天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される

雪野ゆきの

文字の大きさ
43 / 104
こぼれ話

あつくなってきたなぁ

しおりを挟む
「あづ~い」

 最近気温が高くなってきたのでシロもバテ気味だ。

「ガウッ!」
「あ、だめよエンペラー。今エンペラーとくっついたらシロは溶ける」
「キューン」

 シロにくっつこうとしたら断られ、エンペラーはションボリと耳と尻尾を垂れさせる。そんなエンペラーをシロはよちよちと撫でてあげた。

「シロちゃんが溶けたら俺が袋に入れて持ち歩いてあげるよ」
「おいロリコン、暑さでサイコパスにジョブチェンジしたか」

 ペシッとエルヴィスに頭を叩かれるアニ。
 アニも暑さにやられて机の上にダラリと伏せっている。

「しろ……」

 クロもシロとべったりくっつきたいのだが暑さで躊躇っている様子だ。

「おー、クロがシロにひっつかないなんて珍しいな」
「……ぐっ……」

 悔しそうにシロとはちょっと離れて座るクロ。クロも暑いのは苦手らしい。




「おーい、みんな~お仕事の時間だぞ~」

 むしむしとした所に、衣替えをして薄着になった殿下がやって来た。

「お~、シロ今日もかわいいな」
「でろりんちょ」

 溶けかけのシロを迷いなく抱き上げる殿下。

「でんか? あちゅい」

 体温が伝わって暑いのか、シロは殿下に上目遣いで離してと訴える。

「かわいいかわいいかわいい」
「はなちて~」

 だがそれは殿下に伝わらず、殿下は全力でシロに頬ずりした。摩擦熱がさらにシロに汗をかかせる。
 シロは嫌そうに殿下の肩をぺちぺち叩いたが、殿下に効果はない。

「殿下、シロが溶ける」
「あっ」

 ブレイクが背後から近付き、熱源(殿下)からシロを引き離した。殿下が恨めしい顔をして振り返る―――。

「……ブレイク、お前は何をしてるんだ……」

 そこには、ブレイクにべったりと抱きつくシロ。
 そして、ブレイクは体の要所要所に氷嚢を括り付けていた。

「この親バカガチ勢め。そこまでするか」
「フッ、シロのためなら安いもんだ」

 シロは氷嚢や氷嚢で冷えた肌に、今にもゴロゴロと喉を鳴らしそうな様子で頬をスリスリする。

「ずっとつけてて冷たくないか?」
「冷たい」

 ブレイクは即答した。


「こらクロ、マネしようとするんじゃない! アニは何をしようとしてんだ!!」

 ブレイクのマネをして氷嚢を体中に付けようとするクロと、大量の氷を頭からかぶろうとしているアニをエルヴィスが必死に止めていた。

「……ここはいつ来ても賑やかだな」
「まあな。それで? 今回の仕事はなんだ?」
「ああ、そうだった。つい先日結構大きな無人島が見つかってな。危険がないか特殊部隊に調査してもらいたいんだ。―――という名目でバカンスのお誘いだ」
「? 調査はしなくていいのか?」
「いや、新たに見つかった無人島だから一応調査はしてもらう。だが無人島にそんな危険があるわけないだろ?実質シロを連れて海に遊びに行くようなもんだ」
「……もしかして殿下も行くのか?」

 ブレイクの問いに殿下はニヤリと笑った。

「当たり前だろう。休みをもぎ取った」
「殿下のシロ好きもアニの域に達っしてきたな。娘が愛されるのはいいことだが。シロと結婚するとか言い出さないでくれよ」
「流石のボクもシロを恋愛対象には見られない。もし息子ができたらシロと結婚させて娘にしたいとは思ってるが」
「全力で阻止してやるから安心しろ」
「冗談だ」

 ブレイクの目が鋭さを帯びてきたので殿下は慌てて話を打ち切った。

「シロ~、海に行くぞ~」
「うみ~?」

 ブレイクで涼をとっていたシロはよく話を聞いていなかったらしい。シロはきょとんとしている。

「そうか、シロは海に行ったことなかったな」

 ブレイクはハタと気付いた。

「な~い!」
「おお! じゃあこれが初か!」

 パァッと笑顔になる殿下。

「じゃあシロが無人島に行くのに必要なものはボクが買ってあげよう!! 明日は買い物に行くぞ」
「おー!」

 殿下が何かを買ってくれると知って、シロは元気良く返事をした。

 その瞬間―――。

 ガッシャーン!!!

 大きな音が食堂に響いた。

「なんの音だ?」

 三人が音のした方を見ると、そこには大量の氷に埋もれたアニらしき人物がいた。その横ではエルヴィスが頭を抱えている。


「ほらシロちゃん、いつでも抱き着いておいで」

 アニが真っ青な顔で言う。


「え、やだ」
「ガーン」
「そりゃそうだ。人間かき氷かお前は」
「シロがシロップかけてあげるね」

 優しいシロはアニ氷にイチゴシロップをかけてあげた。




「ふんふふふーん♪」

 鼻歌を歌いながらシリルが食堂に入ってきた。そしてイチゴシロップ掛けアニ氷を見る。

「うわああああああああああああ!!」

「ん?」
「驚き過ぎじゃないか?」

 腰を抜かしそうなシリルを見守る一同。


「アニ……死んでる?」

 シリルはよろよろとアニ氷に近付いていく。
 なにも知らないシリルにはイチゴシロップが血液に見え、殺されたアニが氷漬けにされた現場に見えたのだ。さらに、青白くなったアニの顔色がその誤解を加速させた。

「アニ……。クソッ! ロリコンがそんなに罪だってのかよっ!!!」
「シリル俺生きてるよ?」
「こんな……っ、こんな無残な……」
「あれ? 聞こえてる?」
「刺されて殺された上に氷漬けにされるなんて……」
「俺刺されても殺されてもないぞ? なんなら氷漬けは自分の意志だし」
「僕が供養してあげるからね……」
「さては俺の話聞く気ないな?」



 その後、氷同士がくっついてアニが脱出できなくなったのでその場にいた面々で解凍作業を行った。

「アニ~お湯かけるよ~」



「あっつっ」




しおりを挟む
感想 356

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。