結婚って? 男性に取り、災難の始めかも?

sin,nisi

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物語17ポチの完治

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それから次に金曜日に仁志さんから電話があり、次の休日にまた新庄さんがポチの具合を見に来るという連絡があった。それまでには洗濯物を庭に欲し部屋の掃除をしておかなければならない。
新庄さんはお魚が好きだと言うことは聞いていたので、魚を中心にした献立を考えようと思っていた。仁志さんが言うには
「実は新庄の奴、この前さくらの料理に惚れ込んじゃって、ポチの経過観察だと理由を付くって、押しかけてくるらしい」と電話で連絡があった。
彼にはポチも助けて貰っている。今度も奮発してお魚料理をご馳走しようと思った。

ポチの具合もだいぶ良くなり、一緒に買い物にも行かれるようになった。
ポチを連れてスーパーで美味しそうなサワラが売っていたので、サワラの西京焼きを作ろうと思って居た。
後はサラダと味噌汁にご飯、この前は六合炊きのお釜のごはんが足らなかったので、どうしようかと考えた。「そうだジャガイモと豚肉の肉じゃがも作ればお腹の足しにもなるはず」と思ってジャガイモと豚肉も買った。これで彼らもお腹いっぱいになるだろう。

彼らが来る日、部屋の掃除と洗濯物を済ませ、スパーで買っておいた魚などを、料理するために準部をして二人を待っていた。
夕方に成り二人が来た。新庄さんは新しい薬を調合して持ってきてくれたので、早速ポチに与えた。その薬は前回貰った薬の力を補助するビタミン剤だと言って居た。
「これでポチは明日には完治するはずです」と言われ、私は何度もお礼を言ったし、早速ダイニングテーブルの前に腰掛けて貰い冷えたビールを出した。
早速料理の取りかかりながらポチの具合について話しをしたが、ポチもだいぶ落ち着いたようで散歩にも出たれるように成ったと話しをした。
新庄さんも喜んでくれて、仁志さんとビールを傾けて薬学の話しを懸命にはなしていた。
料理が出来たのでテーブルに出すと、余程お腹がすいていたのか、次々に箸をだし食べ始めた。
食事中も話しをしながら新庄さんも仁志さんも、料理が美味しいのと話しが面白いと、夢中に食べたり話しをしたりしていたが、私はただ二人があまりにも大食いなので、びっくりしていただけだった。ご飯は空になり、肉じゃがも鍋から全部無くなっていた。
余程内のご飯が気に入ったのだろう。
新庄さんにはポチがすっかり元気になったので、丁寧にお礼を言った。そしたら
「イヤー僕も良い勉強になりました。人間の薬も動物実験をしないとならないので、言い研究材料でした」と却ってお礼を言われてしまった。
仁志さんは「だから言っただろう、金なんか逆に貰いたいくらいだ」
でもポチが元気になったのだから、私はとても感謝の気持ちで一杯だった。

営業って難しい
物語18
世の中不景気だ。政府では景気は持ち直したと言っているが、一般の庶民にはその実感は無い。そのしわ寄せは中小企業の多い、葛飾区の企業全般的に暗い影を落としていた。
平成二五年五月に政府の政策の結果、一時的に株式の価格は上がったし、円も一ドル百円まで回復した。
輸出業は景気を取り戻したが、一般の社員の給与はそのままだ。返って輸入品は高くなり、小麦粉や油などの生活商品やガソリン、灯油など輸入品はこぞって値上げになり、庶民の生活をますます圧迫してる。
当然ながら、葛飾の中小企業にも影響が出ている。板金会社は原材料の値上げで、ますます会社の経営が悪化し、プラスチック加工業なども同じ状態だ。
だから当然社員の給与は、据え置かれたままだ。これでは一般庶民の、消費行動にはつながらない。
(株)ノーブルの営業活動も影響を受け、なかなか商談が進まなくなっていた。
営業部長からは叱られる毎日が続き、当然俺たちは会社帰りの飲み会も愚痴ばかりになる。
「なあ、俺たちこの先仕事はどうなるのかな?」普段弱気に成らない森松がぽつりと言った。
「どうなるって?」
「このまま不景気が続いたら、仕事を続けられるのだろうか?」
「おい森松、あまり悲観しても仕方ないだろう。客先で世間話でもしていれば、そのうち仕事は回ってくるよ。第一今開発しているレジシステムが完成すれば、それだって俺たちの武器になるじゃないか」
「お前は暢気でいいな、そのシステムだって売れるかどうか解らないさ。俺は不安ばかりだ。今付き合っている女とも結婚など出来ないよ」森松は付き合っている彼女と結婚したいらしいが、給与が固定給+歩合性で収入が不安定な為に、結婚生活に不安を感じていた。
「えーお前そんな女性が居たのか?全然知らなかった。何処の誰だ?俺の知っている女か?」
「まだ付き合い始めて間もないけど、客先の事務員さ!でも最近なかなか逢えない。だいたいお前の前の彼女、確か前田美香子と言った可愛い女はどうしたんだ?」
「俺はもう別れたし、大西商事に奴に取られた。だから大西にだけは負けたくない。それより電話しろよ、携帯の番号を聞いているんだろ」
大西商事というのはノーブルシステムの競争相手だが、大手企業の下請けになっている弱みがある。その会社の営業には優秀な社員が居て、俺の前田美香子という可愛らしい彼女を、大西商事の営業に取られ結婚されてしまった。
俺は外見は平気な顔をしていたが、やはり内心では相当なショックを受けていた。
森松は豆に彼女に電話したりデートなどしたりしていたので、付き合い自体は支障ないが、この先結婚出来るのか心配していた。誰でもその年頃には、共に人生を過ごせる相棒が欲しい物だ。
「それはそうだけど、でも俺仕事が心配で・・・、結婚と言う自信がないんだ」
「うんー、確かにそれは困るな?結婚を言い出せなくなるし、余り時間を置くと嫌われるかも?」森松は彼女と結婚したいらしいが、自分の将来の事を考えると言い出せないらしかった。この先会社はどうなるんだろう?俺たちが頑張らねば危ういのだが、俺も森松もそれは分かっていた。
どんなに良い商品でも、消費者にその情報が伝わらなければ、売れない。
またブランド名も消費者の心を掴む道具だ。大西商事は大手メーカの商品を扱っているためにブランド名ではノーブルの物より勝っている。
しかし実際に機能やカスタマイズなどは遙かにノーブルの方が勝っていた。だから俺も森松も一度顧客に成って貰えれば、大西商事には歯が立たない相手だった。
しかしどんなに良い商品でも、営業マンは苦労をするものだ。
「景気が結婚まで影響してくるとは思わなかったよ」
「はー?どうしたら良いんだ?」俺までため息が出てきた。
「それよりこの前のラーメン屋で話をしていた女はどうなんだ?」
「あー朝の散歩で合うけど、まだ少ししか話はしてないよ。きっと恋人なんか居るだろうな?この間犬のことで力になって上げたけど、彼女がどう思っているのかは解らない」
「そうだなあの歳で独身はないだろう。スッピンだったけどうりざね顔で、結構美人だったじゃないか」
「お前、良くそういう処を見ているな!」森松は女を見る目だけは、いつも積極的だ。それがこいつの営業のスタイルなのかも知れない?だから客先の事務員に手を出すのかな?
「仕事と女は別物さ!お前が暢気過ぎるんだよ。お前幾つになったんだ。もう四十近いだろ、人生の道を考えたら、そろそろ身を固めなきゃ!」
「でも不景気で結婚出来ない、と言っていたのはお前だろ」
「あーあ、俺たちの人生はどうなることかな?小遣いもないから、そろそろ帰ろうか」
今日は二人ともわびしい話しだった。もっと世間の景気が良くならなければ、どこの会社でも、手を出すのは中国産品ばかりだ。
彼奴(あいつ)らは原材料まで、品質を落として安い物を作っている。ソフトの技術も皆盗んだ物ばかり、彼奴らには革新技術など作り得ない。俺たちは必死で勉強した技術と、安心感をお客様に提供している。是対に景気は回復し、お客さん達も景気が良くなると思う。
そうして今開発中のPOSレジスステムが今後、俺たち営業マン達の大きな武器になるはずだった。
そうなれば、地道に活動している、俺たちの仕事の番だ。森松もそうなれば結婚できる。はず?
でも俺は毎朝会う散歩仲間の横井さくらに、妙な恋の予感を抱いていた。
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