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再会
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しおりを挟む—達也side
由美・・・。
少し痩せた・・・少し小さくなった?
でも、全然変わらない。
前とは違う・・・もの凄くカジュアルな雰囲気。
スニーカーにジーパン姿に可愛いエプロンをして、薄化粧で・・・でも変わらず凄く可愛い。
俺を見て固まる由美。
その目は瞬きも忘れたかって位・・・俺をガン見・・・。
由美・・・・////////
アイコスを吸い・・・またじっと由美を見つめると、由美は少し後ろに後退りをして
「由美っ・・・・」
俺が声を上げたと同時に・・・奥に逃げて行った!!!
俺は慌てて立ち上がりその後を追いかけ、
「ちょっ!!お兄さん?」
お店の女将さんが止めてきたけど、
「すいませんっ!!失礼します・・・」
そう言って、店の奥迄由美を追いかけて行くと、由美は一番奥にあるトイレに・・・
バンッ!!!と扉を開けて・・・中に閉じこもってしまったんだ.
ハァ・・・・、やっぱり・・・ダメか。
でも一体どうしたら良いんだ??
俺はその扉を撫で、
「由美・・・・由美・・・。」
久々・・・由美の近くにいる・・・。
そう思っただけで少し嬉しいよ・・・・。
でもそれは俺の勝手だよな?
由美ごめんね・・・・。
—由美side
・・・・・・・。
なんで・・・???
なんで・・・達也君が居るの??
私はトイレに籠り、胸の前で手を握りしめた。
胸が・・・ドクドクドクドクと鳴る。
どんどん早くなって、手が震えて・・・脚が震える。
すると、
「由美・・・???」
ドアの向こうから聞こえる・・・懐かしい声。
私が大好きだった・・・低い声・・・。
でもダメ・・・。
逢えない・・・。
逢いたくないの・・・。
「由美・・・お願い・・・顔見せて・・・。」
達也君・・・。
その声・・・優しくて・・・大好きだった。
でも・・・大好きだったけど、その声を聴くとあの日を思い出してしまうの。
ぎゅっと目を瞑ると・・・自分の目から涙が零れるのが分かる・・・。
—達也side
ドアに額を付け、ゴクッと唾を飲み・・・・深呼吸。
由美・・・もうこれで終わり?
やっぱり俺にはもう会いたくない??
中から何の反応もないまま、俺の後ろに居た女将さんが俺のシャツを引っ張った。
ゆっくり振り返ると、
「ちょっと良いかな?」
女将さんがニッコリと笑ってそう言ったんだ。
由美は・・・もう俺を見てくれないのか・・・・。
俺は黙って頷き、女将さんに付いて行き店のテーブル席に腰かけた。
店内にはまだ他の客はいなくて、厨房から親父さんが俺を覗き込んできた。
女将さんは俺の正面に腰かけ、俺をじーっと見つめてきた。
そして、
「アンタ・・・由美ちゃんの彼氏かなんか???」
って・・・そう言われた。
俺は顔を上げ・・・首をゆっくり・・・横に振った。
分からない・・・。
俺は由美と付き合いたいって・・・前向きに一緒に考えたいってそう思ってた。
由美もきっとそう思ってくれていたと思うけど・・・今は・・・。
「彼氏じゃない・・・のかぁ・・・。・・・まぁ、何があったかは知らないけど今日は帰ってくれるかな???」
女将さんは決して怒っているわけではなく・・・少し笑ってそう言った。
「あの子は大事なうちの看板娘だしね、あの子のお母さんは私の幼馴染でね・・・私にとっても娘のような子なんだよ・・・だからー・・・あの子が傷付いたり嫌がる事は避けたいんだ・・・・」
由美が・・・傷付く・・・・。
「あの子が昨年末にあの子の母親と自分の娘と突然帰ってきて・・・何があったかは分からない。母親もその事情は知らないって・・・突然北海道に帰ろうって言って来たって!・・・でも何かがあるんだろうなって思っていたのよ??」
由美が・・・帰ろうって言ったの・・・・?
そうか・・・。
「でもね、アンタを見た時のあの子の顔ね・・・きっと恋人なんだろうってそう思ったよ?でも何か訳アリね??」
女将さんがそう言うと俺は思わず・・・
「あの・・・由美さんと話をさせてください・・少しで良いんです・・・」
そう言うと、女将さんは
「だめ、今はダメよ??何でか分かる???」
・・・・・・・・。
それは・・・・。
「由美さんが・・・震えていた・・・・」
そう思いたくはなかったが、明らかに俺を見た時・・・足も手も震えてたんだ。
すると女将さんは笑って俺の顔を覗き込んできて、
「そうだね・・・少しだけ時間を頂戴??ね???」
そう言ったんだ・・・。
俺はため息をついて、
「申し訳ありません・・・迷惑を掛けてしまった・・・」
俺がそう言うと、
「大丈夫・・・オバサンね、人を見る目はあるんだよ!・・・アンタ暫くこの辺に居るんだろ??どのホテル泊まってるの?」
—由美side
・・・・・・・。
苦しい・・・。
胸が痛くて・・・呼吸が苦しい。
しゃがみ込んで胸を抑え・・・顔を上げゆっくり呼吸をした。
涙が静かに目尻から零れて顎まで伝い・・・下に落ちた。
「はぁ・・・・。」
トイレの天井を見ながら深呼吸。
なんで・・達也君がここに?
脚の震えを抑えしゃがみ込んでいると・・・ドアがまたコンコンとノックされる。
ビクッとして一回ドアを見ると、
「由美ちゃん・・・」
と、優しい女将さんの声が外から聞こえた。
ため息をつくと、
「お兄さんには帰ってもらったから・・・出ておいで・・・・」
・・・・・・ッ?
逢いたくないって思って、逃げたくせに帰ったと聞いたらまた胸が痛い。
私って本当に自分勝手だな。
ゆっくり立ち上がり・・・扉を開けると、そこには女将さんが優しく笑って一人立っていたの。
私が女将さんの背後をチラチラと見ていると、女将さんは笑って
「安心しな・・・。お兄さんにはちゃんと言って分かってもらって帰ってもらったからね。」
・・・・・。
女将さん・・・ごめんなさい。
また下を向くと、涙が零れそうだから私は天井を見上げた。
すると、
「由美ちゃん・・・大丈夫・・・」
女将さんはそう言って私の手をギュッと・・・両手で握ったの。
・・・・・・。
『大丈夫』
女将さんはニッコリ笑って私の手をこれでもかって位優しく撫でて、
「あのお兄さん、由美ちゃんを傷付けないよ・・・凄く貴方を想っているから、大丈夫よ」
そう言ったの・・・・。
その瞬間・・・また
我慢していた涙が・・・零れたの。
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