その無防備が誘ってるみたいで。でも僕らはギリギリでまだ友達。

zanka

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【無邪気も無防備も許せない】

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 ペンションから海までは細い一本道で、なだらかな下り坂だ。
「ねー、拓真。あとで泳ぎたい」
「いいよ。お店、五時くらいまで開けてるんだって。ポテトとか唐揚げだけ売って。忙しいとき意外は好きにしといていいって言われてる。その代わり、昼は滅茶苦茶忙しいみたいだよ」
 海翔は黄色のタンクトップを着ている。
 真っ白い肌に黄色のタンクトップが、何となく小さい子が着せられてるのを想像させる。
 後ろを歩きながら、拓真は目を逸らした。 
 拓真は程よく筋肉の付いた体つきで、2人が並ぶと大人と子供のように見える。
「あー、凄い! 海だ!」
 海翔ははしゃいだ声を出して、サンダルで走り出した。
 海翔は「ブルーハワイ」と看板の付いた店を見付けて、指をさすと立ち止まって振り返る。
「あった! アサミさんが居るよ!」
「そりゃあ、そうだよ」
 再び海翔は駆け足で、店に向かって駆けていった。
 拓真は立ち止まり、海翔が店に着いてアサミと大げさに抱き合っているのを見た。
 それは子供が数時間ぶりに母親を見付けたときのようだった。
 親子ほど歳が離れているし、とても恋人同士には見えない。
「・・・あ、だめかも」
 拓真はじりじりと照りつける太陽の下、一歩も動けずそこにいた。
 2人は身長差もそれほどない。顔を寄せて親しげに笑い合い、語り合っている。
 昨日始めて出会ったとは思えない親密さだった。
 海翔の人なつっこい性格と、母親がおらず年上の女性に懐きやすいところが2人の距離を縮めたのだろう、と拓真は思う。
 拓真は初めて、海翔をここに連れてきたことを後悔した。
 思ったよりも自分が平静でいられないことを知った。
 二人きりで近くで着替えられたら意識してしまうし、他の女性と親しくしていたら嫉妬する。
 海翔のあっけらかんとした無邪気さに苛立ってしまう。
 自分の横でしか〝無防備〟な姿は許せないのだ。
  
 拓真は気がついたら足早に歩き出していた。
 そして店に着くとアサミに、
「交代します」
 と言う。
 アサミは何か察したような笑みを浮かべて「ありがとう」と礼を言ったので、拓真はより一層気まずかった。
 海翔は何もかもが物珍しく楽しいようで、なんの曇りもない眼差しで拓真を見て笑う。
「もう、遅いよー」
「ごめん」
「なにか良い物落ちてた?」
「えっ?」
「珍しい虫とか、きらきらの石とか」
「・・・ああ、別に。別に何もない」
 拓真はアサミの方を向き、少しぶっきらぼうに、
「教えて下さい」
 と軽く頭を下げた。   
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