と遭遇してしまった。

「あ、おう」

「おつかれっす」

 お互いにぎこちなく挨拶する。
 うう、駅のトイレでヤッてしまったことを思い出して、変に意識しちゃうな。
 隣で用を足す後輩の後輩は、なるべく直視しないように気を付ける。

「そういえば先輩」

「ひゃい!?な、何かな!?」

「……そんなビビんなくても会社なんだから何もしないっすよ」

「へぇ!?いや、び、ビビってなんか……」

 だめだ、めっちゃ意識してしまう。
 というか、会社じゃなかったら何かする気なのかこいつ!?
 俺がひとりで百面相していると、後輩が見るからに困ったような暗い顔をするので、これは不味いと思って何とか頭を切り替えた。

「いや、悪い。掘り返す気はないんだ。俺もお前も酔ってたもんな。もう忘れるからお前も気にするなよ」

 後輩は何か言いかけてから、ぐっと口をつぐんだ。
 それから少し笑って、はいっすと気の抜けた返事を寄越した。

「先輩、壁尻って知ってますか?」

「あ?んー……、なんかスマホのエロ広告で見たことある気がする」

 何だよまたお得意のオカルト話か?と聞くと、後輩は神妙な顔で頷いた。

「そうっす。壁に尻だけが生えるっていうあれっすよ」

 想像すると、エロいというよりも何だか間抜けな姿で、俺としては興奮材料にするにはやや物足りない気がしてしまう。
 後輩のやつ性癖の範囲が幅広いなあ、なんて思ってたら、その視線は手前から三番目の個室に向けられていた。

「その壁尻ってやつっすけどね、この会社に出るらしいっすよ。それもこのトイレの手前から三番目の個室に。深夜0時丁度に個室のドアを開けると、尻だけが壁から生えてるそうっす。何でも昔、社内でチンコ食いまくってたビッチ野郎が心臓発作で急に亡くなって、そいつがヤリ場にしてたのがこのトイレの個室だったとか。それ以来、チンコ欲しさに夜な夜な化けて壁から尻だけ出すそうっす。こういうレトロな怪談みたいな話、俺結構好きなんすよ~」

「なんだそれ、怖いんだか怖くないんだかわかんねえな」

「また信じてないでしょ先輩」

 いつものようにオカルトな話をすごい早口で捲し立てる後輩に安堵しながら、休憩時間は和やかに過ぎていった。


 その日は残業で遅くまで残っていて、気付けば日付が変わる直前だった。
 一旦作業を止めて会社の仮眠室で一眠りしようと固まった身体を伸ばす。
 寝る前にトイレに行っとくかと思い、誰もいない社内トイレへ向かうことにした。
 そういえば、と昼間後輩から聞いた壁尻の話を思い出す。
 腕時計を確認すると、都合の良いことにただいまの時刻は二十三時五十九分だ。
 後輩の話なんか殆ど信じちゃあいなかったが、何とはなしに個室を開けて覗き込む。
 時計の針が0時になる。
 しかし、壁に尻などは見当たらない。
 そりゃあそうかと、なんだか気恥ずかしくなって個室のドアを閉めようとする。
 が、そこで気付いてしまった。
 いつの間にか俺の身体がドアの穴に埋まり、尻だけ外に突き出すような格好で身動きが取れなくなっていることに。

「……──ッ!?」

 トイレの個室で、まさしく壁尻状態になってしまった俺!
 何とか抜け出そうともがくが、どういう原理なのかすっぽりとはまってしまっていて、足掻けど足掻けどどうにもならない。
 上半身は個室トイレの中に、下半身は個室トイレの外に固定されてしまい、俺は途方に暮れてしまった。
 どうしたものか、ここは多少恥をかくことになるが、警備員さんが見回りに来てくれるのを待つしかない。
 そう腹を括った俺は、ドアの外に尻を突き出したままの状態で、トイレに人が来るのをひたすら待った。


 どのくらい経っただろうか。
 しんと静まり返った夜の社内に、コツコツと足音が響く。
 それはどんどんこちらへと近付いてくるのが分かった。
 ぎっ、と押戸を開く音と共に室内に人の気配が入り込んだのを感じる。
 俺は迷わず助けを呼んだ。

「すみません!何だか壁にはまってしまって、自力では抜けられそうにないんです!内側から引っ張るか、扉を壊すかしていただけませんか!?」

 個室ドアの外側から微かに息を飲む声が聞こえた。
それから、暫くの沈黙。
悪戯かと思われているのだろうか?
 そう思いもう一度声をかけようとしたところ、向こうから返ってきた声は意外な人物のものだった。

「……先輩?」

「え!?お前後輩か!?なんでまだ会社にいるんだ!?」

「いや……、先輩がまだ残ってるって聞いたから夜食差し入れに……」

 小さくかさかさ鳴っているのはコンビニの袋だろう。
 こんな夜中にわざわざ後輩が差し入れを持ってきてくれたってのに、恥ずかしい姿を見られてしまってめちゃくちゃ居たたまれない。
 でも、折角人が来たのだから、これで何とかここから抜け出せると思うとほっとする。

「こんな格好で悪いな。悪いついでに警備員さんを呼んできてくれないか?」

「……は?なんで?」

 妙に低い後輩の声に訝しみながらも俺は正直に話した。

「壁にはまって動けないから、警備員さんに助けてもらおうと思ってさ。だから本当に悪いんだけど──」

「それ、そんな無様な壁尻姿、男に見せつけたら何されるか分かってて言ってんすか?」

「えっ?……え?」

 何故後輩の声がこんなに冷たいのか、何故ドアの外の温度がこんなに急に下がってしまったのか、この時の俺にはまるで理解が及ばなかった。


◆◆◆


「ひぃんッ♡ひぃんッ♡やだぁッ♡こんな格好でやだぁ♡」

「うるせぇよ股の緩いド淫乱が!!ちょっとチンコ突っ込まれてだけで女みてぇにびしょびしょに濡らしてんじゃねぇぞ!!どうせ壁からケツだけ出して警備員にチンコ恵んでもらおうって魂胆だろうがそうはいかねぇからな!!」

「うぁ♡そ、そんなこと思ってないぃ♡俺はただ、ここから出してもらおうと思ってぇ……♡」

「ケツ振って男に媚びやがって説得力ねえんだよ!!どうせこの間たっぷり生ハメされて味しめちまったんだろうが!!」

「ひぃいいんッッ♡」

 がつがつと乱暴に尻の孔を犯されて、後輩の言うとおり俺のチンコは触ってもいないのにガチガチで、先走りでぐっしょりと濡れている。
 何度も擦られて弱くなった胎の内側を後輩のぱんぱんに腫れた雄棒に強く抉られて、俺はまともにものを考えられないくらい快感に飲まれてしまっていた。

「クソッ!!クソッ!!すんなりケツでチンコ咥えやがって!!あれから何人分のチンコ食ったんだよ淫売が!!」

「し、してないぃっ♡エッチは後輩としかしてないっ♡」

「あ゛ぁ?!じゃあなんでこんなにケツがこなれてるんだよ!!」

「そ、それは……、前に後輩にしてもらった時のこと思い出してながら、ひとりでケツ弄ったりしてたからぁ♡ボールペンでぐりぐりしてたからぁ♡でも物足りなくてぇ♡本当は後輩のチンコ欲しかったのぉッ♡♡」

「はああ?!……~~クッソ!!」

「あぁあああッ♡♡♡」

 胎に勢いよく精液を叩き付けられ、釣られて俺もイッてしまう。
 ドアの外から聞こえる後輩の荒い声がセクシーで、絶頂したばかりだというのに背筋がぞくぞくしてしまった。

「……チッ!!邪魔な壁だな!!」

 そう言って後輩はガンガンと扉を蹴り出す。
 ビビる俺を他所に、なんとやつは俺の埋まった穴の脇を蹴破ってしまった。
 こうして俺は広がった穴から何とか這い出すことが出来たのだった。

「あ、あの、ありがとうな!いやまじで助かったよ!こんな奇っ怪なことって本当に起こるんだな!事実は小説よりも奇なりっていうもんな!お前のオカルト話も案外、」

「先輩」

 目の据わった後輩が強い力で無事壁尻から生還した俺の肩を掴む。

「今夜寝かせる気ないんで覚悟しといてください」


 それから俺たちは仮眠室へ移動して、朝までハッスルしてしまった。
 壁尻だと後輩の顔が見えなかったから余計に対面エッチで興奮してしまって、最中に俺はなんだかとんでもないことをたくさん口走ってしまった気がする。
 でも、そんなことよりも重大な問題がある。
 そう、トイレの個室のドアの残骸だ。
 いくら緊急事態だったとは言え、あそこまでバキバキに壊すことはなかったんじゃないかと後輩共々深く反省している。
 どうやって報告すればいいのか頭が痛い。
 それと、仮眠室にも事後の臭いがめっちゃ残ってしまった。
 今頑張って掃除と換気をしているが、出社時間までに間に合うだろうか。
 ごめんなさい、もうしません。
 俺たちは、会社の中で二度といかがわしい行為はしてはいけないと強く心に戒めた。



簡易登場人物紹介

俺(20代後半)
面倒見の良いまっとうな先輩。
尻穴ボールペンオナニーをしているらしい。
よくAVみたいなエロ被害に遭う。

後輩(20代前半)
オカルトが好きなクソ後輩。
エッチの時にオラついてしまうことを気にしている。
最近先輩がエロくて困っている。

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