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過去の過ち
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しおりを挟む—達也side
淳さんと凛さんが沖縄に帰って行った・・・1週間程経ったある日。
最近、俺は朝マイレンタカーで由美の家まで行って、由美を乗せて定食屋まで送る。
「何かあったら、直ぐに電話して!また終わる時間に迎えに来るから」
由美の頬を触って言うと、由美は笑って
「ありがとう・・・一応お店の女将さんにもあの2人の事は言っておく」
そう、あの・・・真也を訪ねてきた2人組の男。
危ないので由美にその話をしたところ・・・恐らく同じ2人組が由美の店にコーヒーを飲みに来たと言われた。
そして、定食屋の常連客でもある近所の農家の六輔さんが
『この前若い男2人が由美ちゃんに色々聞いてて怪しかったから気を付けた方が良い』と、態々俺の所に言いに来てくれたんだ。
この辺は横のつながりが本当に強くて、何かがあるとそうやって直ぐに知らせてくれる。
そしてその話を聞いた翌日、小さな事件が起きた。
それは、朝・・・由美が仕事に向かう時・・・、何故かあの2人が由美の家の入口に車を止めて由美を待っていたようだ。
由美は慌てて俺に電話をしてきて、俺が直ぐに駆けつけたが・・・その時、あの2人は由美に
『真也さんに近付かない方が良いですよ!あの人、強姦癖あるからー』
って・・・、由美の車の前でギャーギャー騒いで道を塞いでいた。
俺が行ったら2人は逃げるようにして行ってしまったが・・・・それから心配で、その日から俺が送り迎えをする事にしたんだ。
今日も由美を送った後、俺はそのまま真也が働いている牧場に向かった。
真也とは最近あまり会っていない。
淳さんも凛さんと行こうかと言っていたが、あの男達と偶然でも会ったりしたら凛さんを危ない目にあわすかもと思い・・・行かないよう俺が言ったんだ。
牧場の駐車場に車を止めると、
「あ~ッ!達也さーーーん!!」
と、手をブンブン振って直樹が走って来た。
以前同じチームに居た直樹。
あの時は少し陰気なイメージで、顔は格好良いのにもったいないなってそう思ってた。
そして結城に手を出し・・・辞めていった直樹。
あの頃より100倍元気じゃねーか!!
「お前ここの仕事合ってるんじゃない?凄い元気じゃん」
車から降りてそう言うと、直樹もゲタゲタ笑って
「俺、女の人相手より馬や牛相手のが合ってるみたいでーーす!!」
と、足にウンコ付けたまま・・・笑う直樹は・・・素晴らしい。
「真也いる??」
俺がそう言うと直樹は笑って、
「奥でマツさんと~・・・乳搾ってます!!」
おお!!搾りたていただいちゃおうかなー・・・!
牛舎に行くと真也と松さんが近所の小学生と一緒に乳搾り中。
俺は大きな音を立てない様に近づき・・・その様子を見ていた・・・。
すげーな・・・。
俺初めて見るかも!!!
外では馬が走り回っていて・・・その隣ではヒツジが沢山・・・・。
明ちゃんが大好きな小動物コーナーにはウサギが沢山!!
なんか、北海道って凄いな・・・。
沖縄も凄く良いけど、北海道は全てがデカくて・・・迫力がある。
直樹や・・直樹の兄貴や・・・真也がここで更正したのも・・・納得・・・。
そして、
「え・・・あの2人が?」
真也が乳搾りを終えて休憩時、この前あの2人が由美の家の入口で待っていたと伝えた。
「ああ、家を何で分かったのかは・・・不明だけど、この辺は家も少ないから特定は直ぐにできるだろうしな・・・・でも最近は俺が送り迎えしてるから大丈夫だ・・・・」
そう言うと真也は、
「本当にすいません・・・俺の責任です」
そう言った。
真也は・・・昔本当に酷かった。
「お前、なんで・・・昔、涼さんに執着していたんだ?」
俺も涼さんに執着していたから分らなくもないけど・・・コイツは何で?
すると真也は、
「ただ・・・単純に、妬んでたんじゃないかな・・・あの頃、俺は何処に行ってもトップを取ってたし、後は銀座だけだった。でも銀座のトップ、涼さんと淳さん・・後は一樹さんや和也さん、達也さんは不動で・・・しかも涼さんは結城ちゃんとも噂があって、・・・単純にズルいって思ったんです」
まぁー・・・確かに俺も、ずっと涼さん涼さんって女の子に言われて、イライラしたこと沢山あったしな。
「でも俺・・・自分のコンプレックスをそうやって人のせいにして、女の子に手を上げて言うこと聞かせて・・・発散していた・・・。今思うと自分を殺したくなるくらい・・・自分に腹が立ちます・・・」
真也・・・・。
でも俺も結城には結構酷い事したしな。
「お前は・・・昔とは違う。だからアイツ等とはもう絶対・・・絡むなよ、分かったか??」
そう言って肩を叩くと、真也は少し泣きそうな顔をして
「本当にすいません・・・絶対もう・・・裏切りません。俺はもう・・・昔みたいにはなりたくないんです・・・・・」
結城や、龍の奥さんの美晴ちゃん、仁の奥さんの幸ちゃん・・後は湊の奥さんの瑠衣ちゃん。
彼女たちには口が滑っても・・・真也の話は出来ないけど、でも俺は・・・コイツの努力は認めたい。
嘘でしょ?って思う人も居るかもしれないが、真也は・・・変わったんだ。
—真也side
達也さんが訪ねてきて、由美さんの所に栄治と陽が来たと・・・そう言った。
そして俺の昔の話をしようとしていたと・・・・。
あれから俺は、由美さんに会っていない。
由美さんに自分の過去を知られたくないというズルい感情が沸いた。
そして、過去に傷付いた経験がある由美さんと俺が仲良くしようなんて・・・都合がよすぎるってそう思ったから。
すると、達也さんは
「真也・・・・このまま由美と話さないで・・・・ずっと関わらないようにするのか?」
そう言ったんだ。
いや、そんなつもりは・・・。
でも、どんな顔をして由美さんに会ったら良いのか分からない。
すると、
「俺は、由美と結婚したいってそう思ってる・・・。由美にちゃんと申し込んで、一緒に暮らしたいってそう思ってるよ」
達也さんは少し笑ってそう言った。
達也さんも・・・変わったよな。
昔はこんな風に、穏やかに笑わなかった。
「由美に受け入れてもらえたら・・・何処で一緒に暮らすかって話になるだろう・・・。このまま北海道にいるかもしれないし、そうじゃないかもしれない・・・・俺は何処でも良いんだ。でも・・・もしも由美と明ちゃんとお母さんが沖縄が良いって言ったら・・・俺は沖縄に3人を連れて行く・・・」
達也さん・・・・・。
「そうなるかもしれない・・・って可能性があるって話!・・・でも、もしそうなったら、このままちゃんと話をしないで会わなくなるのは・・・俺はどうかなって思うぜ?明ちゃんだってお前の事大好きだしな・・・お母さんだってお前を信頼してるんだ・・・・」
俺・・・。
由美さんとちゃんと向き合う事が出来るのかな・・・・。
加害者だった俺が、被害者だった彼女と・・・話しなんて・・・・出来る?
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