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再会
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しおりを挟む私は女将さんにもう帰るように言われ、自分の車に乗ってエンジンを掛けた。
しかし・・・そのまま家に帰る気にはなれず、自宅の前を通り過ぎラベンダーが遠くから見える丘の方に車を止め・・・真っ青な空を眺めた。
達也君の顔を見たのは・・・約1年ぶり。
手には古い携帯。
この携帯の電源を入れたら、達也君から連絡が来るかもしれない。
そのまま携帯を胸に当て、深呼吸をした。
達也君が悪いわけじゃない。
分かってる・・・。
あの日、貴方は・・・助けに来てくれた。
私を抱きしめてくれた・・・・・。
思い切って・・・・手に持っていた携帯の電源を入れた。
すると、携帯が作動し・・・直ぐに・・・・。
ブーーーブーーーッ!!!!と・・・バイブが鳴り出す。
・・・・・・・。
そして・・・、
「うぅ・・・・・・」
その画面を見た瞬間、また私は携帯を抱きしめ・・・そして・・・涙が一気に零れてきた。
ハンドルに頭を乗せそのまままた泣いた。
『由美に逢いたい』
『気が向いたら連絡してください』
『どこまででも迎えに行くから』
傍から見たら、ストーカーじゃないかって位のメッセージの量。
達也君からの・・・何度も送られてきた・・・沢山のメッセージ。
「ん・・っ・・・うっ・・・・」
涙を拭いてハンドルを握ったけど、やっぱり動けない。
あの日、私は達也君の目の前で・・・・心を殺された。
今でもたまに思い出して・・・怖くなる。
貴方とまた向き合いたいってそう思ってたけど、でも現実的には難しい。
—真也side
俺は今日も昼休みに由美さんが働く定食屋に豚丼を食べに行った。
すると、女将さんが少し興奮した様子で俺の席の横に立って・・・開店して直ぐにある男性が由美さんを訪ねてきたって・・・そう言ってきたんだ。
しかもそれは、・・・・・
「・・・彼氏?・・・」
俺はアイコスを咥え、女将さんの顔を覗き込んだ。
訪ねてきた男性は、由美さんの恋人っぽいって・・・そう言ったんだ。
「あ~ッ・・・分からないよ?なんか・・・えーーーっと・・・まぁ、・・・知り合い程度じゃない感じだったなぁーって・・・」
女将さんは俺に気を遣う様にそう言った。
しかし、直ぐに厨房から御主人が出てきて俺の前にいつもの豚丼定食を置き、
「いやいや、由美ちゃんの事名前で呼んでたし・・・あの感じだと恋人だろ?由美ちゃんだって泣いてたけどー・・・あの彼の事嫌いとかじゃなさそうだった!」
そう言った。
すると、俺の隣に座っていた駅近くのガソリンスタンドで働いている木本さんという男性が
「あー・・・それってもしかしてもの凄い格好良い人?さっきうちでガソリン入れてー・・・ここが何時からやってるかって聞かれたんだよ!なーんか・・・良い時計しててー・・金持ってる芸能人みたいな感じだったけど?あれ普通の人??」
金持ってる・・・芸能人風??
まぁ、由美さんくらい可愛かったらそれ位の男性が居てもおかしくはないか。
すると女将さんは、
「あ、でも・・・由美ちゃんってこっちに来る前、結構有名な芸能事務所で働いてたから!その関係のー・・俳優さんとかだったりして!」
と・・・皆悪気もない感じでちょっと盛り上がる。
すると、御主人が
「ったくー・・・そうやって話を大きくするな!あまり騒ぐと由美ちゃんが・・・可哀そうだろ?」
そう言って奥に戻っていった。
女将さんも笑ってその後を追いかけて行き、俺は目の前に置かれた大好きな豚丼のどんぶりを左手に持った。
すると、隣にいた木本さんが
「まぁー・・・由美ちゃん可愛いもんなー?やっぱり彼氏いたのか―・・・残念!」
そう言って笑った。
由美さんが働きだした時、この店にはこの辺で働く若者が押し寄せたが・・・今でもこうやって由美さんファンは多く地元の若者たちの・・・憧れのマドンナだ。
結局俺もそのうちの1人って事かな??
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