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【添い寝の権利】
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遅い夕食になった。おやつにアイスを貰って食べていたので空腹は気にならなかった。
二人はは、ペンションの客に食事を出すのも手伝った。
愛想の良い海翔はたちまち女性客と親しくなる。
拓真はそれが面白くなく、隙の無い無表情でひたすら食事を運んでいた。
全てが終わり、客たちが自分の部屋に入った後、海翔と拓真しか居なくなった食堂にマコとアサミが夕食を持ってくる。
「今日はここで食べよっか?」
マコは快活にそう言い、四人での穏やかな食事が始まった。
「僕、いつも拓真のこと聞かれるんだよ。お客さんたちに」
チキンにかぶりつきながら海翔は言う。
拓真は低く、
「なんて?」
と尋ねた。
「拓真が何歳なのかとか。あ、だいたい大学生だと思われてるみたい。まだ高校生だよって言ったらびっくりしてた。彼女は?って聞かれて、いるよーって答えたらお姉さんたちがっかりしてたよ」
「何でも喋ってるじゃん」
「うん。だって聞かれるんだもん」
海翔は悪びれなくそう言って、そのうち眠そうな顔をし出す。
マコとアサミが洋画を見ながら寄り添いだし、拓真は部屋に戻った方が良いな、と空気を読む。拓真はテーブルの上の空いた皿を片付け始めた。
「あ、いいの。まだつまみながらゆっくりするから。そのまま置いてって。海翔君、連れて帰ってね」
深夜、マコはすらりと伸びた腕をアサミの肩に回し、そう言う。
昼とは違う別の顔だった。
拓真はそれに少し緊張する。
アサミはアサミでマコにしなだれかかっている。
「すみません。美味しかったです。もう、部屋戻りますね」
「うん、また」
「おやすみなさい、また明日」
マコとアサミがそう言い、二人の世界に戻っていく。
すっかり眠り込んだ海翔を拓真は抱きかかえた。
思った以上に軽く、びっくりしてしまうほどだった。
階段を一段一段上がっていると、海翔が何か良い夢でも見ているのか微笑した。
「海翔、起きてる?」
「・・・うん」
海翔は目を閉じたまま返事はしたが、その後すぐに眠りに戻っていった。
部屋に戻り、明かりを付けないまま寝室に行き、ベッドに寝かせた。
海翔に言われたように、壁際に彼を寝かし、自分がその横に寝転がる。
「暢気だな・・・」
独り言を言ったが勿論返事は帰ってこなかった。
今日で2日目。明日の朝を迎えると3日目になる。
海翔があんなに楽しそうに調理するのは意外だった。
休憩する間の店番と、ちょっとした重い物を持って貰うのと、配膳の手伝いだけでいいから、とマコに言われていたが、海翔は自分が店主とばかりに活躍してしまっていた。
〝こっちもアルバイトが欲しいし、何かきっかけが欲しいなら二人で泊まりにおいでよ〟
その言葉に乗ったのはいいが、このまま行くと熱心にアルバイトをして二週間が過ぎそうな気がした。
そのうち、自分だけがもやもやしていることに、若干の苛立ちを持つ。
海翔は隣で気持ちよさそうに眠っているのだ。
まさか、最近まで付き合っていた彼女と振り切るように別れて、色々考えてここにやってきたなど、海翔は知らない。
熟睡している海翔に拓真は手を伸ばす。
悪戯心でTシャツを捲ると、白い腹が見えた。
臍の辺りを指先でつついてみたが、全く海翔は目覚める気配がない。
拓真は体を起こし、傍らで眠る海翔を見下ろした。
「・・・キスは、起きてるときにしたいな」
海翔は何も意識していないんだろう、と思う。
もともと非常に喜怒哀楽が分かりやすい性格だった。
そんな彼を自分のものにしたい、それが拓真の本心だった。
二人はは、ペンションの客に食事を出すのも手伝った。
愛想の良い海翔はたちまち女性客と親しくなる。
拓真はそれが面白くなく、隙の無い無表情でひたすら食事を運んでいた。
全てが終わり、客たちが自分の部屋に入った後、海翔と拓真しか居なくなった食堂にマコとアサミが夕食を持ってくる。
「今日はここで食べよっか?」
マコは快活にそう言い、四人での穏やかな食事が始まった。
「僕、いつも拓真のこと聞かれるんだよ。お客さんたちに」
チキンにかぶりつきながら海翔は言う。
拓真は低く、
「なんて?」
と尋ねた。
「拓真が何歳なのかとか。あ、だいたい大学生だと思われてるみたい。まだ高校生だよって言ったらびっくりしてた。彼女は?って聞かれて、いるよーって答えたらお姉さんたちがっかりしてたよ」
「何でも喋ってるじゃん」
「うん。だって聞かれるんだもん」
海翔は悪びれなくそう言って、そのうち眠そうな顔をし出す。
マコとアサミが洋画を見ながら寄り添いだし、拓真は部屋に戻った方が良いな、と空気を読む。拓真はテーブルの上の空いた皿を片付け始めた。
「あ、いいの。まだつまみながらゆっくりするから。そのまま置いてって。海翔君、連れて帰ってね」
深夜、マコはすらりと伸びた腕をアサミの肩に回し、そう言う。
昼とは違う別の顔だった。
拓真はそれに少し緊張する。
アサミはアサミでマコにしなだれかかっている。
「すみません。美味しかったです。もう、部屋戻りますね」
「うん、また」
「おやすみなさい、また明日」
マコとアサミがそう言い、二人の世界に戻っていく。
すっかり眠り込んだ海翔を拓真は抱きかかえた。
思った以上に軽く、びっくりしてしまうほどだった。
階段を一段一段上がっていると、海翔が何か良い夢でも見ているのか微笑した。
「海翔、起きてる?」
「・・・うん」
海翔は目を閉じたまま返事はしたが、その後すぐに眠りに戻っていった。
部屋に戻り、明かりを付けないまま寝室に行き、ベッドに寝かせた。
海翔に言われたように、壁際に彼を寝かし、自分がその横に寝転がる。
「暢気だな・・・」
独り言を言ったが勿論返事は帰ってこなかった。
今日で2日目。明日の朝を迎えると3日目になる。
海翔があんなに楽しそうに調理するのは意外だった。
休憩する間の店番と、ちょっとした重い物を持って貰うのと、配膳の手伝いだけでいいから、とマコに言われていたが、海翔は自分が店主とばかりに活躍してしまっていた。
〝こっちもアルバイトが欲しいし、何かきっかけが欲しいなら二人で泊まりにおいでよ〟
その言葉に乗ったのはいいが、このまま行くと熱心にアルバイトをして二週間が過ぎそうな気がした。
そのうち、自分だけがもやもやしていることに、若干の苛立ちを持つ。
海翔は隣で気持ちよさそうに眠っているのだ。
まさか、最近まで付き合っていた彼女と振り切るように別れて、色々考えてここにやってきたなど、海翔は知らない。
熟睡している海翔に拓真は手を伸ばす。
悪戯心でTシャツを捲ると、白い腹が見えた。
臍の辺りを指先でつついてみたが、全く海翔は目覚める気配がない。
拓真は体を起こし、傍らで眠る海翔を見下ろした。
「・・・キスは、起きてるときにしたいな」
海翔は何も意識していないんだろう、と思う。
もともと非常に喜怒哀楽が分かりやすい性格だった。
そんな彼を自分のものにしたい、それが拓真の本心だった。
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