その無防備が誘ってるみたいで。でも僕らはギリギリでまだ友達。

zanka

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【音を頼りに】

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 いつまで経っても海翔が帰ってこない。
 辺りが薄暗くなった時、マコとアサミに断って拓真はペンションを出た。
 足早に海水浴場に向かう。
 拓真は、海翔が一緒に遊んでいた仲間について行ってしまったのでは無いか、と考えた。
 海翔なら流されてそのまま付いていきそうな気がするのだ。
「何処行ったんだよ」
 連絡くらいしてくれたらいのに、と拓真は苛立つ。
 携帯に連絡しても返信が無い。電話をかけても無駄だった。
 ブルーハワイの前にまで来たが、人の気配は全くなかった。
 闇の中、黒い海を見る。
 まさか、溺れたんじゃだろうな・・・
 拓真はぞっとすると同時に、側から離れたことを後悔する。
 携帯に電話をかけながら険しい顔で黒い海面を拓真は見た。
 まさか、まさか。
 どうせ仲良くなった誰かと一緒に居るに違いない。
 頼りなく見えても自分と同い年なのだ・・・
〝ピリリリッ〟と携帯の着信音が聞こえた。
 ブルーハワイ近くのベンチにショルダーバックがあり、それは海翔の物だった。
 中には携帯だけが入っている。
 置きっ放しにして遊んでいて忘れていったのだろう、と拓真はそれを手に取った。
「海翔!」
 拓真は叫ぶ。しかし、返事はない。
 静かな海辺で波の音だけが聞こえた。
 どうするか、入れ違いになっている可能性を考えて一旦戻ろうか、と焦燥感の中、拓真は思う。その時、ドンッと何かがぶつかるような音が、少し離れた場所から聞こえた。
 拓真は遠くを見る。
「あっちか」
 それは海水浴客が使う、簡易のシャワールームだ。

「海翔・・・、海翔!?」
 半開きになっているドアの隙間から、床に転がったサンダルが見える。
 海翔の物だ、とすぐ気がついた。
 ドアを開ける。
 暗闇の中、人影が二つ見えた。
 小さな人影を押し潰すように大きな人影がある。
「どけ!」
 拓真は言ったときにはもう足で上の人影の頭を蹴っていた。
 首と顔を蹴られた人影は後ろに倒れ、少しよろめいたが立ち上がりドアから走り出ていく。「海翔、大丈夫か」
 駆け寄り、後ろ手にされ手首を細い紐で縛られていることに気がつく。
 拓真はそれを外し、体を抱きかかえて、海翔が口にタオルを入れられていることに気がついた。
 海翔はぐったりと拓真の腕の中で力を抜く。
「・・・うん、なんとか」
 そういった海翔を拓真は強く抱きしめた。     
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