その無防備が誘ってるみたいで。でも僕らはギリギリでまだ友達。

zanka

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【シャワー室の罠】

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 昨日のように大活躍した海翔は、昼休憩で急いでアメリカンドックを食べた途端、海に行ってしまう。気まずい空気が嫌だったのだろう、と拓真は思った。小さくなっていく海翔の後ろ姿を見ていると、なんといつのまにか友達を作って男女数人とビーチバレーをしだした。 広く浅く親しくするタイプなのは知っていた。
 人なつっこいの笑顔が海翔の第一印象だったくらいだ。
 それでも面白くはない。
 そんな拓真を見たアサミが、
「もうー、そんな顔するなら寄ってくればいいじゃない」
「別に」
「笑って笑って」
「別に。いいんです。あいついつもフラフラしてるから。適当な時間になったら迎えに行くんで」
 拓真はアサミが持っている荷物を代わりに持ち、時計を見る。
「天気崩れそうだし、早めに片付けようかなって思ってる」
「手伝います」
 拓真は気持ちを切り替えたように穏やかな顔を作って、黙々と片付けた。

 海面に浮かぶボールを取るために、海翔は泳いで進む。
 手に取った途端、足を掴まれて持ち上げられた海翔は大きな声を上げて驚いた。
「わっ! びっくりした!」
「超、軽いじゃん」
 男二人、女二人で来た大学生グループらしい。
 2日連続で買いに来てくれて、話すうちに親しくなった。
「はい、パス!」
 ビーチボールを宙に投げたら、今度は知り合ったばかりの女子大生が取ってくれる。
「ねえ、雨降りそうだよー」  
「帰ろっか」
 口々にそういい、海翔も海からあがる。
 空は曇天になり、海の家は全て店じまいをしていた。
 アサミの「ブルーハワイ」も勿論閉まっている。
「もー、言ってくれたら良いのに。帰るんなら」
 海翔はふて腐れていった。
 シャワーを浴びに行くというのでついていく。
 コンクリートで出来た簡易なシャワールームは人がまばらだった。
 出会った大学生二人は空いたところに入っていく。
 海翔もべたべたした体を洗い流したくて、シャワー室に入る。
 海水パンツの中に砂が入っていて、それを一生懸命払っていたら、
「なー、俺らもう行くから」
 と声が聞こえてくる。
 こういうとき、いつも遅くなるのだった。海翔はそれを思い出した。
「うん。またねー」
 海翔はのんびりそう答える。
 足音は去って行った。
 初めて遊んだけど、面白かったな、と海翔は思う。
 女の子の方がしきりに拓真を紹介して、と行っていた。
 四人で付き合ってるわけじゃないのかな、あの人たち、と海翔は不思議だったが聞けずじまいだった。
 大勢で遊ぶのも、人と話すのも嫌いじゃない。
 だけどずっと一緒だと付かれてしまう。
 自分の何もかもを知っている人は嫌だった。
 拓真は一番、自分に近い存在だとは思う。
 いつの間にか、海翔が気持ちを許してしまうほど近くに居たのだ。
 じゃないと泊まりで二週間などOKするはずがなかった。
 
 考え込んでいると、急に明かりが消えた。
「えっ! あ、まだいます!」
 海翔は慌てて個室から出る。
 出口を見ると、外はもう真っ暗だった。
 管理人か誰かに人が居ると思われず、海翔は思った。
「やばい、早くしなきゃ」
 独り言を言ったとき、海翔は後ろから抱きすくめられる。
「うわっ」
 覆い被さるようにして、海翔は押し倒された。
 シャワー室の床にうつぶせで押さえ込まれる。
「やめろ! なんだよ!」
 海翔は暴れて抜けだそうとするが、息も止まるほどの重さの体が自分の上にあり、全く身動きが取れない。
「誰か! 助けて!」
 海翔は大声で叫ぶが、手を後ろでで掴まれる。
 心臓が激しく鳴り、息を切らしながら、海翔は必死に叫んだ。
「離せ! お前誰だよ!」
 手が縛られている、手首に巻き付く物の感触で海翔は知る。
 どういうこと、なんで?
 わけが分からないまま、海翔は体を捩らせて逃れようとする。
「やめろ、離せ・・・」
 うぐっ、呻き海翔の声は止まった。
 口にタオルを詰め込まれたのだ。
 やばい、殺されるんじゃないか、そう思ったときに恐怖でどっと涙が溢れる。
「うぐっ、うう」
 動く力を失ってぐったりした海翔の視界に、脱げたサンダルが見えた。
 自分が履いていて、襲われた拍子に脱げた物だ。
 海翔は足を動かして、それを思い切り蹴った。
 蹴ったサンダルは勢いよく、ドアに辺り大きな音を立てる。
 海翔は腰の辺りを触られ、海水パンツを下ろされる。
 そこでやっと海翔は自分がこれからどうなるかを知った。


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