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モフ丸とお昼寝
しおりを挟むモフ丸を飼っていいか父さまに聞きにいくと、父さまはモフ丸を見て少し驚く様子を見せたもののあっさりと許可が出た。
「ミィの拾い癖は今に始まったことじゃないしな。なにかを拾ってきたら褒めてあげろと本にも書いてあった」
「猫の育て方の本ですか?」
「!? ゴホッ、なぜそれを知っているんだ!?」
「リーフェ兄さまが言ってました」
「リーフェのやつ……」
父さまは娘の子育てに猫の本を使っていたことがバレてばつが悪いのか、わたしから目をそらした。ちょっとしょんぼりしちゃった父さまのお膝の上によじ登り、父さまのお腹を背もたれにして座る。
「父さま、ミィは別に怒ってないのですよ」
わたしの子育てに猫の本を使うというのも一理あるし。
「……ミィ」
父さまにギュウウウと抱きしめられた。
「じゃあわたしはそろそろモフ丸と日向ぼっこに行ってきます」
「もうちょっと感動に浸らせてくれてもよいのではないか?」
「もたもたしてたら日が沈んじゃうのです」
わたしは父さまほ膝からヒョイっと降りると、父さまに手を振ってモフ丸と部屋を出た。
「モフ丸、おいで~なのです」
「キューン」
わたしは敷地内にある小さな丘の上で段ボール箱にすっぽりと納まっている。
そしてわたしと段ボールの間に出来た隙間にモフ丸を詰め込む作戦だ。今日は大きめの段ボールをチョイスしたからきっと入るはずなのです。入れる。
モフ丸はちょっと嫌そうだけど、一回体験しちゃえばこの良さが分かるはず!
「おいでモフ。入ってモフなのです」
ちょいんちょいんとモフ丸を呼び寄せると、段ボールの中に入ってきてくれた。
わたしはモフ丸の尻尾に頭を乗せ、モフ丸はわたしの曲げた膝に頭を乗せる体勢になる。ちょっと段ボールの形が肥満気味になちゃったけどまあいいのです。
ポカポカ陽気がわたし達を照りつける。
「おやすみ、モフ丸」
「キュウ」
そうして、モフ丸とミチミチに段ボールに詰まったわたしは眠りに入った。
***
「んん……」
わたしが目を覚ましたのはもうちょっとで夕方になるという頃合いだった。
あ、モフ丸の毛皮によだれついちゃいました。まあバレないのです……。そう思って顔を上げたら、モフ丸と思いっきり目が合った。
モフ丸はわたしのよだれで濡れた毛皮をジト―っと見ている。
「……ごめんなさいなのですモフ丸」
「キュウ……」
モフ丸は許してくれて、わたし達は仲良くお城に帰りました。
そして夜ご飯の時間になった。わたしの家族は誰かが泊りでいない時以外は全員で食事をとる。
「ミィ、今日は俺の膝でご飯だ」
「はいなのです」
今日は次兄のイルフェ兄さまの順番らしい。なんかいつの間にか家族の中でローテーションが組まれてて、わたしは毎食誰かの膝の上でご飯を食べている。兄さま達曰く「ミィ成分の補給」の時間らしいです。
もっきゅもっきゅとイルフェ兄さまの膝の上で白米を頬張る。ちょっと頬張り過ぎてほっぺはパンパンなのです。
「あ゛~ミィ可愛い」
後頭部にイルフェ兄さまのおでこをスリスリされる。
「……兄さま、ごはん食べないんですか?」
兄さまのお皿の上のものはほとんど減ってない。
「まだミィを補給してんだ」
「ミィを補給しても筋肉はできないですよ」
イルフェ兄さまは騎士団長さんなのでちゃんとご飯は食べねばです。
兄さまにステーキの載ったお皿を差し出す。
「あーんしてくれてもいいんだぞ?」
「おいイルフェ」
「今後イルフェの順番は減らそう」
「イルフェ兄上ないわ~」
「ってなるからあーんっはなしです」
そう言うと、イルフェ兄さま以外は食事を再開させた。この展開は割といつものことなのでイルフェ兄さまも素直に食事を始める。
ちなみに、モフ丸も既に家族なのでこの食堂でご飯を食べているのですよ。ごはんを食べる姿もかわかわなのです。
「―――そういえば、ミィの拾い癖は治ってなかったのだな」
オルフェ兄さまが話題を切り出したl。
「あ~、そういえば。でも過去に拾ってきたものに比べたらもう驚かないよねぇ」
「お前が言うなお前が」
リーフェ兄さまにイルフェ兄さまが突っ込む。まあモフ丸を拾ってきたのはリーフェ兄さまも同罪ですからね。
話題になってるモフ丸はお肉をガツガツ食べている。か~わいぃのです。機嫌よさげにユラユラと揺れているモフ尻尾を触りたいのです。
ちなみに、父さまが喋らないのはおいしいごはんに夢中になっているからです。父さまは基本無表情で威厳たっぷりに見えるけど、こういうかわいい所があるのです。
これがぎゃっぷもえってやつですね。
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