SECRET 後編

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新たな関係のスタート

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少しすると、私たち以外のスタッフは皆講堂に入りもう誰もいない。
辺りを見渡した祐ちゃんが、
「では・・・結城さんそろそろ参りましょうか。」

さっきまで別の人たちと話をしていた祐ちゃんが、そう言って私に近づいてきた。
ついに来た。

遂に講堂の中に・・・。
涼が入って行った・・。

私もその後に、祐ちゃんと一緒に入ると・・・・。
一斉に視線が向けられる。

ひぃーー・・・・・。
変な汗がジワジワ出てきた。
視線が痛いってこういう事を言うのね。

チラッと顔を上げると、
・・・・・・・・・。

100人以上居るだろうと思われる・・・・イケメン・・・・・。
皆、スマートなスーツをきちんと着て・・・。

清潔感ばっちりな・・・。
イケメンばかり。

ホストとかとはまた全然違うんだよな。
どこでこんな人たちを見つけてきたのかな。

私は下を向いて、一瞬目を閉じると・・・・。
「・・・大丈夫・・・私がついてます・・・」
祐ちゃんがそう言って私の背中を押してくれた。

私が顔を上げると、
「役員ももうそろそろ到着しますので・・・・でも、皆・・・結城さんを歓迎していて、会いたがっていましたので安心してくださいね・・・」

祐ちゃん・・・・。
役員って・・・・。

社長さんとか・・・かな。
社長さんって、祐ちゃんのお父さん。

祐ちゃんの・・お父さん=隣のおじ様という事かな。
私の幼少時代を・・・知っている人・・・・。

私は祐ちゃんに連れられ、講堂の中央辺りまで歩いた。

スタッフたちは皆、ズラーーーっと椅子に座り、前には長テーブルと椅子・・・。

私が下を向いて歩くと、ザワつくザワつく。

上を向くと・・知らない人たちがニコニコ笑って会釈をしてくれたり、手を振ってくれる人もいた。

そして、
一番前の列の端には、涼と淳君と一樹さん。
その並びには湊君もいた。

皆の席の横に、卒業式の来賓のような並びで椅子があり、祐ちゃんは私をそこに連れて行った。

「もう直ぐ役員と、私と同じ受付クラスの者が参ります。結城さんはここに座っていて下さい・・」
私をその席に座らせ、祐ちゃんは涼達が座る席の方に行ってしまった。

相変わらず・・目の前のスタッフたちはこっちを見てニコニコ・・・・。
私はペコペコ頭を下げ・・笑うしかない。

すると・・・講堂の入口から、役員と思われるおじさん達が登場!!!

私は、思わず・・・息を飲んだ・・・・。
なんだろう。
この・・・、変な感覚。

なんか・・・・。
凄く懐かしく感じるこの・・・心の安心感。

一番先頭を歩く、ロマンスグレーの優しそうなおじさんを見て・・・そう思った。
ロマンスグレーのおじさんは、私の方に歩いてくると・・・・直ぐに目を細め笑った・・・・。

胸の奥が・・・
なんか変。

昔の思い出は全く思い出せないけど、・・・・・その、優しい目は・・・・・・。
懐かしくて・・・・。

胸がキューっと・・・鷲摑みされたように・・・苦しくって・・・・涙が出そうだった。
私はバックを持ち、立ち上がり・・・おじさんの顔をじっと見つめた。




―涼side


俺の隣に座った祐司は振り返り、結城と社長の姿を見て一瞬動きを止めた。

「・・・結城さん??・・・」

俺は祐司の方に少し体を寄せ、
「・・・アイツ・・・少し思い出したぞ、記憶・・・・・」
俺は持っていた資料を捲り言った。

すると、祐司はビックリした顔で俺を見て・・・・・。
「えっ・・??・・・俺の事も??」
珍しい・・・、祐司の少し動揺した顔。

「あぁ・・・・祐ちゃん・・って・・言ってた・・・・」
俺がそう言うと、
祐司は手を少し震わせ、後ろをまた振り返った。
「俺の事・・・・・」
そう言ってジッと・・・結城を見つめていた。

祐司の顔は、耳まで真っ赤で・・・・。
そこまで見ます??????
って言うくらい、結城と社長をジッと見つめていた。






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