結婚って? 男性に取り、災難の始めかも?

sin,nisi

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物語30

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今日は後藤さんと約束の日、約束の時間より、私はわざと三十分遅れて、待ち合わせの場所に行った。洋服も普段着だし、化粧もしてなかった。
先日の仁志さんが言って居た「少し前の話だけど付き合っていた女性は居たよ」と言うことをあたしはまだ気にしていた。だから半分ヤケになっていたし、後藤さんは普段の私をいつも店で見ているのだから、それで良いと思って居た。
仁志さんとすでに仲良くしていたが、先日のこともあるし結婚の約束をしてくれた訳でも無い。
後藤さんがホテルに誘ってきたら、(誘いに乗る?それとも??)どう言おうと迷っていた。

後藤さんは私を見付けると手を上げて迎えてくれたが、私はとても複雑な気持ちだった。仁志さんと何でもなかったら、きっと喜べただろう。
後藤さんも今日はリラックスした服装で、私を見て屈託なさそうな笑顔で迎えてくれた。
その笑顔を見たら、私はとても動揺してしまった。(神様って意地悪、もっと早くどちらかと付き合って居たら)などと思ってしまった。(でも先日の女性の件もある。あの時は勢いで別れを言ったが、まだ心は仁志さんに引かれたままだった。それをいくら強引だったとは言え、こうして逢ってしまうのはまずくないだろうか?もし仁志さんが知ったら本当の別れになってしまう。)そんなことは避けたかった。
後藤さんは駅からすぐ側にある、レストランに私を連れて行ってくれた。
此処は金町でも有名なレストラン、値段が高いので一度も入ったことはなかった。

食事の注文の前に、まず水を一口飲むと彼は話し始めた
「今仕事がきつくて大変なんだ、君の店へ行き君の顔を見るとホッとする。だから良く顔を出すでしょ」
「そうですね、あの店のラーメンが気に入って貰って嬉しいわ」
「そうじゃないよ。ラーメンが良いのでは無く、君の顔を見に行くんだ」
「えー?」一瞬たじろいだ。(どうしよう?なんて答えたら良いの?)仁志さんとは何も約束などは無いが、今まで仲良くしていたのは事実だ。
(こんな事、人道的に許せることでは無い)と私の善の心が言って居た。それに反し(何言ってんだ、仁志だって女を連れていたし、あたしにプロポーズしたわけでは無い。ちょっと寄り道するぐらい恥じることなど無い)と悪の心が大きな声で怒鳴り散らしている。
(お前っていつもそうやって、ウジウジしているから、今まで独身だ、はっきりしろ!このバカ女)と反省の心がつぶやいた。
こんな時はどんな話しをしたら良いのだろう、さんざん困っていた。とその時顔見知りの人が声を掛けてきた。
そう、彼はいつも仁志さんと、仲の良い森松さんだった。
私はたまに店に来る二人を見て、顔は知って居たし仁志さんの話にも良く出てきた。
「アレー後藤さんじゃ無いか?今日は美女を連れて食事ですか?」
私は戸惑った。こんなところを見られて、仁志さんになんて言われるか解らない。
もし仁志さんに言われたらとても困る。もし後藤さんと二股掛けているなんて、思われたら最悪だし、第一なんで後藤さんのことを知って居るんだろう?
私の頭は混乱し、どうしたら良いか、頭に中では「困った」と言う言葉が、堂々巡りしていた。
「ようお宅には負けられないからな、今日は先日大切なデータを預かって貰ったお礼で誘ったんだ。森松君も彼女の知り合い?確か客先の事務員と付き合って居たと聞いたが」と後藤さんが親しそうに答えた。
何で後藤さんも森松さんのこと知って居るの?いったこの二人は、どういう関係なの?
「俺はさくらさんとは顔見知りなだけさ、ウチの太田が彼女と付き合って居る。さくらさんも承知しているはずだ」
「ふーん太田君と付き合いね。じゃあますます僕も立候補しなきゃな、太田君には商売でも、彼女のことでも負けられない。森松君、太田君にその辺伝えておいてくれ」その言葉に私は慌てて言った。
「あの、あたし困ります。太田さんとは・・・」その後続けては言えなかった。先日のことが頭をよぎった。
「後藤、お前この娘にまで手を出すなら、ただじゃ置かないぞ」森松さんは警告するように言った。
「でも大田君には前に森井由美子と言う可愛らしい恋人が居たんじゃなかったけ?彼女はどうした?」森松さんはすごい怖い顔をして
「お前それ以上何か言ったら、ただじゃ済まないぞ」とすごく強い調子で言った。
「どうするんだ?」
「こうするさ」と森松さんはそう言うと、私の手を掴むと力強く引っ張った。そのまま何も言わずレストランの外に連れ出され、駅まで歩いた。森松さんの力は強く、私は抵抗できなく付いて歩くだけだった。森松さんの力がすごくて、掴まれた手が痛い。
「森松さん、手が痛いわ」
「あー済まない」と一言詫びると手を離し、その後に森松さんは後藤さんについて説明して呉れた。
何でも大西商事と(株)ノーブルシステムはライバル関係に有り、森松さんと後藤さんは競争相手らしい。
「でも俺の方の勝利は見えているさ」森松さんは余裕を持って言った。
「あの今日あそこで食事していた人のことなんだけど」と私も今日のことを森松さんに説明したが、なんか言い訳している様で嫌な気持ちだった。
「だから仁志さんには内緒にして」と頼んだ。そしたら森松さんはにっこりと笑うと
「大田には言うつもりは無いよ、でもそうしたら、僕と君の二人だけの秘密になるけど、それで良いの?」と意地悪そうな顔で笑っている。
「え!、そんな!」仁志さんへの秘密は困る。かといって後藤さんと会ったことは事実だった。でも私は二股を掛けるほど器用じゃない。私は困り、どうしたら良いか迷っていた。
森松さんもそんな私を見て、大きな声で笑い
「へーさくらさんて、本当に可愛い人だな、太田なんか止めて僕と付き合わないか」(えー?第三の男の出現?それはますます困る)そう思い目を丸くした。
本当に神様って意地悪だ。きっとこれもお賽銭に千円しか入れてなかったからか?五千円札なら神様も味方してくれたかも知れない。
そして再び念仏を唱えた(神様お願い。助けて。今度お参りした時にはお賽銭奮発します)
私はなんて言ったら良いのか解らず。俯いて黙って歩いた。
森松さんは愉快そうに、声を上げ笑っていた。
ただ森松さんは、後藤さんが言っていた女性の事は、話そうとしなかった。私も怖くて聞けなかった。
でも私には後藤さんが言っていた『森井由美子』と言う女性が気になった。先日仁志さんが言っていた付き合っていた人というのは「森井由美子?」だとしたらその後はどうなったのだろう?
私に頭の中では様々な心配事で、目が回ってきた。普段歩ける家までも今日はバスを使い、やっと帰って来た。すぐ布団の中に潜り込んで寝てしまった。

ところがある日金町で買い物をしていると、仁志さんが見たことの無いモデルのような綺麗な女性と、親しそうに話ながら歩いていた。
(「ダレ?」どうしようかな?声をかけた方が良いだろうか?)しばらく考えた。
(もし二股掛けられているなら、すごいショック。いったいあの女性は誰かしら?)そう思うと、いても経っても居られなかった。仁志さんからはこの間、飲み屋の女性達のことは聞いているし前に付き合っていたという話も聞いている、(まさかその女性を連れて歩くのだろうか?じゃあ誰?ひょっとして後藤さんが言っていた『森井由美子』?後藤さんの話しだと、以前相当仲良く付き合っていたようだし)私と同じ歳くらいだが、私より綺麗な女性だ。
いきなり不安の谷底に落とされた気になり、だんだん気が沈んでいく。悪いことばかり考えてしまう。(取引先の会社の人なら、あんな綺麗な人は似合わない!、やはり彼のいい人?でもこんな時間に、何故金町なの?デートするなら、もっと面白いところに行くだろう。でも彼は営業職、お客さんの接待で、綺麗な女性のいる店にも行くだろう。そこの女性達と話が合い、こんな昼間から一緒に歩くなんて、相当仲が出来ているのかな?ひょっとしてもう結婚の約束が出来ているとか?もしそうだったらどうしよう?)
考えれば考える程悪いことばかり頭に浮かぶ。一目見ただけなのだが、彼と彼女のキスシーンが、頭をよぎった。
そう思うと何も手に付かず、買い物も中途半端で、しばらくは立ち尽くしてしまった。
悪いことばかりが頭を駆け巡り、どうしようも無かった。

結局その日はそのまま家に帰った。(もし浮気なら許せない!でも彼からまだプロポーズされた訳でも無いし、どうしよう?もし彼から別れをつげられたら、どうしたらいいの?)そう不安な気持ちになった。
結局は誰にも話せず、時間ばかりが経って行った。考えないようにしても、その時の光景と、綺麗に見えた森井由美子の顔や仁志さんの笑顔が、頭から離れない。夜になっても寝られなく、朝になっても気になった。

そして朝の散歩の時、彼に逢っても、例の彼女のことはとても怖くて話せない。
(もし仁志さんに話して、彼の恋人だなんて言われたらどうしよう?怖い、怖い、怖い)心臓は早鐘を打つようにドキドキしていた。
「どうしたの元気ないな?」と言われた。
「ねぇ、仁志さん、女性の兄弟はいる?」ひょっとして例の女性が妹さんかなんかだと、安心なのだが。
「兄弟は兄貴だけさ、いま柏に住んでいるよ。どうして?」
(どうしよう?言ったら彼とのことが終わる。そう思うと怖くて言えない。でもこのままにして置いたら・・・)足が立っていられない程、ガクガクと揺れた。もう黙っていられなかった。半分頭が空になり言って居た。
「この間金町で見掛けたの、とても綺麗な女性と、一緒に仲良く歩いていたわ」
一瞬、時間が凍り付いた。彼はとても慌てている
「あれは、その、何でも無いよ。ただの知り合いなんだ」仁志さんは何か言い訳じみた事を言いそうだったので、彼の目をジーッと見つめながら(お願い!何でも無いとちゃんと説明して!ああ、振られたらどうしよう?)とても怖かった。
「何が?何が何でも無いの?ただの知り合いって誰?どんな知り合い?もしかして森井由美子って人」口が勝手に動いた
「えー森井、全然違うよ、森井は・・・・、そのなんと言うか?あー、でも昨日の人は全然違う。そう、昨日の人は会社のお客さんなんだ、だから邪険に出来なくて、別に仲が良かった訳でも無いし、確かに彼女は美人だし、心もときめいたけど、あっ、全然そんなんじゃ無くて、本当にお客さんなんだ。本当だよ。絶対に飲み屋の女でも無いし、本当にお客さんなんだ。森松が失敗して、だから俺が変わった。本当だよ。絶対に浮気じゃ無いから安心して。本当にウソなんかつかないから」
何も言えなかった。(やっぱり怪しい。本当に何でもないならどうして、何故訳のわからない言い訳をするの?何度も本当だと強調するの?)なんだか悲しくなってきた。涙が出る前に、家の帰ろう。
やっとの思いで
「あなたがそう言うなら、きっとそうなのね・・・今日はもう帰るわ、さよなら」
「ちょっと待ってよ、本当に何でもないんだ!全然そう言うんじゃなくて・・信じてよ!」
「うん信じているわ・・、あなたの言う通りね。でも今は何も話したくないの、ごめんなさい」
「ごめんなさいって・・・」仁志さんは言葉を失っていた。
そのままポチを引っ張って家に帰った。頬には涙が幾筋も流れていた。
そんな見え透いた嘘なんか、言われたくなかった。
裏切られるのって悲しい、こんな事になるなら、最初から知り合いになんか成らなければ良かった。最初からデートなんか行かなければ良かった。あんな風にときめいたりしなければ、こんなに悲しい思いをしなくて済んだはず。
あの時は久しぶりの恋だと、思わず高校時代に戻り心が弾んだ。恋愛なんかしてなかったし、結婚だって諦めていたはず。それが年甲斐も無く、ときめいてしまった。自分で自分のバカさ加減にも腹が立った。
「仕事、仕事頑張ろう」頬の涙をぬぐうと、そのまま店に出た。
店は今日も忙しく午後からの仕事だった。仁志さんのことを考えて居る暇はない。いや、彼のことはもう考えたくなかったし、考えないように努力した。

その晩仁志さんが、ごはんを食べにきた。でも入り口の鍵は開けず、
「今日は気分が悪いの」と言って家に入れなかった。彼は玄関の外で話した。
「あの女性は全然関係ないんだ。僕を信じてくれよ」
「あなたがそう言うなら、私は何も言えないわ、今日は本当に気分が悪いの、このまま帰って」
「あの・・・、そうか解った。でも僕は君の料理が大好きなんだ。今日はきっと腹を空かして寝るしかないな?明日は食材を買って持ってくるよ。作ってもらえるかな?」しばらくは何も言えなかった。
「ごめんなさい。もうこれきりにして!」やっとの思いで、でもそれだけしか言えなかった。目から自然に涙が溢れていた。
「でも、だって、腹へって、死んじゃうかも知れない・・」
私は声が出せなく話が出来ない、ただ目からは涙が溢れていた。彼は諦めたのか、帰って行く足音が、ゆっくりと遠ざかっていった。
その足音を聞きながら、目から涙が溢れ、止まらない。顔中涙で濡れていた。それだけ仁志さんに、心が引かれていたのかな?
カギを掛けた玄関に立ちつくし、どのくらい時間が経っただろうか。涙が乾くまで、そこに佇ん(たたずん)でいた。

次の朝も散歩は止めた。ポチが散歩に行きたがって鳴いていたが、どうしても仁志さんには会いたくなかった。自分で(もう悲しい思いはまっぴらだ。忘れよう、彼のことはもう忘れよう)などと考えてしまった。
でも浮気されて、笑っていられるほど心に余裕は無かった。
こんなに失恋が悲しいなんて、(もう恋なんて嫌だ。絶対にしない!)その日は社長に電話してお店を休んだ。
とても仕事が出来るとは思わなかった。
「もしもしさくら君、君どうしたんだ?君が急に休むなんて珍しいじゃないか。風邪か何かで熱があるのか?」社長は突然に休暇の連絡をしたのでとても驚いていた。
私は普段から多少無理しても、仕事を休んだことは無い。多少熱があってもクスリを飲んで店には出た。咳が出る時はマスクをして出た。
それがいきなり「身体の具合が悪い」と言って休むのだから、社長も驚いただろう。
でも身体の調子より、仕事をしようという気になれない。その日は一日何も出来ず、食事も取れなかった。
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